Zen 3世代のAPUならビデオカードなしで「Fortnite」が遊べる?パソコン工房のRyzen 7搭載スリムPCで3Dゲームをテスト [Sponsored]

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最新APUのRyzen 7 5700Gで3Dゲームはどのくらい動くのか?

 パソコン工房を展開するユニットコムより、Ryzen 7搭載スリムデスクトップPC「STYLE-S0P5-R75G-EZX」が発売された。本機は筐体のバリエーションやカスタマイズ性の高さが売りの同社のブランド「STYLE∞」に属する製品で、リビングやSOHOにマッチするシンプルなスリム筐体が特徴としている。

 そのため処理能力を売りにする製品ではないのだが、AMDの最新APUであるRyzen 7 5700Gを搭載している。ビデオカードは搭載していないが、筆者は最新のCPUを見ると、内蔵GPUでどこまで3Dゲームを動かせるのかが毎度気になる(笑)。

 特に昨今は半導体不足からビデオカードの価格が異常に高価。内蔵GPUの性能で済ませられるなら、全体の価格は大きく抑えられる。ということで、今回は本機をあえてゲーミングPCに見立てて、どこまで3Dゲームが遊べるかをチェックしてみたい。

 なお、今回のレビューでは製品の仕様が切り替わる時期にちょうどあたってしまったため、旧モデルのSTYLE-S0B5-R75G-EZXで動作検証を行なっている。変更点はポート類と拡張スロットの構成くらいなので性能などに影響はないが、写真が旧モデルであることにご注意いただきたい。

スリム筐体でもハイスペック

 「STYLE-S0P5-R75G-EZX」のスペックは下記の通り。

【表1】STYLE-S0P5-R75G-EZX
CPU Ryzen 7 5700G(8コア/16スレッド、3.8GHz)
チップセット AMD B550
GPU CPU内蔵Radeon Graphics
メモリ 16GB DDR4-3200(8GB×2)
SSD 500GB(M.2 NVMe)
HDD なし
光学ドライブ DVDスーパーマルチ
電源 400W(TFX、80PLUS Bronze)
OS Windows 10 Home
汎用ポート USB 3.1×2(1基はType-C)、USB 3.0×6、USB 3.0×2
カードスロット なし
映像出力 HDMI、DVI-D、ミニD-Sub15ピン
有線LAN Gigabit Ethernet
その他 PS/2、音声入出力など
本体サイズ(幅×奥行き×高さ) 約98×403×363mm
重量 約6.75kg(試用機の実測値)
価格 12万2,980円

 CPUは8コア/16スレッドのRyzen 7 5700G。GPUは内蔵のRadeon Graphicsとなる。メインメモリは16GB、ストレージはNVMe SSD 500GBと、リビングやSOHO用としてはかなり贅沢な構成だ。

 端子類を見ると、映像出力がHDMIのほか、DVI-DとミニD-Sub15ピンが用意されている。最近のディスプレイだとHDMIかDisplayPortだと思われるが、古めのディスプレイを流用するなら便利。またPS/2コネクタもあるので、キーボードの流用も間違いなくできる。

 カスタマイズでは、メインメモリやSSDの容量増、HDDの追加、光学ドライブをBDドライブに変更、内蔵カードリーダの追加などには対応する。ビデオカードの追加オプションはない。

 拡張スロットはPCI Express 3.0 x16が1基、同x4(x16形状)が1基、同x1が1基となっており、いずれもロープロファイルとなる。後々のビデオカードの追加も可能ではあるが、カードのサイズには注意が必要だ。

 なおスペックシートにはTPM 2.0の対応も書かれており、Windows 11へのアップグレードにも対応できるはずだ。

画質を調整すれば「Fortnite」もまずまず遊べる

 次は実機を使ってベンチマークテストを行なう。利用したのは、「PCMark 10 v2.1.2523」、「3DMark v2.20.7256」、「VRMark v1.3.2020」、「PHANTASY STAR ONLINE 2 NEW GENESIS Character Creator」、「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク」、「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」、「STREET FIGHTER V ベンチマーク」、「Cinebench R23」、「CrystalDiskMark 8.0.4」。

 なお今回の試用機に使われているパーツのうち、ビデオカードやストレージなどのようにスペックシートで明確に製品の指定がないものについては、実際の製品では異なるパーツが使用される場合もある。あらかじめご理解の上、ご覧いただきたい。

