新AirPods、フィット感も音もめちゃ良いし、MagSafeは正義

GIZMODO

短いうどん良かった!

第3世代となる新AirPods、デザインも新たになって登場しました。米GizmodoのAndrew Liszewski記者が使い心地をレビューして高評価してますが、じゃあみんなが買い替えるほどのものかっていうと、どうなんでしょう? 以下レビューをどうぞ!


最初のAirPodsリリースは2016年で、その後ワイヤレス充電機能が追加されましたが、基本的なデザインは5年間変わってませんでした。売れてるからこそ長い間アップデートしなかったんでしょうけど、ついに今、新デザインとなった第3世代AirPods(以下新AirPods)が発売されました。同価格帯のイヤホンと比べると欠けてる機能もあるかもしれませんが、新AirPodsはやっぱり、Apple(アップル)の他のデバイスと組み合わせれば素晴らしい体験をかなえてくれます。

完全ワイヤレスイヤホンを出したのはアップルが初めてじゃありませんが(BragiのThe Dashが元祖とされてます)、持ち運びやすい充電ケースに入ったワイヤレスイヤホンはアップルが初めてでした。さらにW1チップ(その後H1チップ)により、従来のワイヤレス接続にありがちだったストレスのない接続を実現しました。AirPodsはワイヤレスイヤホンを欠点だらけのニッチ商品から、ユーザーフレンドリーなガジェットへと変貌させ、百万台単位で飛ぶように売れるとともに、巨大な市場を爆誕させました。

そして今、新AirPodsがやってることは、初代のような新規市場開拓ではなく、既存の超人気商品のブラッシュアップです。それじゃ旧AirPodsを持ってる人は、新AirPodsに買い替えるべきってことなんでしょうか? その答えは、ケースに入ってるからってわけじゃないんですが…ケースバイケースです。

アップル AirPods(第3世代 2021年モデル)

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Image:Andrew Liszewski – Gizmodo US

これは何?:アップルのAirPods初のメジャーアップグレードで、AirPods Proの機能・デザイン要素を取り入れたもの

価格:179ドル(日本国内価格 2万3800円)

好きなところ:素晴らしい音(イヤーチップないのに)、何時間着けてても全然疲れない、Siriへのクイックアクセス、H1チップによるシームレスな接続

好きじゃないところ:ノイキャンなし、イヤーチップがないのでフィットしない人もいるかも

AirPods Pro風味のデザイン

新AirPodsのデザインがどこからヒントを得てるのか、ちょっと見ればわかります。見た目も質感もAirPods Proとほとんど同じで、違いは交換できるシリコンチップがないことです。

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第2世代AirPods(左)、新AirPods(中央)、シリコンチップなしのAirPods Pro(右)
Image:Andrew Liszewski – Gizmodo US

新AirPodsはAirPods Proより少し小さいです。アクティブノイキャンのハードウェアがないし、その分バッテリーも小さくて済むからでしょうね。

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新AirPods(右)は第2世代AirPods(左)よりも曲線的なデザインで、耳への座りも良し
Image:Andrew Liszewski – Gizmodo US

新AirPodsは旧AirPodsよりステム(「耳からうどん」の「うどん」部分)が短くなったとともに、従来タップでしていた再生操作をステムの感圧センサーで処理するようになりました。ただ、僕はどんな理由であれ、ワイヤレスイヤホンを触って操作する仕様が好きじゃないし、ウィングやシリコンチップで補強されてない場合はなおさらです。触るとどうしても、外れがちになりますよね。新AirPodsのステムでの操作そのものはしっかり機能していて、声で操作できない場所にいるときは便利なんですが、僕にとってはSiriに頼んで曲をスキップしたり音量調節したりするほうが全然ラクです。Siriで操作できるのは、iPhoneユーザーにとっては引き続き大きなメリットです。

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新AirPods(右)はステムが短く重量配分が改善し、第2世代AirPodsより落ちにくくなりました
Image:Andrew Liszewski – Gizmodo US

