メモ
アメリカから外国に対する技術の輸出や移転を制限する「エンティティリスト」に、新たに量子コンピューティング関連の中国企業が追加されました。これは、中国によってアメリカの技術情報が利用され、暗号化が突破される可能性などを懸念しての判断となっています。
Commerce Lists Entities Involved in the Support of PRC Military Quantum Computing Applications, Pakistani Nuclear and Missile Proliferation, and Russia’s Military | U.S. Department of Commerce
https://www.commerce.gov/news/press-releases/2021/11/commerce-lists-entities-involved-support-prc-military-quantum-computing
US blacklists Chinese quantum computing companies | Financial Times
https://www.ft.com/content/f1a4f2da-fe08-4c24-80cb-eb6fbc759f35
アメリカ商務省産業安全保障局(BIS)が持つ貿易上の取引制限リスト「エンティティリスト」は、事実上の輸出ブラックリストと言われています。トランプ政権下ではスマートフォンメーカーのHuaweiやXiaomiをエンティティリストに載せたことが話題となり、バイデン政権に移ってからは中国のスーパーコンピューター開発に関連する7つの企業や組織が「国家安全保障上の懸念がある」としてブラックリストに追加されました。
アメリカが中国のスパコン関連事業体7つを「国家安全保障上の懸念がある」としてブラックリストに追加 – GIGAZINE
2021年11月24日付けで新たにエンティティリストへの追加が発表されたのは、中国・日本・パキスタン・シンガポールなどにある27企業。うち8企業は高度な量子関連技術へのアクセス阻止を目的としているとのこと。BISはこの8企業の追加について、アメリカの新興技術が中国での軍事アプリケーション開発に利用されることや、アメリカの暗号化が突破されたり、逆に解読できない暗号化技術が開発されたりといった事態を防ぐ目的であると説明しました。
また、パキスタンでの核活動および弾道ミサイルプログラムへの関与を理由に、中国とパキスタンで活動する16の組織と個人がリストに追加されました。
日本企業もリストに追加されていますが、これは2019年にリストに追加されたCorad Technologyの関連企業とのこと。これら関連企業はアメリカや欧州の技術をイランの軍事および宇宙プログラムや、北朝鮮のダミー会社、中国政府および防衛産業の従属組織へ販売したことから新たに追加されました。
上記に加えて、BISは軍事エンドユーザー向けの軍事製品生産に基づいてロシアのモスクワ物理技術研究所を「軍事エンドユーザー・リスト(MEUリスト)」に加えました。
今回のリスト追加について、元CIA職員のMartijn Rasser氏は「これは非常に賢明な行動ですが、中国が試みているアメリカのセキュリティ浸食を目的とした技術開発の規模と範囲を考えさせるものでもあります」と述べました。
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