【Hothotレビュー】M1 Max搭載14インチMacBook Proを13&16インチ版と徹底比較。処理性能、発熱、動作音の違いは?

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Apple「14インチMacBook Pro」23万9800円

 Appleは初のプロ向けチップと謳う「M1 Pro」「M1 Max」を搭載した14インチ、16インチMacBook Proを10月18日に発表、10月26日に販売開始した。双方ともには「Apple M1」を基に、主にCPU/GPUコア数を増やすことでパフォーマンスアップを図ったプロセッサ。プロセッサのアップグレードに合わせて、過去のMacBook Proのボディデザインに立ち返ることで、クリエイターにとって魅力的なマシンに仕上げられている。

 今回は、14インチMacBook Proを中心に、16インチMacBook Pro、13インチMacBook Proとの比較を交えてレビューしていこう。

14インチMacBook Proには5つのプロセッサを用意

 14/16インチMacBook Proには、前述の通りM1を基にしたM1 Pro、M1 Maxがプロセッサに採用されている。両プロセッサの詳細については笠原一輝氏の記事で詳しく解説されているので、そちらを参照してほしい。

 14/16インチMacBook Proは、ディスプレイサイズ、解像度、ボディサイズ、重量、バッテリ容量、バッテリ駆動時間などに違いはあるが、基本スペックは共通。どちらもプロセッサ、メモリ、ストレージを最上位構成にカスタマイズできる。

 ただし、14インチには5つのプロセッサが用意されているが、16インチでは下位のM1 Pro(8コアCPU、14コアGPU)と同(10コアCPU、14コアGPU)はラインナップされていない。この2つのプロセッサは、最廉価モデルをできるだけ安価に提供するために用意されたものと思われる。

 プロセッサを選択するにあたって重要なのが、5つのプロセッサのうち1つを除きすべてが10コアCPUで、GPUのコア数を14/16/24/32コアとすることで差別化を図っていること。また、メモリ帯域幅はM1 Proが200GB/s、M1 Maxが400GB/sとなっている点にも注目したい。ちなみにNeuralEngineはすべて16コアだ。

 このほかにも、外部ディスプレイの接続台数がM1 Proは最大2台、M1 Maxは最大4台であったり、64GBメモリを選べるのはM1 Maxのみという細かな違いもある。

 13インチMacBook Proとのスペック上の主な差分を挙げると、下記のようになる。

  • miniLEDをバックライトに採用したLiquid Retina XDRディスプレイの採用
  • ディスプレイの輝度、コントラスト比、リフレッシュレートの向上
  • ディスプレイの狭額縁化(ノッチ化含む)、アスペクト比変更
  • インターフェイスの追加:Thunderbolt 4×3、HDMI、SDXCメモリーカードスロット、MagSafe 3ポート
  • Webカメラの高解像度化(720p→1080p)
  • 物理ファンクションキーの復活(Touch Barの廃止)
  • 6スピーカーサウンドシステムの搭載
  • ビデオ再生時に空間オーディオに対応
  • AirPods(第3世代)、AirPods Pro、AirPods Max使用時の空間オーディオとダイナミックヘッドトラッキングへの対応
  • ハイインピーダンスヘッドフォンに対応する3.5mmヘッドフォンジャック

バッテリ駆動でも高いパフォーマンスを発揮

 最後にパフォーマンスをチェックしよう。今回は下記のベンチマークを実施している。

  • CPUベンチマーク「Cinebench R23.200」(Universal)
  • CPU&GPUベンチマーク「Geekbench 5.4.2」(Universal)
  • GPUベンチマーク「GFXBench Metal」(Universal)
  • 3Dゲームベンチマーク「Rise of the Tomb Raider」(Intel)
  • ストレージベンチマーク「Blackmagic Disk Speed Test」(Universal)
  • ストレージベンチマーク「AmorphousDiskMark 3.1」(Universal)
  • Adobe Lightroom Classic(Universal)で100枚のRAW画像を現像
  • Adobe Premiere Pro(Universal)で実時間5分の4K動画を書き出し

※「Universal」はAppleシリコン用とIntel CPU用のネイティブバイナリの両方が含まれているアプリ、「Intel」はIntel CPU用に作られ、変換機能「Rosetta 2」経由で利用できるアプリ

 テストに使用したマシンは、M1 Max(10コアCPU、32コアGPU)を搭載した16インチMacBook Proと14インチMacBook Pro、そしてM1(8コアCPU、8コアGPU)を搭載した13インチMacBook Pro。なおベンチマークは、注釈がないかぎりは同梱のACアダプタに接続し、16インチMacBook Proは「エネルギーモード」を「高出力」、14インチMacBook Proはデフォルト(低電力モードを無効)に設定して実施している。

