プライバシーは人権です。接続元を匿名化するブラウザ「Tor」がサーバー不足でピンチに

GIZMODO

名前の字面がマイティーな感じで、アベンジャーズに出てきそうなプライバシーの味方。でも今はちょっとピンチっぽい。

プライバシー保護ブラウザの王道「Tor」がピンチ

公式サイトにドーンと「プライバシーは人権です」とうたい、多くの人が利用できるプライバシー保護に特化したブラウザ「Tor」が、ブリッジとして利用しているサーバーの不足に直面しているそうです。サーバーが減ると、政府などの組織が情報へのアクセス制限している地域での検閲に対抗し、開かれたインターネットへのゲートウェイを提供するブラウザの役割に影響を与えてしまいます。

ブリッジサーバーが減ると情報にアクセスできなくなる人が増える

Torの開発と管理を行なっている非営利団体「Tor Project」は公式ブログで、現在使用している約1,200台のブリッジサーバー(ブリッジ)のうち、900台が難読化プロトコルの「obfs4」に対応しているそうです。ブリッジとは、Torネットワークが遮断されている地域のユーザーにアクセスを提供するプライベートサーバーで、これらのサーバーを複数経由(場合によっては複数の国を経由)することで、ユーザーの匿名性が守られているんですね。

とはいっても、Torの利用者はネットや特定の情報へのアクセスを制限されている国や地域の人だけが利用しているわけじゃありません。IPアドレスを隠したい人や、履歴を追跡されたくない人たちも利用しています。

で、このボランティアで運営されているブリッジの数が今年に入ってから減っているとのこと。これはプライバシーのピンチです。

プライバシー保護のために必要なのは、新しいブリッジ

Torはブログで「最終的にすべてのブリッジがブロックリストに入ってしまう可能性があるので、ブリッジをたくさん持つだけでは不十分です。ブロックされていない新しいブリッジを絶え間なく増やしていく必要があるんです」と訴えています。

Tor Projectによると、8月中旬から現在までのブリッジ経由で接続しているユーザー数の上位5カ国は、1位からロシア(1日平均1万2480人)、アメリカ(1万726人)、イラン(3,738人)、ドイツ(2,322人)、ベラルーシ(1,453人)の順になっています。

ブリッジの減少をなんとか防ごうと、Tor Projectは「年末までにobfs4ブリッジを200台オンラインにするぞキャンペーン」を始めています。ブリッジサーバーを1年間運営したボランティアには、サーバーの数に応じて、Torのパーカー、Tシャツ、ステッカーから、いずれかを組み合わせて報酬セットとしてプレゼント!キャンペーンは来年1月7日まで行なっているそうですよ。


訳者もVPNサービスを使う前は、サイトや状況によってTorを利用していました。知らない人に部屋をのぞかれたり後ろをつけ回されるようでイヤじゃないですか。プライバシーって、侵害されるまではあんまり気になりませんが、ネットにつないでいるだけでリスクが生まれるとてももろいものなんですよね。

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