今週のつぶやき:つまらない選挙と生き残る韓国 ほか

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集団競技は選手の力量だけを総合的に見るとさほど違いがあるものではありません。監督の指導力に負うところが大きいわけです。ヤクルトを2年連続最下位から優勝に導いたのは2年目の高津臣吾氏。巨人の原監督は賞味期限切れかもしれません。そしてへぇと思ったのが日ハムが新庄剛志氏を来期に起用したこと。指導未経験者を採用する思いっきりのよさは新GM稲葉篤紀氏とのセット起用でしょうか?2019年に放映されたドラマ「ノーサイドゲーム」の野球版を再現できるでしょうか?

では今週のつぶやきをお送りします。

GAFA体制は新時代を迎えるのか?

決算シーズンを迎えていますが、個人的に最大の注目はGAFA体制の行方、であります。2週間ほど前にアマゾンのビジネスモデルは大丈夫か、と意見させていただきました。7-9月決算で売上はわずか15%増、特にネット通販は3%増に留まり成長限界の可能性が出ています。利益は50%ダウンで話になりません。理由は「誰もアマゾンで働きたくない」。給与も待遇も素晴らしいものを提供するも多くの若者はマインドリッチになり生理的拒否反応を示します。もう一つ、アップルの決算も印象に残らなかったけれど最大の注目はフェイスブックです。

同社の決算そのものは悪くはなかったけれどアンチフェイスブックの風がより強く吹き、将来性に大きな疑問符が付きました。そこでメタバース(仮想世界)を新ビジネスにすると発表、社名を「メタ」にすると発表します。しかし、これはグーグルがアルファベットというのと大して変わるものではなく、逆風はより強まるとみています。社会的にSNSの在り方が問われる、これが私の予見するところです。

一方、さすが、と思わせたのがグーグル、マイクロソフト、テスラでした。業種が違うのでひと括りにできませんが、今後、優勝劣敗はより鮮明になってくると思います。いつも言うようですが、世の中の動きや技術革新のペースが速いので図体が大きくなった会社が方向転換するのはごくわずかでも大変な作業になります。その点で一番苦労するのがアマゾン。アップルもいつまでも熱心な信者が守ると思っていると危険です。だけど、アップルの携帯持ってテスラに乗ってアマゾンで買い物してインスタするって「バイアメリカン」の何物でもない、ともいえるのですが。

つまらない選挙、だけど結果には注目

私だけでしょうかね、つまんない選挙だったなぁと思っているのは。選挙戦前に「対立軸がない」と指摘しました。これでは「マクドとモスとバーキンの戦い」だけど「僕は牛丼が食べたいな」という欲求を満たさなかったということです。もう一つ、ご批判はあるかもしれませんが、矢野財務次官の記事を頭越しに批判したこともいやな展開のきっかけを作ったと思います。私は論文を読みました。古代ローマの「パンとサーカス」を例に挙げていますが氏の主張は財務省トップとしては保持すべき対立軸だったのです。それを一部の著名人が頭ごなしに否定したことは大いなる反省点です。

政治とは常に様々な意見がガチンコ勝負するところに面白さがあります。ところが昨今のポピュリズムは選挙民に耳障りの良いことを次々並べます。多くは明日の活力より今夜のごはん的政策です。ばら撒いて収入が上がるといいますが、バラマキは一回だけです。ではその次はどうするのでしょうか?そうではなくて足腰を鍛え、筋肉質にして、頭脳明晰になるよう現代版寺子屋をやるぐらいの発想が欲しかったと思います。

もう一つ、私が懸念しているのは投票率。5割が一つのボーダーライン。これを下回るようならば国民がそもそも政治に期待していないということになります。日本人の体質からは役人や政治家は「お上」なのです。そこには圧倒的な立場の差があり、「お上が庶民の生活設計をしてくれる」という絶対的「依頼心」があるのです。頼れるかどうか、そこが全て。だけど若者は距離を置き、高齢者は声を上げるわけです。さて、明日、蓋を開けた投票率はどうなるか、そして結果がどうなるかです。私は立民が130台後半、維新が30台半ばまで伸ばせるとみています。自民はかろうじて過半数を維持、とみていますが、さてさて。

「だるまさんが転んだ」で生き残る韓国

私は歴史問題にずっと接してきましたのでかの国はそれなりに見続けています。また、カナダには韓国人は多いし、ビジネス上の付き合いは必ず出てきます。選択肢がないのです。なぜかといえばアジア系の会社に業務をお願いする安心感を求めても日系は少ないのでその要求を充足できないのです。韓国系はビジネスのすそ野が本当に広いし、北米では中国系、フィリピン系、ベトナム系などと並び根を張っています。

今、私は「イカゲーム」を見ています。第一話は衝撃的でした。目に焼き付いて離れないのです。こちらのメディアにも英語でsquid gameと表現されるなど世界標準の「新語」にすらなりえます。ネットフリックスの収益を支えた番組とされます。日本ではネトフリに加入されていない方がほとんどなので地上波で無料で見られる番組のようなブームになりません。それが逆に韓国の変化を見落としている部分だと思うのです。

イカゲーム Netflix 公式サイトより

自動車ではヒュンダイのSanta Cruzは今まであまり注目されなかった4ドアトラック型SUVというジャンルで内装ははっきり言って電装品です。正直ヒュンダイのブランドでなければアウトドア派としては欲しいくらいです。サムスンの折り畳み携帯も見事な発想。日本が気にしなくてはいけないのは歴史問題や国家間の関係で見ず、嫌い・食わず嫌いをしているうちに彼らは日本の前を行き始めているという点です。私は歴史問題に接しているからこそ韓国を見ています。そして客観的にみて創造力と生きる力は想像以上に逞しいという気がしています。「イカゲーム」の「だるまさんが転んだ」で生き抜くんです、彼らは。

後記
当地で進めていた不動産開発事業にかかる土地用途変更の交渉と作業が全部終わり、今週、議会で承認されました。この許認可作業に2年の月日と議会議決を4回経ています。その間の交渉と実務作業は設計士と私が役所の担当者と詰めていくわけで正直、最後はヘロヘロでした。この後建築許可を取得し、ようやく着工という長い道のり。日本ならとっくに建物は完成しています。が、長い道のりをかけるのは都市計画上の役所の理論的かつ実務作業との摺合せをする必要があるからでその点はパッチワーク的な日本の都市開発とはだいぶ違う点です。日本企業で北米で土地用途変更をする会社はほとんどないと思います。私はこれで2度目ですが、体力、気力、胆力、財力が要求される「マジゲーム」です。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2021年10月30日の記事より転載させていただきました。

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