40年前に根絶された「天然痘」のラベルが貼られた小瓶が研究所の冷凍庫から発掘されて大騒ぎに

GIGAZINE
2021年11月19日 17時00分
メモ


By Centers for Disease Control and Prevention’s Public Health Image Library

2021年11月15日、1980年に根絶とされた「天然痘」のラベルが貼られた小瓶数個がペンシルベニア州のワクチン研究所の冷凍庫で発見されました。その後の調査によって、問題の小瓶には天然痘が入っていないことが明らかになっています。

Vials marked “smallpox” contained virus used in vaccine, not smallpox virus, CDC finds – CNN
https://edition.cnn.com/2021/11/18/health/smallpox-vials-vaccine/index.html

Vials Labeled ‘Smallpox’ Are Found in Pennsylvania Laboratory – The New York Times
https://www.nytimes.com/2021/11/18/us/smallpox-vials-pennsylvania.html

2021年11月15日、ワクチンに関する研究を行っているペンシルベニア州の施設で、冷凍庫を掃除していた検査技師が偶然「Smallpox(天然痘)」とラベルが貼られた小瓶5個を発見しました。

天然痘は古くは「疱瘡(ほうそう)」などと呼ばれた全身に膿疱を発生させる感染症で、ヒトに対して非常に高い感染力を示す上、致死率が平均20~50%と非常に高く、さらに完治後もあばたを残すという、さまざまな点で厄介な病です。天然痘は紀元前から人類に猛威をふるってきたという記録が残されていますが、種痘を使った治療法の確立によって、人類史上初めて、そして唯一根絶された感染症となりました。

By Wellcome Images

こうして世界から消え去ったはずの天然痘の瓶詰めがなぜか研究所の冷蔵庫から発見された、というのが今回の事件。発見者の検査技師は、発見当時に手袋とフェイスマスクを着用しており、問題の小瓶も誰かが取り扱ったという兆候はありませんでしたが、ただちに当局に通報。アメリカの疾病予防管理センター(CDC)が法執行機関と協力して問題の小瓶を確保しました。

そしてCDCが11月18日に精査を行った結果、問題の小瓶に入っていたのは天然痘ウイルスではなく、天然痘ウイルスと同属であり天然痘ワクチンを作る際に用いられる「ワクシニアウイルス」だったことが明らかになりました。

CDCは発表の中で、「問題の小瓶に天然痘ウイルスが入っていたという形跡はありませんでした。我々はこれらの検査結果について、州および地方の保健当局、法執行機関、世界保健機関と緊密に連絡を取り合っています」とコメントしました。

天然痘はWHOが1980年5月に「世界根絶宣言」を行っており、WHOによって天然痘ウイルスの保管場所として認められた研究所は、世界に2箇所しか存在していないとのことです。

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