製造業の品質検査に教師なしAIを活用へ–合弁会社Lean AI設立

CNET Japan

 製造業において品質は極めて重要だ。人工知能(AI)を利用した品質検査は目新しいものではないが、ある製造大手とAI開発企業による合弁事業が成果を著しく飛躍させ、参入障壁を下げてくれる可能性がある。

AIのイメージ
提供:Getty Images/iStockphoto

 新たな合弁会社はLean AIと命名された。技術的な秘訣は「教師なしAI」、つまり膨大なデータセットや数カ月にわたる準備期間、あるいは機能させるための既知の検査事例が不要な最先端のディープラーニング(深層学習)技術にある。新会社は、香港を拠点に製造業における知識と経験を持つJohnson Electric Group(JE)と、目視検査を目的とした独自の自律型AI技術の草分けであるイスラエル企業Cortica Groupの協業によるものだ。

 Lean AIの最高経営責任者(CEO)を務めるKarina Odinaev氏は、「Corticaの自律型AI技術の力と、この市場に関するJEの膨大な知識により、製造業の品質検査で人的ミスが招くコストを抑え、現在の市場が抱える弱みに対処する製品を提供する」としている。

 問題は、ディープラーニングを基にする従来型の品質保証システムでは導入に数週間から数カ月かかることがあり、データサイエンティストやAI専門家が、欠陥のある画像サンプル数千枚を含む大規模な学習セットを手作業でタグ付けして供給しなければならない点にある。こうしたシステムでは、製品のバリエーションや新しいカメラに対応するために継続的なメンテナンスと再学習が必要だ。

 Lean AIは、新世代の教師なしディープラーニングを基盤とする品質保証技術を活用して、既存の課題を克服しようとしている。同社の教師なしシステムは、ラベル付けされていないデータを使用し、予測型の品質保証を適用してデータをコンパイルするため、デプロイメントやスケーリングが迅速化するという。また、オープンプラットフォームであるため、カメラや欠陥の種類、製品にも依存しないとしている。こうした柔軟性は、巨大な成長市場であるAI駆動型の検査を大きく進化させるものであり、特にサプライチェーンが細分化する中て改めて効率性が重視されている現状では重要性が増す。

 世界のマシンビジョン市場規模は、現在110億ドル(約1兆2500億円)と推計されており、2026年までに155億ドル(約1兆7700億円)に拡大すると予測されている。

 Corticaの共同創設者で会長を務めるIgal Raichelgauz氏は、次のように述べている。「Corticaは、従来のディープラーニングシステムとは根本的に異なる自己学習型のAIを開発した。自律型のAI技術は人間の脳のように機能する。つまり、固定されたシステムではなく、さまざまなシナリオに継続的に適応し、リアルタイムでオンライン学習が可能ということだ。この技術に必要なコンピューティングパワーは大幅に抑えられ、わずかなコストで導入できる上、パフォーマンスの面でもはるかに優れた結果をもたらす」「当社の技術は堅牢かつ汎用的であり、視覚、音声、時系列など多くのデジタル分野で適用できる。目視検査は始まりにすぎない。自律型のAI技術は、急速にこの業界のベンチマークとなりつつある」

この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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