【表2】ベンチマークスコア
「PCMark 10 v2.1.2523」
PCMark 10 6,213
Essentials 10,621
Apps Start-up score 14,577
Video Conferencing Score 8,909
Web Browsing Score 9,226
Productivity 9,148
Spreadsheets Score 13,754
Writing Score 6,085
Digital Content Creation 6,699
Photo Editing Score 8,960
Rendering and Visualization Score 6,934
Video Editing Score 4,839
「3DMark v2.20.7256 – Time Spy」
Score 1,229
Graphics score 1,074
CPU score 6,894
「3DMark v2.20.7256 – Fire Strike」
Score 3,169
Graphics score 3,467
Physics score 25,130
Combined score 1,073
「3DMark v2.17.7137 – Wild Life」
Score 6,327
「3DMark v2.20.7256 – Night Raid」
Score 12,623
Graphics score 12,576
CPU score 12,902
「3DMark v2.20.7256 – CPU Profile」
Max threads 6,582
16 threads 6,574
8 threads 5,389
4 threads 3,369
2 threads 1,747
1-thread 905
「VRMark v1.3.2020 – Orange Room」
Score 1,758
Average frame rate 38.33FPS
「VRMark v1.3.2020 – Cyan Room」
Score 1,193
Average frame rate 26.01FPS
「VRMark v1.3.2020 – Blue Room」
Score 283
Average frame rate 6.16FPS
「PHANTASY STAR ONLINE 2 NEW GENESIS Character Creator」(簡易設定6)
3,840×2,160ドット 342
1,920×1,080ドット 491
1,920×1,080ドット(簡易設定1) 5,564
「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」(高品質)
3,840×2,160ドット 466
1,920×1,080ドット 1,207
1,920×1,080ドット(軽量品質) 2,277
「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク」(最高品質)
3,840×2,160ドット 911
1,920×1,080ドット 3,112
1,920×1,080ドット(標準品質(ノートPC)) 5,155
「STREET FIGHTER V ベンチマーク」(画面品質:最高)
3,840×2,160ドット 8.77FPS
1,920×1,080ドット 29.47FPS
1,920×1,080ドット(画面品質:中) 59.35FPS
「Cinebench R23」
CPU(Multi Core) 13,452pts
CPU(Single Core) 1,495pts

 結果を見ると、やはりCPUの結果はかなり良好。特にマルチコア時のスコアがよく、「Cinebench R23」のMP Ratioは9だった。また「3DMark」の「CPU Profile」を見ると、1スレッド動作中は動作クロックが4.6GHz前後で、16スレッド動作中でも概ね約4.2GHz以上は出ており、マルチコア動作でも高い動作クロックを維持しているのが確認できた。

 これに対して、3D処理やゲーム系のスコアはさすがに厳しい。4Kかつ最高画質での動作はどのゲームでも実用的ではなく、フルHDに下げてもまだ厳しいものが多い。

 そこで、どこまで画質を落とせば実用的かも探ってみた。「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」はプリセットの最低画質になる軽量品質を選んでも「重い」の評価で、実用的なレベルに達しない。

 これに対して、「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク」は標準品質(ノートPC)では「普通」。「PHANTASY STAR ONLINE 2 NEW GENESIS Character Creator」では、簡易設定で最低の1を選ぶと、「標準的な動作が見込めます」との評価になった。何とか遊べるレベルと言っていいだろう。

 「STREET FIGHTER V ベンチマーク」では、画面品質を中にすると、概ね60fpsを維持できるという状態。こちらは格闘ゲームで、コマ落ちが発生する場面は極力なくしたいので、筆者が実際にプレイするならもう少し余裕を持つべく画質を下げたい。

 また実際のゲームプレイのテストとして、「Fortnite」のバトルロイヤル1戦と、「Apex Legends」のチュートリアル1周を試した。計測にはNVIDIA FrameViewを使用し、フレームレートをチェックした。

 解像度は1,920×1,080とし、画質を調整しながら満足のいくフレームレートを探ってみた。その結果、「Fortnite」では画質プリセット「中」、「Apex Legends」では全てのグラフィックス設定を最低にした。実際のデータは下記の通り。

【表3】ゲームのフレームレート
「Fortnite」
平均 70.334 fps
下位90% 58.114 fps
下位95% 54.975 fps
下位99% 47.538 fps
「Apex Legends」
平均 48.998 fps
下位90% 30.222 fps
下位95% 28.554 fps
下位99% 26.042 fps

 「Fortnite」では、画質プリセット「中」の状態で平均フレームレートが約70fpsとなった。また下位99%でも50fps弱となっており、実際のゲームプレイでも極端なフレームレートの低下は感じられない。いい画質とは言えないものの、プレイ自体は問題ないという印象だ。もう1段階画質を下げる設定もあるが、さすがに映像が汚すぎるのでおすすめできない。

 「Apex Legends」では、画質設定を最低にしても平均で50fps未満。下位99%では30fpsを割り込み、ややカクカクした映像に感じられることもある。「Fortnite」ほど見た目の画質は落ちないので遊べなくはないが、チュートリアルでこの状態なので、実戦ではより厳しいシーンも多いと思われる。とりあえず動かせるが、満足できるとは言えない。

「Fortnite」で画質プリセット「中」を選んだ時のプレイ画面。このくらいの画質でよければそこそこ快適に遊べる

 以上のデータから、フルHDで画質を下げればそれなりに動作できる3Dゲームもあると言っていいだろう。とは言え最新のゲームだと、いくら画質を下げてもまともに動作しないものも多そう。あらゆるタイトルを全力で遊ぶ環境としておすすめはしないが、タイトルと設定を選んで使えるなら選択肢に入れてもいい。

