「Wi-Fiが遅い!」ネット速度低下の原因と対策7選。“切り分け”で問題点を見つけよう【超入門! ネットワーク基礎】

INTERNET Watch

 いつもの場所とインターネットに最も近い場所で速度がほぼ変わらず、それでも「遅い」と感じる場合は、 自宅の外、つまり回線やISP(インターネットサービスプロバイダー)側に問題がある と考えていいでしょう。

 第1回では、実効速度100Mbpsを、おおむね快適に利用できる目安としてしました。インターネットに最も近い場所ですでに100Mbpsを大幅に下回るようであれば、回線やISPの改善を検討した方がいいかもしれません。その前に、現在の契約状況や回線に問題がないか確認してください。

(1)自宅までの回線やレンタルされた機器に問題がある→書類やウェブで契約内容を見直したうえで、サポートに問い合わせよう

 基本中の基本として、現在利用しているISPの契約内容を確認しましょう。すでに何年も使っているなら、自分が記憶しているよりも遅いサービスを契約したままかもしれません。ISPから書面で送られてきている契約情報や、ウェブサイトの会員ページの情報を見てみてください。契約しているプランが遅いプランである場合は、「(2)現在のISPとの契約では現状では満足できる速度が出ない」を参照してください。

 契約に問題がなかった場合、自宅までの回線(集合住宅なら建物内の配線も含む)や、レンタルしているホームゲートウェイなどの機器に問題がある可能性が考えられます。これらは自分でチェックするのは難しいので、「インターネットが遅い」ことについて、 一度ISPのサポートに相談 してみてください。

 回線や機器のチェックだけでなく、場合によっては、プラン変更で速度アップできる可能性についても相談できるでしょう。光回線のインターネット接続サービスは進化を続けており、今では個人宅に10Gbpsの回線を引けるサービスもあります(エリアによっては引けない場合もありますが)。

 集合住宅では自由に回線を切り替えることが難しいですが、最近ではテレワーク対応のためなどで集合住宅に引き込まれる回線がいつのまにかアップグレードさていたり、戸建て用の回線を導入可能になっていたりするケースもあるようです。管理会社に確認してみるといいでしょう。

【コラム:「IPoE接続」の利用で高速化できることも】

近年ではIPv6接続が普及していて、ほとんどの光回線では、かつて使われていた「PPPoE(Point-to-Point Protocol over Ethernet)」という接続方式に代わり、従来とは異なる通信網を利用して高速な通信が期待できる「IPoE(Internet Protocol over Ethernet)」という接続方式が利用できます。

ここではIPv6やIPoEについて詳細な説明は省略しますが、契約している回線でIPv6 IPoE接続(IPoE方式によるIPv6接続)が可能になっていて、まだ利用していなかった場合、切り替えることで、同じ契約のままで従来よりも高速化できる可能性があります。

利用可能か確認する方法はISPにより異なりますが、私が利用しているISP「ぷらら」では、ウェブサイトの「マイページ」から、設定の確認と変更が可能です。有効化すると、約1日間の切り替え処理後に利用可能になります。

私の家では、IPoEを利用することで通信速度が3割程度上がりました。環境によって効果の大きさには差があると思いますが、一度設定を確認してみてください。

ぷららのマイページでは「ホームゲートウェイによるIPoE接続」をオンにすることで、IPv6 IPoE接続が有効になります

(2)現在のISPとの契約では満足できる速度が出ない→ISPのプラン変更、または乗り換えをしよう

 契約内容やケーブルやホームゲートウェイに問題はないけれど遅い、というときには、同じISPのより高速なプランに変更するか、ISPを乗り換えるか、の選択となります。

 ISPのサポートと相談し、より高速なインターネット環境が手に入れられるようであれば、 プラン変更がおすすめ です。同じISPと契約したままなので手間も費用も抑えられ、レンタルしている機器がそのまま使えるケースもあります。

 ISPを乗り換える場合、まずはどの回線が選べるかを確認してください。ただし、現在光回線を利用している場合、利用可能なそれより速い回線が存在しないことも多いです。

 現在、家庭からインターネットを利用するための回線には、主に、光回線、CATV回線、モバイル(5G)回線、その他(ADSL、マンションが独自に導入している回線など)、の4種類が挙げられます。

 このうち光回線は最も一般的かつ有力で、現在の標準的な光回線で1Gbpsの通信速度、高速なもので10Gbpsが期待できますが、自宅に10Gbpsなどの高速な光回線を導入可能かどうかは、確認が必要です。サービスエリア外である、集合住宅で管理会社や大家の同意が得られない、集合住宅の設備に問題がある、などの理由で導入できないことがあります。

 ただし、 現在利用しているものと同じ光回線のままでも、ISPを乗り換えることで高速化できる 場合もあります。NTT東西の光回線サービス「フレッツ 光」を利用している場合は、同じくフレッツ 光を利用している(「フレッツ 光コラボ」と呼ばれるISPを含む)OCN、BIGLOBE、ぷらら、@nifty、などの多くのISPから乗り換え先を選べます。

 自宅から通信事業者(NTT東西)までは同じ光回線でも、各ISPが持つ設備や、ISPからインターネットへの接続点となる「IX(Internet Exchange)」と呼ばれる装置までの回線がISPごとに異なるため、速度の差が生じます。以下の図のようなイメージです。

 どのISPが高速だと一概には言えませんが、乗り換えを考える場合は、IPv6 IPoEのようなサービスの有無も確認したうえで、総合的に判断するのがいいでしょう。一般的な傾向としては、料金が高額なISPや大手とされるISPの方が、高品質、つまり高速なサービスが期待できるでしょう。大手ISPは多くのユーザーを抱えていますが、それだけ設備投資も行われているはずです。

 CATV(ケーブルテレビ)によるインターネット接続サービスは、地域により提供事業者が異なり、事業者によって提供される回線の種類や通信速度も変わります。同軸ケーブルによるサービスの場合は数百Mbpsが限界ですが、光回線であれば1Gbpsや10Gbpsが期待できる場合もあり、高速化のために乗り換える対象として考えられます。

 モバイル回線は、NTTドコモなどの携帯電話用の回線を利用するものです。最近では自宅のコンセントに接続するだけで利用可能な「ホームルーター」と呼ばれる機器が登場していて、回線工事を必要としない手軽さが魅力です。

NTTドコモのホームルーター「home 5G」。工事不要で導入でき、5Gエリアでは高速通信が可能

 通信速度は、従来(4G)だと遅いと言わざるをえません。しかし、5Gの電波が入るエリアでは、1Gbpsを超えるような通信速度で利用可能とする機器も登場しています。ただ、自宅で実際にどの程度電波が入り、期待どおりの速度が出せるかは、使ってみないと分からない面もあって安易におすすめはできません。

 UQ WiMAXでは「Try WiMAX」という15日間のお試しが可能で、記事執筆時点ではauの4G通信回線とWiMAXを利用したホームルーターを試せます。5Gに対応したホームルーターも試せるようになったら、導入前に試せるサービスとして注目です。

Source

タイトルとURLをコピーしました