天の川銀河の中心に「宇宙線を通さない謎の障壁」がある可能性が指摘される

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さまざまな星が浮かぶ宇宙空間には、中性子線やX線などの宇宙線が飛び交っています。この宇宙線は天の川銀河の中心部から大量に発せられていことが知られているのですが、銀河の中心部には「宇宙線を妨げる謎の障壁」が存在する可能性が、調査により突き止められました。

A GeV-TeV particle component and the barrier of cosmic-ray sea in the Central Molecular Zone | Nature Communications
https://doi.org/10.1038/s41467-021-26436-z


There’s a Mysterious Barrier Keeping Cosmic Rays Out of The Galactic Center
https://www.sciencealert.com/there-s-a-mysterious-barrier-keeping-cosmic-rays-out-of-the-galactic-center

我々人類も生息している天の川銀河の中心部には、強力な宇宙線を発するブラックホールが存在すると考えられています。これに関し、銀河のどの部分から宇宙線が発せられるのかを突き止めようと、中国科学院の天文学者Xiaoyuan Huang氏が率いる研究チームはフェルミガンマ線宇宙望遠鏡から得られるデータを使用して研究を行いました。

研究チームの計算により、銀河の中心部が間違いなく宇宙線を発していることや、粒子加速器の役割を果たしていることなどが確認されたほか、「中心部の宇宙線の密度が周りよりも低い」ということが確認されたとのこと。


研究チームによると、銀河の中心には水素ガス等でできた分子雲が浮かんでおり、分子雲内部の宇宙線の密度が周りに発せられた宇宙線の密度よりも低くなっているとのこと。このことから、研究チームは「宇宙線が分子雲を通過することを妨げる、何らかの障壁が存在する可能性がある」と推測しています。

宇宙線の乱れは太陽が発する太陽風でも見られることから、同様の現象である銀河風がこの障壁の正体なのではと研究チームは推測。中心部をモデル化したもので銀河風を考慮し再計算したところ、観測値と同様の結果を得られたとのことです。研究チームは、銀河風以外に分子雲自体が障壁となっている可能性や、電磁流体力学特有の乱流などが考えられると述べています。


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2021年11月10日 23時00分00秒 in サイエンス, Posted by log1p_kr

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