京王線刺傷メディアがすべき報道 – ABEMA TIMES

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 先月31日、京王線国領駅付近を走行中の電車内で火災を起こし、刃物で乗客を切り付けた疑いで服部恭太容疑者(自称・24歳)が逮捕された。

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 乗客が撮影した現場の動画を見ると、前方から多くの乗客が次々と押し寄せ、行き場を失っているのがわかる。警視庁によると服部容疑者は「8月に小田急線で乗客が牛刀で切り付けられた事件を参考にした」と供述していて、ハロウィーンの夜を狙い、バッドマンの悪役「ジョーカー」の仮装をした上で犯行に及んだと見られている。

 取り調べに対し、「人を殺して死刑になりたかった。2人殺せば死刑になると思った」と明かしている服部容疑者。凶悪犯罪の“模倣犯”を生み出さないために、メディアにどのような報道が求められるのだろうか。『ABEMAヒルズ』に出演したニュース解説YouTuberで「The HEADLINE」編集長の石田健氏は「電車は飛行機と違って事前のセキュリティチェックがなく、非常に簡単に乗れてしまう」と危機感を露わにする。

「ヨーロッパでも2010年以降、電車内での事件が相次いで起こった。報告書でも『非常に難しい』といった内容が上がっていて、なかなか有効な対策が取りづらい。今回、犯人は8月に起こった小田急線の事件を模倣したと供述している。こういった模倣犯を生み出さないために、メディアサイドも事件を慎重に扱う必要がある」

 石田氏はメディア側が注意すべきポイントとして「映像をセンセーショナルに扱わない」「動機を紋切り型に分析しない」「なるべく犯罪者よりも被害者の苦しみにフォーカスする」の3つを紹介。

「1つ目は、映像をセンセーショナルに扱わないということ。今は視聴者が撮った動画がどんどん広まる時代。こういった映像が何度もセンセーショナルに取り上げられると、あたかも犯人がヒーローのように思われてしまう。2つ目は動機を紋切り型に分析しないということ。こういった事件が起きると、早い段階で『社会から阻害されていた』『女性に対して恨みがあった』などの犯人の動機を分析するような報道が出てくる。そういったものに、インスピレーションされて模倣犯が生まれる可能性もある」

 その上で「報道には、どうしても解釈や説明が必要な部分もある。どれだけメディアが慎重に報じられるかどうか問われている」と呼びかけた石田氏。最後に、3つ目のポイントとして「被害者の苦しみにフォーカスするべき」と語る。

「どうしても犯罪者を分析する報道が出てしまうが、犯罪者をヒーロー、ヒロインにしてはいけない。犯罪によっていかに被害者が苦しみを被ったか。なるべく被害者の苦しみにフォーカスするべきだ。報道によって、いかに模倣犯を防いでいくかが非常に大事だ」(『ABEMAヒルズ』より)

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