農地開墾・建物建設・作物出荷を繰り返して新世界の成功者を目指すボードゲーム「プエルトリコ20」をプレイしてみた

GIGAZINE



カリブ海にあってアメリカの自治領となっているプエルトリコのスペイン植民地時代をテーマに、農場で作物を作って出荷して稼ぎを得ていくボードゲーム『プエルトリコ』新版の日本語版「プエルトリコ20」が、ゲームマーケット2021秋に先行販売で登場します。一般発売はまだ先になる見込みですが、今回、実物を借りることができたので、一足早く実物をプレイしてみました。


◆目次
・開封~プレイ準備
・7つの役割
・プレイ

◆開封~プレイ準備
外箱はこんな感じ。


ボードや駒など、コンポーネントがぎっしりと入っています。


コンポーネントのうち、名前が緑色で記載されている建物タイルが拡張1「新たな建物」、名前が赤色で記載されている建物タイルと赤い木製ディスクが拡張2「貴族」、バッカニアのカードとタイルが拡張3「バッカニア」、目標ボードが拡張4「祝祭」のもの。まずは基本コンポーネントだけでプレイするので、これら拡張要素は別のところに避けておきます。


基本コンポーネントでのプレイの準備を終えると、テーブル中央はこんな感じになります。


プレイヤーにはそれぞれ、プレイヤーボードが1枚与えられます。ボードは上部の島タイル用スペース、右上の港、下部の建物用スペースに分かれています。農地や建物を作って、労働者を配置して働かせて作物を生み出し、それを商人に売って収益を得たり、スペインに輸出して勝利点を稼いだりする、というのがプレイの基本です。


◆7つの役割
このゲームは、プレイそのものは1ラウンド10分程度でわりとサクサクと進んでいくのですが、前段階としてルールを把握するのがなかなかに大変。他のプレイヤーの選択に左右される部分が多々あるので、どの役割でどのような効果があるのかは、プレイ前にしっかり理解しておくのがベターです。

プレイヤーは各ラウンドにおいて「開拓者」「親方」「建築家」「監督」「商人」「船長」「金脈掘り」から1つの役割を選び、アクションを実行します。このフェイズでアクションは基本的に全プレイヤーが順次実行することになりますが、手番プレイヤーのみ役割ごとに定められた「特権」が得られます。これが「バリアブルフェイズシステム」と呼ばれる、「プエルトリコ」の特徴です。


開拓者」は島に新たな農園を作り出す役割。場に出ている表向きの農園タイルのうち1枚を選び、自分の耕作スペースに置くことができます。特権として、手番プレイヤーは農園の代わりに採石場を置くことができます。


農園は「トウモロコシ(黄帯)」「インディゴ(青帯)」「砂糖(白帯)」「タバコ(茶帯)」「コーヒー(黒帯)」の5種類。採石場は建築時のコストを下げる効果があります。


親方」は労働者を派遣する役割。雇用斡旋所から労働者(紫色駒)を手に入れて各タイルに配置することができます。特権として、手番プレイヤーは雇用斡旋所ではなくサプライから追加の労働者を1人得ます。


それぞれのタイルには1~3つの半円が描かれていて、最低1人の労働者を配備されていないと機能しません。親方のフェイズ中はすでに配置した労働者の再配置が可能なので、他のプレイヤーの動向を見て「この作物は飽和しそうだから、別の作物の生産に切り替える」といった動きが重要になってきます。空きがない場合、労働者は次の親方フェイズまで港に置いておきます。

親方フェイズ終了時、各プレイヤーの「建物」の空き半円の数1つに対して、サプライから雇用斡旋所に労働者が1人派遣されます。最低でもプレイ人数に等しい数は補充されるので、次の親方フェイズ時に労働者がいないという事態は発生しません。


建築家」は島に建物を建てる役割。ゲームボードに置かれている建物から1つを選び、費用(ダブロン)を支払って自分のスペースに配置することができます。特権として、手番プレイヤーは建設費用を1ダブロン減らせます。


農作物と同じ色の帯が描かれた建物は「生産建物」と呼ばれるもので、商品を生み出すためには「農園」に対応する「生産建物」が必要です。トウモロコシのみ、生産建物なしでも商品を得られます。


そのほか、建物にはそれぞれに異なる効果があり、農園との組み合わせでプレイヤーごとに個性のある島ができあがっていくことになります。5種類の大きな建物は特にダブロンが高い一方で効果も強力なので、勝利のためには絶対に1つは建てておきたいところ。なお、建物はコスト別に4段に分かれていて、稼働している採石場の数に応じて建設コストを抑えることができます。大きな建物は共通で10ダブロンですが、採石場が4つ稼働していると6ダブロンで建てられます。


監督」は商品を生産する役割。農園と生産建物の組み合わせで商品が生み出されます。たとえば以下のような島があったとします。トウモロコシ農園はそれだけでトウモロコシを生み出せますが、労働者が配備されていないため農園は稼働せず、トウモロコシ生産量は0。インディゴは、桶に複数の労働者が配備されていますが農園に1人しか労働者がいないので、生産量1。コーヒーは農園に2人いますが、焙煎所に1人なので、生産量1となります。農地を広げつつ、建物にも労働者をしっかり配置しておかないと、生産量を増やすことははできません。なお、特権として手番プレイヤーは追加で生産物を1つ得られます。