16インチMacBook Proは「エネルギーモード」を「高出力」に設定。これによりファンの音が大きくなる可能性があるが、最大パフォーマンスを発揮できる

14インチMacBook Proはエネルギーモードの設定は存在しないので、デフォルト(低電力モードを無効)のままだ

検証機の主なスペック
16インチMacBook Pro 14インチMacBook Pro 13インチMacBook Pro
SoC Apple M1 Max Apple M1
CPU 高性能コア×8、高効率コア×2 高性能コア×4、高効率コア×4
GPU 32コア 8コア
Neural Engine 16コア
メモリ 64GB 16GB
ストレ-ジ 2TB 1TB
OS macOS Monterey バージョン12.0.1

 まずCPU性能については16インチと14インチで誤差以上の違いはない。13インチと比べた場合には16インチと14インチはCinebench R23のCPU(Multi Core)で約1.59倍、Geekbench 5.4.2のMulti-Core Score(Apple Sillicon)で約1.69倍のスコアを記録している。

Cinebench R23.200(Universal)
16インチMacBook Pro 14インチMacBook Pro 13インチMacBook Pro
CPU(Multi Core) 12388 12386 7811
CPU(Single Core) 1532 1534 1507
Geekbench 5.4.2(Universal)
16インチMacBook Pro 14インチMacBook Pro 13インチMacBook Pro
Single-Core Score 1355 1333 1330
Multi-Core Score 9901 9915 6028
Single-Core Score(Apple Sillicon) 1782 1788 1752
Multi-Core Score(Apple Sillicon) 12658 12703 7728

 M1 MaxのCPUコアは高性能コア×8、高効率コア×2、M1のCPUコアは高性能コア×4、高効率コア×4という構成だが、高負荷時にはすべてのコアが稼働するので、総合的に約1.59~1.69倍というスコアに落ち着いたわけだ。

 なお、Cinebench R23についてはバッテリ駆動で連続30分間実行してみたが、CPU(Multi Core)のスコアはほとんど変わらなかった。ACアダプタ接続時だけでなく、バッテリ駆動時でも高いパフォーマンスを維持することは間違いない。

Cinebench R23.200(Universal) ※連続30分、バッテリ駆動
16インチMacBook Pro 14インチMacBook Pro 13インチMacBook Pro
CPU(Multi Core) 12373 12364 7810

 一方GPU性能については、GFXBench Metalで16インチが14インチに対して平均すると1.1倍のスコアを記録している。3DゲームのRise of the Tomb Raiderでは14/16インチともに高いフレームレートを維持している。

 ちなみに、16インチMacBook Proで「エネルギーモード」を「自動」に設定しても、スコアはほとんど変わらなかった。後述するが16インチMacBook Proの方が冷却効率は高いようだ。冷却効率の差がGPUベンチマークに影響を与えている可能性がある。

GFXBench Metal(Universal)
16インチMacBook Pro 14インチMacBook Pro 13インチMacBook Pro
Aztec Ruins (High Tier) 7704.05 7718.04 3549.07
1440p Aztec Ruins (High Tier) Offscreen 19952.5 17889.7 5215.96
Aztec Ruins (Normal Tier) 7717.92 7717.92 3868.29
1080p Aztec Ruins (Normal Tier) Offscreen 48052.1 45514.6 13921.7
Car Chase 7089.48 7090.12 3539.48
1080p Car Chase Offscreen 25002.2 25129.4 10434.5
1440p Manhattan 3.1.1 Offscreen 30460.6 25091.2 8130.2
Manhattan 3.1 7435.36 7436.24 3721.3
1080p Manhattan 3.1 Offscreen 58587.2 51521.5 16922.7
Manhattan 7441.08 7441 3723.84
1080p Manhattan Offscreen 79550.1 73413.4 24906.2
T-Rex 6721.36 6721.96 3365.3
1080p T-Rex Offscreen 135881 118782 36490.7
ALU 2 3614.83 3621.98 1818.82
1080p ALU 2 Offscreen 68824.4 63849.7 17886.4
Driver Overhead 2 3600.72 3601.08 1804.59
1080p Driver Overhead 2 Offscreen 23681.4 23145.5 23459.4
Texturing 156540 87742 70793
1080p Texturing Offscreen 279548 234729 71247
Rise of the Tomb Raider(Intel)
16インチMacBook Pro 14インチMacBook Pro 13インチMacBook Pro
山頂 平均119.71fps/最小76.40fps/最大142.84fps 平均119.44fps/最小48.62fps/最大144.89fps 平均57.27fps/最小26.09fps/最大98.51fps
シリア 平均93.05fps/最小0.71fps/最大149.78fps 平均106.23fps/最小26.14fps/最大166.78fps 平均46.27fps/最小8.56fps/最大96.91fps
地熱谷 平均92.94fps/最小2.15fps/最大117.52fps 平均95.29fps/最小12.67fps/最大122.32fps 平均44.86fps/最小1.95fps/最大81.87fps
総合スコア 102.48fps 107.08fps 49.77fps

