「地球外生命体が発見された時に踏む手順」を整備すべきとNASAの科学者が主張

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これまで地球外生命体が確実に存在する証拠は発見されていませんが、多くの科学者が「地球外生命体は存在する可能性が高い」と考えています。アメリカ航空宇宙局(NASA)の主任研究員であるジェームズ・グリーン氏らの研究チームは、「地球外生命体の存在を追究する研究の枠組み」をあらかじめて決めておくべきだと主張しています。

Call for a framework for reporting evidence for life beyond Earth | Nature
https://doi.org/10.1038/s41586-021-03804-9

NASA Says We Need to Talk About What Happens When We Find Life Beyond Earth
https://www.sciencealert.com/nasa-says-we-need-to-talk-about-what-happens-when-we-find-life-beyond-earth

人類は地球外生命体の存在を探し出すため、世代を越えて研究を続けていますが、突然ある日「宇宙人は存在することが確定した!」とはっきり決まるものではありません。地球外生命体の存在は、発見された痕跡について科学的な調査と分析を行った結果、ようやく少しずつわかってくるものだとグリーン氏らの研究チームは述べています。

研究チームは論文の中で「宇宙科学において生命発見の目的がますます重要になるにしたがって、多様的で複雑であり、かつセンセーショナルになる可能性が高いこのテーマについて、どのように情報を伝えるか、コミュニティでの対話が不可欠となっています」と述べ、地球外生命体についての研究は慎重に行われるべきだと主張しました。

歴史上「地球外生命体の存在が確認できた」という主張は数多く存在しますが、後に誤りやあいまいな部分が明らかになってきました。研究チームは、発見された痕跡をうのみにするのではなく、まずは痕跡が誤っていないかどうか検証を重ねていく姿勢こそが科学的なプロセスであると指摘しています。


また、「地球外生命体をついに見つけた」というニュースは人類にとってかなり衝撃的なものであり、社会に大きな混乱をもたらす可能性があります。地球外生命体の存在を示す痕跡を入手してすぐに報じることは、報道が痕跡の科学的正しさの検証に先立つこととなり、結果として痕跡が誤りであることが明らかになれば、一般市民から科学研究への信頼性も下がってしまいます。

そこで研究チームは、地球外生命体の検出を評価する「CoLD(Confidence of Life Detection、生命体検出の信頼性)」という尺度を提案しています。CoLDは客観的かつ厳しい基準に照らし合せて、地球外生命体検出の可能性を検証するための尺度です。地球外生命体の存在の痕跡とされるものを標準化した文脈の中に置くことで、研究コミュニティやその研究を追究するより広範なコミュニティが検証・解釈を行うのに役立つと期待できます。また、「地球外生命体を発見した」という重大ニュースを一般の人に発表するまでのプロセスをもっと慎重なものにします。


研究チームは、「地球外生命体の検出という非常に困難な取り組みの初期段階で合理的な期待値を設定し、道筋に沿った漸進的なステップに価値を与え、誤りや行き詰まりが科学的プロセスの中で生産的なものであることを明確にすることで、一般市民の信頼を築くのに役立ちます。対話の結果がどのようなものであっても、重要なのはそれが行われることです。そうすることで、私たちは自分たちの仕事の結果とそれに伴う驚きをより効果的に伝えることができるようになるのです」と述べました。

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2021年10月28日 20時30分00秒 in サイエンス, Posted by log1i_yk

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