閉園まで1か月…「かしいかえん」跡地利用は白紙 難航する事情とは

J-CASTニュース

   福岡市内で唯一の遊園地として親しまれてきた「かしいかえん シルバニアガーデン」が2021年12月30日に閉園する。30年以上赤字が続いていた上、コロナ禍で入園者が半減したため、前身から通算すると約70年にわたる歴史に幕を閉じることになった。

   敷地は上野動物園の8割ほどの12万平方メートルと広大だ。運営する西日本鉄道(西鉄)の林田浩一社長は11月22日に東京都内で開いた事業戦略説明会で、現時点でも跡地の活用は「白紙」になっていることを明らかにしている。道路でアクセスしにくい土地の形状になっていることが影響しているのに加えて、時間をかけて周辺住民と合意形成したい考えだ。

  • 12月30日に閉園する「かしいかえん シルバニアガーデン」(21年10月撮影)

    12月30日に閉園する「かしいかえん シルバニアガーデン」(21年10月撮影)

  • 「かしいかえん」は「花と緑の遊園地」として親しまれてきた(21年10月撮影)

    「かしいかえん」は「花と緑の遊園地」として親しまれてきた(21年10月撮影)

  • 「かしいかえん」は福岡市内で唯一の遊園地だった(21年10月撮影)

    「かしいかえん」は福岡市内で唯一の遊園地だった(21年10月撮影)

  • 閉園まで「なつかしいえん」と題した写真展が開かれている(21年10月撮影)

    閉園まで「なつかしいえん」と題した写真展が開かれている(21年10月撮影)

「平成に入ってから赤字続き、コロナで決定的になってどうしょうもなく…」

   かしいかえんは、西鉄の前身会社のひとつ「博多湾鉄道汽船」が1939年に「香椎チューリップ園」として開業したのが始まり。太平洋戦争の影響で1943年に一度閉園し農地に転用されたが、西鉄が1956年に「香椎花園」として改めて開業。四季折々の草花が咲き誇る「花と緑の遊園地」として親しまれてきた。2009年に動物の家族を描いたミニチュア玩具「シルバニアファミリー」の世界観を取り入れる形でリニューアルし、名前も今の「かしいかえん シルバニアガーデン」に改めた。17年にもアトラクションを更新したりするリニューアルを行っている。

   入園者は1985年度の57万人をピークに、少子化や施設の老朽化などで減少傾向が続き、コロナ禍直前の2019年度には27万3000人に落ち込んだ。コロナ禍の影響を受けた翌20年度は13万人に半減し、21年3月に閉園を発表していた。

   林田氏は、閉園の経緯を「平成に入ってから赤字続きだったということもあって、コロナで決定的になってどうしょうもなく撤退」と説明する一方で、「足元では12月の閉園に向けて、実は盛り上がってきている。お客様が増えてきている」とも話した。

   西鉄の広報課によると、21年10月の平日の入園者は、コロナ前の19年10月比で2倍弱、コロナの影響を受けた20年10月比で5倍に増えている。土日・休日は、19年10月比で2倍、20年10月比で3倍弱だ。林田氏は「これを続けるわけにはいかないので、いったん12月で終わります」とも話し、予定通り閉園する方針だ。跡地利用については「マンションなど住宅用地としての活用を探る」(3月25日、西日本新聞)という見方もあった。ただ、林田氏は次のように話し「白紙」だとした。かしいかえんへのアクセスは、西鉄電車(西鉄貝塚線)を利用する人が多い。

「『道路付き』(道路付け、接道条件)が実はあまり良くないところだ。すぐ海が迫ったりしている。簡単に、一発で利用を決めるというのはなかなか難しいところもある。なおかつ、長らく地域の皆さんに愛されてきたという歴史もあるので、色々な方の意見を聞きながらこれから考えていくというところで、現時点では白紙、という状況だ」

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