 Blackmagic Disk Speed Test、AmorphousDiskMark 3.1の2つのストレージベンチマークは、16インチ、14インチMacBook Proともにシーケンシャルリード、シーケンシャルライトでPCIe 4.0 x4接続SSD級のスコアを記録している。

Blackmagic Disk Speed Test(Universal)
16インチMacBook Pro 14インチMacBook Pro 13インチMacBook Pro
WRITE 1回目 6477.2 6338.8 2867.6
WRITE 2回目 6396.2 6379.3 2948.9
WRITE 3回目 6352.9 6397 2924.4
WRITE 4回目 6446.9 6390.6 2781.2
WRITE 5回目 6301.6 6322.1 2919.8
WRITE 平均 6394.96 6365.56 2888.38
READ 1回目 5409.9 5399.1 2850.9
READ 2回目 5403 5453.6 2822
READ 3回目 5059.4 5446.3 2835.1
READ 4回目 5341.5 5435.8 2831
READ 5回目 4952.4 5425.3 2823.3
READ 平均 5233.24 5432.02 2832.46
SSDをAmorphousDiskMark 3.1で計測(Universal)
16インチMacBook Pro 14インチMacBook Pro 13インチMacBook Pro
SEQ1M QD8シーケンシャルリード 6872.93 6872.01 3308.33
SEQ1M QD8シーケンシャルライト 6750.89 6702.89 2872.17
SEQ1M QD1シーケンシャルリード 2935.5 2920.15 1815.65
SEQ1M QD1シーケンシャルライト 5858.97 5708.87 3276.07
RND4K QD64ランダムリード 682.42 673.02 1068.95
RND4K QD64ランダムライト 205.12 204.35 152.1
RND4K QD1ランダムリード 50.32 50.43 51.67
RND4K QD1ランダムライト 33.74 33.24 28.8

 実アプリではAdobe Premiere Proのパフォーマンスアップが顕著で、5分の4K動画の書き出しを16インチ、14インチMacBook Proは13インチMacBook Proの約半分に相当する1分37秒で完了した。

Adobe Lightroom Classic(Universal)で100枚のRAW画像を現像
16インチMacBook Pro 14インチMacBook Pro 13インチMacBook Pro
7,952×5,304ドット、カラ- – 自然 2分13秒17 2分12秒74 3分40秒38
Adobe Premiere Pro(Universal)で実時間5分の4K動画を書き出し
16インチMacBook Pro 14インチMacBook Pro 13インチMacBook Pro
3,840×2,160ドット、30fps 1分37秒09 1分37秒23 3分16秒35

 ただし、高負荷時には電力消費が増えないわけではなく、Cinebench R23のCPU(Multi Core)を連続して実行したところ、16インチMacBook Proは2時間18分36秒、14インチMacBook Proは1時間42分32秒で電源が落ちた。バッテリ駆動でも高いパフォーマンスを発揮するが、長時間利用するにはやはりACアダプタが必要になるわけだ。

Cinebench R23(Universal)のCPU(Multi Core)を連続実行した動作時間
16インチMacBook Pro 14インチMacBook Pro 13インチMacBook Pro
ディスプレイの明るさ8/16 2時間18分36秒 1時間42分32秒 2時間19分48秒

 最後にCinebench R23のCPU(Multi Core)を実行中の本体の発熱と、動作音を計測してみたところ、本体の発熱は13インチ→16インチ→14インチの順番に高く、動作音は16インチ→14インチ→13インチの順番に大きかった。14インチMacBook Pro は冷却効率が16インチよりも低いため、「エネルギーモード」の「高出力」という設定が削られたのかもしれない。

M1搭載Macを買ったばかりのユーザーにも魅力的なクリエイティブ向けマシン

 14インチ、16インチMacBook Proは、実用性を重視してボディデザインを一新した。一度削ったインターフェイスを復活させたり、鳴り物入りで投入した新機構を廃止するのは、間違いを認めるようなものなのでなかなか実行できないことだ。しかし、いまのAppleはユーザーの利便性を向上させるためなら、柔軟に方針を変更できるのだろう。

