ひろゆき氏が挙げる社会常識4つ – PRESIDENT Online

BLOGOS

10月31日に投開票された衆議院選挙。自民党は国会を安定的に運営できる絶対安定多数の261議席を獲得した。実業家のひろゆきさんは「若い人に向けて『選挙に行けば政治を変えられる』とよびかける人がいますが、これはウソです」と語る。その理由とは何か。必ずしも正しいとは言えない4つの“社会の常識”を挙げよう――。

※本稿は、ひろゆき『誰も教えてくれない 日本の不都合な現実』(きずな出版)の一部を再編集したものです。

ひろゆき氏ひろゆき氏 – 撮影=長谷英史

日本の食料自給率を低く見せたい農水省の意図とは

農林水産省が発表した日本の食料自給率は38%(2017年)。この数字から「日本はヤバイ!」などと考える人がいますが、心配にはおよびません。

というのも、この食料自給率はカロリーベースで計算しているからです。これはつまり、「日本人が摂取するカロリーのうち、どれだけを日本でまかなっているか」ということです。カロリーの高い小麦粉や、油などをたくさん輸入していたら、カロリーベースの自給率は下がります。

逆に、カロリーの低い野菜の自給率がわりと高くても、食料自給率にはあまり反映されません。ちなみに生産額ベースでの食料自給率だと66%と大きくはね上がります。

同じ統計を品目別にみると、野菜の自給率が79%とかなり高いのにくらべて、小麦の自給率は14%、油(油脂類)は12%とかなり低くなっています。

いまの日本人はパンやパスタをよく食べるし、サラダ油やラードもよく使いますから、当然、全体の自給率は下がります。でも、小麦粉は世界中でつくれるし、外国から買ったほうが日本で生産するよりも安いから、輸入すればいいだけですよね。ラードなんかもそうです。

逆に、輸入するのが難しい野菜の自給率を気にしておけばいいわけです。先進国で農業国ではない日本の食料自給率は、まあまあの水準といえるのではないでしょうか。

じゃあ、なぜ農林水産省はカロリーベースで計算するのか。日本の食料自給率が低いという印象を持たせたほうが農林水産省にまわる国家予算が増え、好都合だからでしょう。こんなことは、本当はどうでもいいのです。数字にはだいたい、なにかしらの意図が隠されているものです。

世の中は「ウソをついた者勝ち」になっている

初めて新幹線を建設させた十河(そごう)信二という人は「新幹線の父」とよばれています。ところがこの人、新幹線の建設を国会で認めさせるにあたって、大ウソをついているんです。いったん工事が始まったら途中でやめられないのをいいことに、実際にかかりそうな額よりもはるかに少ない経費で建設できるってウソをついたわけです。

ひろゆき『誰も教えてくれない 日本の不都合な現実』(きずな出版)
ひろゆき『誰も教えてくれない 日本の不都合な現実』(きずな出版)

これは僕の想像ですが、彼としては「ウソをついてでも、新幹線を実現させたほうが日本のためになる」といった確信があったのでしょう。

いいか悪いかは別にしても、実際のところ、世の中では大ウソつきの主張がまかりとおることがたくさんあります。イギリスで2016年におこなわれたEUから離脱するかどうかを問う国民投票でも、離脱派が並べたてた離脱のメリットにウソがありました。そのことを当時のキャメロン首相をはじめ多くの人が指摘していましたが、結局、離脱派が勝ちました。

安倍晋三元首相も、柱となる政策の1つに、物価の2%上昇をかかげましたが、実現しないまま長期政権を続け、やめました。ウソをつくのは選挙に勝ちたいなどの理由からですが、日本だとたとえウソがばれても困ることはないようなので、世の中は「ウソをついた者勝ち」になってしまっています。

そういう社会がいいとは思いませんが、とにかく、世の中がそうなっているということは、知っておいたほうがいいでしょうね。

そんなウソがまかり通って実現したのが2021年の東京オリンピックです。招致段階で7340億円と報告された大会経費は、新型コロナが流行する前の2019年12月の時点で1兆3500億円とほぼ倍増し、21年には1兆6440億円にまで増えています。新幹線のような結果オーライになるかどうかは、みなさんの判断次第……ですね。