僕は旧AirPodsが外れがちで、結局使うのをやめてAirPods Proが出るのを待ってたくらいです。それに対し新AirPodsは前よりずっと外れにくく、ウォーキングみたいな軽い運動なら全然問題ありません。実は新AirPodsの方が若干重くはなってるんですが、ステムが短いこととデザインがすっきりしたことでメインスピーカーの角度が良い具合になり、重量配分も改善したように感じます。かといって、ジョギングとかスカッシュの激しい試合で使うかっていうと、やっぱりそういうときはAirPods Proを使うと思いますが、ともあれ旧AirPodsと比べればフィット感はかなり向上しました。

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充電ケース比較。新AirPods(上)、旧AirPods(下左)、AirPods Pro(下右)
Image:Andrew Liszewski – Gizmodo US

新AirPodsの充電ケースはAirPods Proのケースに似てて、横幅はそんなにないですが、AirPods Proより若干高さがあります。従来のAirPodsのケースと同じく滑らかな仕上げで、ポケットからスルリと出し入れできます。

すべてにMagSafeを

ここで告白しますが、僕は初めて「AirPodsのケースがMagSafeに対応」って聞いたとき、正直何に使うの?って思ってしまったんです。iPhoneの裏にくっつけるの? なくさないように冷蔵庫に貼っておくの?と。

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MagSafeになった充電ケースは充電パッドの良き位置にピシッとくっつき、ちょっとした衝撃でも外れにくく
Image:Andrew Liszewski – Gizmodo US

実際使ってみると、新AirPodsのMagSafe対応は非常に有効でした。充電ケースにカードケースを貼り付ける、とかじゃなくて、iPhone 12や13みたいに、MagSafe対応ワイヤレス充電パッドに載せると充電コイルの適切な位置にくっつきます。そしてパッドにしっかり付いたままで、うっかりぶつかってもほとんど外れません。AirPodsのケースのワイヤレスレシーバーの小ささも考えると、すごく有意義です。なのでAirPods Proのケースも、MagSafe対応してます。僕個人的には、もはやQi規格にマグネットが追加されて、すべてのワイヤレス充電機器がピシッとくっつくようになるべきじゃないかって思います。

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新AirPodsのケースを最速で充電するにはLightningケーブルが必要
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新AirPodsのケースは有線でも充電できますが、Lightningケーブルが必要です。2021年の今、なぜUSB-Cじゃないのか…。

音質もなかなか

あえて言いますが、僕はAirPodsの音質は初代も2代目も好きじゃないんです。AirPodsはワイヤレスイヤホンをポピュラーにした功績はありますが、その音質は深みがなくて残念、とずっと思ってました。でも新AirPodsは、僕としてはAirPods Proよりむしろ好きな音で、自分自身驚いてます。といっても、AirPods Proよりさらに良い音かっていうと答えはノーなんですが(シリコンチップで音の角度を調節しない限り無理だと思います)、でも良い音には変わりありません。

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AirPodsの音は本当に良くなりましたが、ワイヤレスイヤホンでベストというにはほど遠いです
Image:Andrew Liszewski – Gizmodo US

アップルいわく、新AirPodsの音は「特別に設計されたドライバとハイダイナミックレンジアンプの組み合わせによって生み出されるパワフルな低音域と明瞭で透き通った高音域」を特長としています。たしかにこの点、旧AirPodsと比べると顕著です。たとえばSurf Mesaの『ily Tropic Remix』を聴くと、00:30あたりからのドンッドン、という低音が心地よく響きつつ、高音域がくぐもることもありません。高音・低音の分離は、AirPods Proみたいなシリコンチップ使用のワイヤレスイヤホンほど明確でなく、低音がドゥンドゥンしてると高音が若干消えることがあります。それでも新AirPodsの音質は大きく向上していて、着け心地も良いので、日常的に使うのはついAirPods Proより新AirPods、となっています。

アップル生態系の連携機能

僕は音楽を楽しむことを最優先する場合、今あるワイヤレスイヤホンで音質最強だと思ってるMaster & DynamicのMW08を使います。でも、そうじゃないときは、僕が日々使うデバイスと簡単に連携できるAirPodsです。Bluetoothはストリーミングオーディオではベストとは言えない中(いつかはベストになるはずですが)、アップルのH1チップはBluetoothの欠点をカバーし、AirPodsとiPhoneの接続は感動するほど洗練されスムーズです。接続がラク、なんて些末なことと思われるかもしれませんが、アップルがBluetoothの欠点をカバーしてることは、今もAirPodsを選ぶ最大の理由のひとつです。