 ストレージは、今回の試用機ではWestern Digital製SSD「WDS500G2B0C」が使われていた。「WD Blue」シリーズとされる製品で、シーケンシャルリードは約2.5GB/s、ライトも約1.8GB/sと十分に高速だ。DVDスーパーマルチには、日立LGデータストレージ製「GH24NSD5」が使われていた。

Western Digital製SSD「WDS500G2B0C」

実用性は十分、拡張性も意外と高いスリムケース

場所を取らないスリムケース。電源ボタンのある前面中央部だけシルバーの配色

 続いて実機を見ていこう。幅が10cm弱という薄い筐体は、最近の大型化したゲーム機と同じくらいのサイズという印象。奥行きは40cm強とデスクトップPCらしい長さがあるものの、設置場所の自由度はかなり高い。

 置き方は縦置きを想定していると思われるが、底面に脚部パーツはなく、金属プレートで接地する。重心はかなり低く、重さもそれなりにあるので、ぶつかったりしない限りは倒れる心配はなさそうだ。また右側面には空気穴のようなものはないので、こちらを底面にして横置きにしても問題はないだろう。

 色はほぼ全面がブラックで、背面のみグレー。前面の中心付近にシルバーのワンポイントが入っている。シルバー部分に電源ボタンがあるので位置が分かりやすく、見栄えだけでなく使い勝手にも配慮したデザインになっている。

 前面は上部左側にDVDスーパーマルチドライブを内蔵。スロットイン式ではなく、トレイが縦に飛び出してくる形になる。上部右側は押すと開くパネルがあり、その中にUSB端子とヘッドフォン端子、マイク端子がある。同様に下部右側も開くパネルがあり、外向きに出せる3.5インチベイが見えるが、試用機では使われていなかった。

 左側面と天面の上部には、いずれも後方に空気穴が空けられている。設置の際にはこの2面を塞がないように注意。

※写真は旧モデルのSTYLE-S0B5-R75G-EZXのため、インターフェイスの構成が若干異なります

 内部にアクセスするには、背面にある3つのネジを外す。外装パネルは天面、左側面、底面が一体化したコの字型になっており、右側面を下にした横置きの状態にして取り外す。

 ケースファンは前面に8cmファンが1基あるだけ。電源は8cmファンを内蔵したもの。前面吸気、電源から排気というのが基本的なエアフロー。CPUには一回り大きな10cmほどのファンが搭載されており、こちらは側面と天面の空気穴から自然にやり取りする形だ。

 ビデオカードを搭載せず、ストレージもM.2のみとあって、内部構造はとてもシンプルだ。前面下部には3.5インチベイが2つと2.5インチベイが1つあり、スリム筐体にしては意外とストレージの拡張性も高い。

 騒音は、アイドル時には少し離れた場所でもファンの回転音が聞こえる。生活音に紛れる程度の音なので、オフィスやリビングでの使用も何ら問題ない。

 GPUに高負荷をかけても、騒音レベルはほとんど変わらない。CPUが高負荷になるとファンが高回転し始め、アイドル時より少し高い音が聞こえる。それでも音量はかなり小さいままで、騒音レベルの変化を気にするほどではない。何かの作業時に高負荷状態になったとしても、周囲を気にする必要はないだろう。

仕事や勉強に活用しつつ、ちょっとした3Dゲームを遊ぶならアリ

基本性能は十分高い。ゲーム向けではないが想像以上に戦える

 オフィス用などの一般用途としては、スリムケースで取り回しがよく、それでいてCPUやSSDの性能は十分に高い。HDD追加などのカスタマイズも可能で、騒音も気にならない程度に収まっている。トータルで見て、特に不満を覚えるポイントは見当たらない。強いて言えばDisplayPortとUSB Type-Cがあると嬉しかったくらいか。

 あえてゲーム用として評価した場合、さすがに3Dゲームを快適に遊べるレベルとは言えない。とは言え「Fortnite」や各種ゲームのベンチマークテストの結果を見るに、画質をある程度妥協すれば、軽めの3DゲームであればフルHDでとりあえず遊べるレベルに達するものもある。

 例えば子供がPC版の「Fortnite」を遊びたいというなら、本機をリビング用PCも兼ねて買ってやれば、一応の納得は得られそうだ。ロープロファイルながらPCI-Express x16も空いているので、将来的にビデオカードの追加も不可能ではない。

 本機をHDMIでテレビにつなぎ、主な用途としてテレワークなりリモート授業なりで活用しつつ、その気になればちょっとした3Dゲームも遊べる、と考えれば十分な性能だろう。3Dゲームが「とりあえず動く程度」とは言え、内蔵GPUで現行の3Dゲームが実用的に動かせるだけで、筆者からすると隔世の感がある。やっぱりZen 3 APUはすごかった、と素直に褒めたい。

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