アフリカ南部に位置するボツワナから発掘されたダイヤモンドの内部から、これまで見つかったことがない新しい鉱物が発見されたと報告されました。鉱物は台湾の物理学者である毛河光氏のイングリッシュネームから「デイブマオイト」と名付けられました。
Bioactive scaffolds with enhanced supramolecular motion promote recovery from spinal cord injury
https://www.science.org/doi/10.1126/science.abh3602
New mineral: Davemaoite discovered in a diamond that formed 660 km below ground | New Scientist
https://www.newscientist.com/article/2296899-new-mineral-davemaoite-discovered-inside-a-diamond-from-earths-mantle/
デイブマオイトが発見されたダイヤモンドはボツワナのオラバにある鉱山で発掘されたもので、幅は4ミリメートル、重さは81ミリグラムでした。通常ダイヤモンドは地下120~250キロメートル辺りで形成されますが、このダイヤモンドはなんと地下660キロメートルで形成されました。
発掘されたダイヤモンドの写真が以下。
ネバダ大学で鉱物物理学と惑星科学を研究するオリバー・チャウナー氏らの研究チームがこのダイヤモンドをX線回析にかけたところ、ダイヤモンドの内部に異なる鉱物の小さな結晶の混入を認めました。さらにチャウナー氏らはレーザーを使ってダイヤモンドを切り、内部に入っている鉱物を質量分析にかけました。
その結果、中に入っている鉱物は、ケイ酸カルシウムの結晶だということがわかりました。ケイ酸カルシウムは一般的に針状の結晶を形成しますが、ダイヤモンドから発見されたケイ酸カルシウムの結晶はペロブスカイト構造と呼ばれる、地上の20万倍を超える圧力が加わるような極端な条件下のみで形成される結晶構造をとっていたことがわかりました。
通常、ペロブスカイト構造は圧力が下がると崩壊してしまうそうですが、今回発見されたデイブマオイトは硬いダイヤモンドの中に1億年以上閉じ込められていたため、崩壊せずに地上に持ち込むことができたとのこと。チャウナー氏らがダイヤモンドを切り開くとおよそ1秒間は構造を維持していましたが、その後膨張し、ガラスに変わる瞬間が確認できたそうです。
チャウナー氏らは、この結晶に毛河光氏のイングリッシュネーム「デイブ」から「デイブマオイト」という名前をつけました。また、ボツワナで発掘されたダイヤモンドにはデイブマオイト以外にナトリウムやカリウムも含まれていたそうですが、これらの元素は地球の深部には存在しないと考えられていることから、チャウナー氏らは驚くべき結果と評価しています。
チャウナー氏らはさらなる鉱物の発見を目指して、超深部ダイヤモンドの探索を続けています。チャウナー氏らによると、発掘されたダイヤモンドがどれだけの年月を重ねて形成されたのかを見分ける方法がなく、ボツワナのダイヤモンドのように超深部で生成されたダイヤモンドがどこで見つかるかもわからないとのこと。「ダイヤモンドを探す上での問題は、どこを探せばいいのかわからないということです」とチャウナー氏は述べました。
この記事のタイトルとURLをコピーする