またSiriを使うことで、何かタップしたり押したりせずにシンプルな再生操作ができるのもすごく便利だし、アップルの「探す」ネットワークに入ってることもそうです。万一ソファのクッションの下にイヤーピースが埋もれても、iPhone(とBluetooth接続の強度)を使って探し出せます。

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新AirPodsがホームシアターのサラウンドサウンドに取って代わる…ことはなさそう
Image:Andrew Liszewski – Gizmodo US

アップルが最近推してる空間オーディオは、1対のスピーカーでサラウンド風の音を作り出せるという触れ込みで、新AirPodsの場合その「スピーカー」は各イヤーピースを指します。空間オーディオでは、それぞれの音が映画館に複数設置されたスピーカーみたいにいろんな方向から鳴っているように聴こえるばかりか、音を特定の位置に固定して、頭を回しても音源はそのままであるかのように響かせることも可能です。

モーションセンサーを賢く使っててちゃんと機能するんですが、これを理由に他のイヤホンより新AirPodsを選ぶ、とは思えません。たとえばグループでFaceTimeするときに考えるのは、早くこの会話から抜けたいってことだけで、通話相手それぞれの画面上の位置を音で識別したいという欲求は起こらないです。空間オーディオはたしかに差別化要因ではありますが、その分価格を高く設定する理由にもなっています。そしてアップルが望んでいるほどには、キラー機能とはいえないと思います。

お値段の話

新AirPods最大のサプライズはお値段です。179ドル(日本国内価格2万3800円)と、旧AirPodsのワイヤレス充電ケース版より20ドル安くなったんです(訳注:でも、日本では為替のせいか2万2800円→2万3800円と値上がりしちゃいましたね…)。たしかにこの5年間で市場は大きく変わり、競争が激しくなってます。

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新AirPods(下)、Beats Studio Buds(上左)、Nothing Ear (1)(上右)
Image:Andrew Liszewski – Gizmodo US

今市場にあるワイヤレスイヤホンが、みんなアクティブノイキャン搭載なわけじゃありません。新AirPodsにもノイキャンがないので、アップルとしてはAirPods Proを引き続き残すと思われ、それ自体は問題ありません。ただ今どきは、100ドル以下のワイヤレスイヤホンでも、音質も付け心地も良くて、ノイキャン搭載しています。Nothing Ear (1)とかはAirPodsほど簡単に接続できませんが、アップルのBeats Studio Budsはノイキャン搭載、新AirPodsと同じH1チップ搭載、それでいてお値段150ドル(日本国内価格1万7800円)と、新AirPodsより30ドル(日本だと6,000円)ほど安いです。

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Image:Andrew Liszewski – Gizmodo US

ってことは、AirPodsは買わないほうがいいってことでしょうか? あ、そうじゃないんです。新AirPodsはあらゆる意味で素晴らしいアップグレードだし、シリコンチップを耳の奥に突っ込むのが嫌いな人には(僕ももう何十年もやってますが長時間やると疲れます)、新AirPodsはものすごく快適で、それでいて音質もすごいです。こんなのできると思いませんでした。僕は新AirPodsを入手してから毎日1日中つけっぱなしですが、今まで試した中でこれほど着け心地が良かったワイヤレスイヤホンはありません

といいますか、もともとAirPodsのファンの人なら、今ごろもう新AirPodsをオーダーしちゃってることでしょう。でも、レビューを確認してから買おうかなと思ってた人には、良いアップグレードですよ、とお伝えしたいです。旧AirPodsよりも、ちゃんと良くなってます。

一方で、旧AirPodsからのアップグレードを検討中で、Appleのハードウェアとの連携よりも音質やノイキャンといった機能を優先したい人の場合、事情がちょっと違います。2万円以上出せるなら、今はAirPodsの代わりになる優秀なワイヤレスイヤホンがたくさんありますので。

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