「経済が回らないと人は死ぬ」はウソ

コロナ禍において、「経済を回さないと人が死んでしまう」と主張する人がちょろちょろいますよね。休業要請やお客さんの減少で経済的に苦しくなると、自殺する人が増えるという考えですが、ストレートに信じてはいけない意見です。

そもそも、人は本当に経済が回らないと自殺を選ぶのでしょうか? たしかに日本では景気と自殺者の数が関係あることが指摘されていますが、アフリカなどには、もう何十年も景気が悪いのに自殺者が少ない国も存在します。

日本で年収200万円だと低所得者ですが、世界の多くの人は年収100万円以下で暮らしています。要は、日本で景気と自殺者数が関係あるにせよ、それは経済状況そのものからというよりも、気の持ちようの問題なんじゃないかと考えられるのです。

また、緊急事態宣言で外出する人が大きく減った2020年4~5月には、自殺者の数が減ったというデータもあります。つまり、給付金などのお金をもらって、働かないで、外出を控えたら、自殺する人が減ったということです。

自殺者の数が減った直接の原因ははっきりしませんが、いずれにせよ、「経済が回らなくても人は死なない」ことがはっきりしました。

いまの時代、お金なんかなくたって楽しく暮らせます。にもかかわらず、「お金が回らないと人は死ぬ」というのは、「人はお金がないと死ぬのが当たり前」っていう価値観をつくり出しているようにしか思えません。

コロナ禍で経済上の苦労から自殺を選ぶ人がいるのも、本当は「人はお金がないと死ぬのが当たり前だよね」といった価値観の影響ではないでしょうか。むしろ僕は、「お金がないから自殺するのって、よく考えたらヘンだよね」という価値観をつくっていくべきじゃないかなと思います。

若い人が選挙に行っても、政治は変えられない

若い人に向けて「選挙に行けば政治を変えられる」とよびかける人がいますが、これはウソですね。日本は平均年齢が48歳の、高齢社会だからです。20歳から39歳までの日本人は、40歳以上の人の3分の1しかいないんです。

となると、20歳から39歳までの人が全員選挙に行ったって、40歳以上の人の多くが選挙に行ったら、そちらの意見が尊重されます。

40歳以上の人の投票率は5割に近いので、39歳以下の人ははじめから‟負け戦いくさ”。どんなにがんばっても、人数で勝てません。

もちろん「選挙に行けば政治を変えられるというメッセージは、まったくのウソではありません。高齢者が政治を変えたいのなら、事実です。高齢者が全員選挙に行けば、政治家も彼らが望む政治をするでしょう。

でも、少数派の若者の全員が選挙に行っても、若者向けの政治が行われることはありません。いまの日本政府は、与党も最大野党も、高齢者向けのことしかいいません。高齢者が受け取る年金や医療費を抑えないとまずいとわかっているのに、なかなか手を入れません。

一方、子育て・少子化対策だとか非正規社員の就労支援など、若い世代のための政策はなかなか実現されません。政治家も、高齢者にウケる政策をしないと選挙で勝てないのが、いまの日本の現実なのです。若者の支持を集めて選挙に勝つ人もいるでしょうが、政治を変えるほどにはなれないでしょう。

こういうウソをつくのって、よくないとぼくは思います。というのも、このウソは「若者が選挙に行かないから、政治が高齢者好みのものになっている。いまの政治が悪いのは若者の責任だ」といっていることの裏返しになるからです。

明らかに間違っています。若者が全員選挙に行ったって初めから勝てないこの仕組みこそ、政治が変えてほしいですけどね。

———-
ひろゆき(ひろゆき)
2ちゃんねる創設者
本名は西村博之。1976年、神奈川県生まれ。東京都に移り、中央大学へと進学。在学中に、アメリカ・アーカンソー州に留学。1999年、インターネットの匿名掲示板「2ちゃんねる」を開設し、管理人になる。2005年、株式会社ニワンゴの取締役管理人に就任し、「ニコニコ動画」を開始。2009年に「2ちゃんねる」の譲渡を発表。2015年、英語圏最大の匿名掲示板「4chan」の管理人に。2019年、「ペンギン村」をリリース。主な著書に、近著『僕が親ならこう育てるね』(扶桑社)ほか『無敵の思考』『働き方 完全無双』(大和書房)、『論破力』(朝日新書)などがある。
———-

(2ちゃんねる創設者 ひろゆき)

Source

タイトルとURLをコピーしました