 今回の新製品はM1 Pro、M1 Maxによってパフォーマンスを向上させつつ、インターフェイスを充実させ、ディスプレイ接続数も増やしている。性能だけでなく、実用性に大きく振った新型MacBook Proは、M1搭載Macを買ったばかりのユーザーにも魅力的なクリエイティブ向けマシンと言えるだろう。

検証機の詳細なスペック
MacBook Pro (16インチ, 2021) MacBook Pro (14インチ, 2021) MacBook Pro (13インチ, 2020)
CPU M1 Pro(10コアCPU、16コアGPU)
M1 Max(10コアCPU、24コアGPU)
M1 Max(10コアCPU、32コアGPU)
※10コアCPUは高性能コア×8、高効率コア×2
※NeuralEngineはすべて16コア
※メモリ帯域幅はM1 Proが200GB/s、M1 Maxが400GB/s
M1 Pro(8コアCPU、14コアGPU)
M1 Pro(10コアCPU、14コアGPU)
M1 Pro(10コアCPU、16コアGPU)
M1 Max(10コアCPU、24コアGPU)
M1 Max(10コアCPU、32コアGPU)
※8コアCPUは高性能×6コア、高効率コア×2、10コアCPUは高性能コア×8、高効率コア×2
※NeuralEngineはすべて16コア
※メモリ帯域幅はM1 Proが200GB/s、M1 Maxが400GB/s
M1(8コアCPU[高性能コア×4、高効率コア×4]、8コアGPU、16コアNeural Engine)
メモリ 16GB/32GB/64GBユニファイドメモリ(LPDDR5)
※64GBはM1 Maxのみ
8GB/16GBユニファイドメモリ(LPDDR4)
ストレージ 512GB/1TB/2TB/4TB/8TB SSD 256GB/512GB/1TB/2TB SSD
ディスプレイ 16.2型(3,456×2,234ドット、254ppi、16:10.343、光沢、フルスクリーンの持続輝度:最大1,000cd/平方m、ピーク輝度:1,600cd/平方m、コントラスト比:1,000,000:1、色域P3、10億色対応、最大120HzのProMotion、タッチ非対応、スタイラス非対応) 14.2型(3,024×1,964ドット、254ppi、16:10.392、光沢、フルスクリーンの持続輝度:最大1,000cd/平方m、ピーク輝度:1,600cd/平方m、コントラスト比:1,000,000:1、色域P3、10億色対応、最大120HzのProMotion、タッチ非対応、スタイラス非対応) 13.3型(2,560×1,600ドット、227ppi、16:10、光沢、500cd/平方m、色域P3、数百万色以上対応、リフレッシュレート60Hz、タッチ非対応、スタイラス非対応)
通信 Wi-Fi 6、Bluetooth 5.0
WWAN
インターフェイス Thunderbolt 4(充電、DisplayPort、Thunderbolt4:最大40Gb/s、USB 4:最大40Gb/s)×3、HDMI、SDXCメモリーカードスロット、3.5mmヘッドフォンジャック、MagSafe 3ポート
※M1 Proは最大2台の外部ディスプレイ(最大6K解像度、60Hz、10億色以上)、M1 Maxは最大3台の外部ディスプレイ(最大6K解像度、60Hz、10億色以上)と1台の外部ディスプレイ(最大4K解像度、60Hz、10億色以上)に接続可能
Thunderbolt 3×2(充電、DisplayPort、Thunderbolt接続時最大40Gb/s、USB 3.1 Gen 2接続時最大10Gb/s)、3.5mmヘッドフォンジャック
カメラ Webカメラ(1080p) Webカメラ(720p)
バッテリ容量 100Wh 70Wh 58.2Wh
バッテリ駆動時間 最大14時間のワイヤレスインターネット、最大21時間のApple TVアプリのムービー再生 最大11時間のワイヤレスインターネット、最大17時間のApple TVアプリのムービー再生 最大17時間のワイヤレスインターネット、最大20時間のApple TVアプリのムービー再生
本体サイズ(幅×奥行き×高さ) 355.7×248.1×16.8mm 312.6×221.2×15.5mm 304.1×212.4×15.6mm
重量 Pro:約2.1kg
Max:約2.2kg
約1.6kg 約1.4kg
セキュリティ Touch ID(指紋認証センサー一体型電源ボタン)

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