「商人」は商品を売却する役割。商品駒1個を商店に売却することができます。売却価格は固定で、トウモロコシが0、インディゴが1ダブロン、砂糖が2ダブロン、タバコが3ダブロン、コーヒーが4ダブロン。特権として、手番プレイヤーは売却時に追加で1ダブロンを得ます。


商店の空きスペースは4つで、手番より前に空きが埋まった場合、プレイヤーは商品を売却することができません。また、商店に置ける商品駒は各種類1つまでです。以下の場合、砂糖・トウモロコシ・コーヒーがすでに置かれているので、インディゴとタバコは置けますが、コーヒーを売却することはできません。商人フェイズ終了時、商店に商品駒が4つあるときは駒をサプライに戻します。3つ以下の場合、商品駒はそのまま残ります。


「船長」は商品を出荷する役割。貨物船に商品を置いていきます。


ただし積み込みには「1つの貨物船は1種類の商品だけを扱う」「他の貨物船に積んでいる種類の商品は扱えない」「手番が来たら、プレイヤーは可能な限り商品を出荷しなければいけない」というルールがあります。以下の例の場合、貨物船にはまだ空きスペースはありますが、すでにトウモロコシ、インディゴ、砂糖が積み込まれているので、タバコとコーヒーを積み込むことはできません。それぞれ、積み込んだ商品1つに対して1勝利点を得られます。また、特権として、手番プレイヤーは追加で1勝利点を得ます。


なお、積み込めなかった商品のうち1個は港に保管しておくことができますが、他はすべて見返りなしにサプライに戻します。

金脈掘り」はやや特殊な役割で、プレイヤー全員の共通アクションはなく、手番プレイヤーのみが特権として銀行から1ダブロンを得ます。


◆プレイ
役割カードと似たデザインのカード「総督」が、ラウンドのスタートプレイヤーを示します。4人プレイの開始時、1番手と2番手のプレイヤーはインディゴを、3番手と4番手はトウモロコシを持ってスタートします。


1番手プレイヤーの開始時の手元はこうなります。3ダブロンが初期資金。


初手は「開拓者」を選択。


さっそく採石場を作って、低コストでの建物建設を狙います。他のプレイヤーは特権がないので、それぞれ農園を開墾。


プレイヤーDが農園を作ったら、新たな総督プレイヤーBが誕生し、第2ラウンドへ。プレイヤーBは「建築家」を選択。


採石場はあるものの労働者が配備されていないためコストダウン効果が得られません。とはいえ、2ラウンド目から何もしないのでは出遅れてしまうので、1ダブロンを支払って「小さなインディゴ桶」を作ります。


4ラウンド目を終えると総督が1周。プレイヤーは4人なのに対して役職は7つなので、選ばれなかった役職が3つあります。この役職に、銀行から1ダブロンが置かれます。この次の周回でも選ばれなかった場合、さらに1ダブロンが追加されることになるので、「役職のアクションはしたくないけれどダブロンは欲しい」ということで選ばれる役職が出てきます。


「金脈掘り」はもともとカードアクションで1ダブロンを得られるので、もし選ばれずに残っていたら次は2ダブロンもらえることになります。


ゲームが進み、貨物船にも売店にも商品が並び始めました。しかし、ともにトウモロコシ・砂糖・インディゴの3種類で、どうも島の生産物に偏りを感じます。


やがて貨物船のトウモロコシが満載になり、出荷されて(サプライに戻されて)いきました。


中盤、建築家と2つの採石場の効果を得て、3ダブロンの支払いで6ダブロンのコーヒー焙煎所を建設することに成功。


しかし、隣のプレイヤーDは農園はわずか2つながら、採石場を4つ稼働させています。


負けてはいられないので、建設計画を更に進めて、大きな建物「ギルドホール」を建てることに成功。


ゲームは「親方フェイズ終了時、必要な数の労働者駒を雇用斡旋所に置くことができない」「建築家フェイズ中、最低1人のプレイヤーが自分の12の建物スペースをすべて埋めた」「船長フェイズ中、すべての勝利点チップが獲得された」のうち最低1つが満たされたラウンドが最終ラウンドとなります。

このゲームでは、「労働者駒が尽きる」「誰かが建物スペースを埋める」の条件が同時に発生して終わりそうだったので、勝利点を伸ばすべく最後に「小さな製糖所」を建設。最終的に54勝利点を得ました。しかし、トップは61勝利点だったので、わずかに届かずでした。


最初に説明書を読み始めたときは7つの役割をどう使い分けていくのかというところの理解に悩んだものの、プレイしていると「今はこの役割だけはいらない」ということがぱっとわかるようになっていきました。

特徴である「バリアブルフェイズシステム」によって、自分の島が成長すると同時に他のプレイヤーの島も成長していくため、役割選択のタイミングによっては他のプレイヤーを大きく利してしまうこともあって、直接相手の建物を破壊するような攻撃はないものの、スリリングな駆け引きが楽しめます。

拡張についてはプレイレポート記事をのちほど掲載予定です。

<つづく>

この記事のタイトルとURLをコピーする

Source

タイトルとURLをコピーしました