「新たな世界観を創るには、クリエイティブが必要不可欠」:Deloitte Digital 熊見成浩 / 八代圭 / 余若帆 / 二澤平治仁

DIGIDAY

時代とともに、コンサルティングファームのあり方も変化している。

コンサルティングファームの得意領域といえば、一番に浮かぶのはやはり戦略だろう。また昨今は、テクノロジー領域にも力を入れるプレイヤーも増えている。そんななか、デロイト トーマツ コンサルティング(Deloitte Tohmatsu Consulting)は、戦略とテクノロジーに加え、クリエイティブ領域の強化にも一層力を入れている。

「何か『新しいもの』や『ワクワク、ドキドキ』するものを生み出すには、戦略とテクノロジーだけでは難しい。クリエイティブが必要不可欠だ」。こう語るのは、デロイト トーマツ コンサルティングで執行役員を務め、同社のサブブランドであるDeloitte DigitalのDeputy Leader熊見 成浩氏だ。

Deloitte Digitalは、新時代のデジタルコンサルティングファームの構築を目的に、2012年に創設された。提供するサービスは、戦略コンサルティング、クリエイティブエージェンシー機能、エンジニアリングの3つの領域に代表され、各領域のプロフェッショナルが、三位一体となってクライアントの課題解決に伴走する点が強みだ。なかでも、Deloitte Digitalが注力しているのがクリエイティブ領域で、人員拡大も積極的に行っているという。

本企画では熊見氏に加え、Deloitte Digitalのクリエイティブ領域の一翼を担う、Marketing & Customer Experience Unitに所属する、クリエイティブディレクター3名を招聘。同社で得られる経験と、クリエイティブの可能性について話を訊いた。

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高まるクリエイティブの重要性

DIGIDAY(以下、DD) Deloitte Digitalでは現在、特にクリエイティブ領域に注力されていると聞いています。なぜでしょうか?

熊見 成浩氏(以下、熊見) 理由は主にふたつあります。ひとつは、何か新しいものやワクワク、ドキドキするものを生み出すには、戦略やテクノロジーとは異なる要素が必要になる。それがクリエイティブです。昨今、AIやデータといったテクノロジーの活用が進んでいますが、これらが得意としているのは、すでに存在する情報を用いた既存最適化です。もちろん、それはそれで非常に大きな価値があり、我々が注力する領域であります。しかし、我々はクリエイティブの要素を掛け合わせることで、その一歩先、つまり既存の壁を壊せるような、新しいIdeaを生み出せるデザイン思考のコンサルティングを目指しています。

もうひとつは、現代社会が情報過多に陥っていることが挙げられます。たとえば、メールアドレスをあるサービスに登録すると、商品・サービスを紹介するメールが必要以上に舞い込んでくる。また、多くの店舗もデジタルサービスも、似たり寄ったりで顧客を引き付けるようにデザインされていません。こうした状況下で顧客のアテンションを獲得するには、一見しただけで共感したり、直観的に感情に訴えることができるクリエイティブが求められます。それは単に外観だけではなく、機能や使いやすさと外観美が共存する状態を指しています。つまり美しいデザインです。

DD 世の中が、クリエイティブ領域を、ますます必要とする方向に動いていると。

熊見 おっしゃる通りです。実際最近は、お仕事をどうお断りするか悩んでしまうほど、引き合いがある状況です。ありがたいですね。

30年後の未来を見据える仕事

DD そのクリエイティブ領域の一翼を担っているのが、Marketing & Customer Experience Unitのみなさんというわけですね。

熊見さんはコンサルタントを、八代さん、余さん、二澤平さんはクリエイティブディレクターを務めているということですが、これまでのキャリアや入社のきっかけ、Deloitte Digitalで得られた経験などを教えていただけますか?

熊見 ほかの3名と違い、私はコンサルティング畑出身です。そのキャリアのなかで、コンサルタントとして一貫してマーケティング領域を黎明期から推進してきたことや、大手広告代理店と共同でビジネスを立ち上げた経験もあり、マーケティング領域が強みになっていきました。

その後私は、マーケティングやデジタルマーケ領域の推進役として、デロイト トーマツ コンサルティングから声をかけてもらいました。自分で会社を起業したいなと思っていたのですが、世界が嫉妬するような企業を日本から創出していこうという思いに共感し、起業をコンサルファームでやるようなつもりでジョインしました。当時は規模は小さく初年度はなんと4人からのスタートでしたが、いまでは100倍近くの組織になりました。グローバルでは18000名の規模となり、Deloitte Digitalがそれなりの知名度となるまで飛躍することに貢献できたと思っています。

熊見 成浩/デロイト トーマツ コンサルティング合同会社 執行役員 早稲田大学大学院非常勤講師。外資系コンサルティング会社を経て現職。「マーケティング」領域に専門性を持つ。コンサルティングの特徴として「Latest Marketing(新しいマーケティング)」を掲げ、深い顧客インサイトの理解と、プロダクト&サービス、価格+インセンティブ、コミュニケーション、複合的チャネル(特にデジタルやNew Media)、そしてクリエイティブを統合的に考えることで顧客価値を最大化する。近年は、デジタルトランスフォーメーションやグローバルマーケティングのプロジェクトを多数推進。

八代 圭氏(以下、八代) 私は、Deloitte Digitalにジョインする以前は、外資系の広告代理店でグローバル企業担当のクリエイティブディレクターを務めていました。

転職の理由は、グローバル企業で経験したノウハウを、日本企業のみなさんに還元したいという思いからです。グローバル企業の多くは、戦略とクリエイティブのコラボレーションを非常に重視します。

そのため、クリエイティブに戦略がしっかり落とし込まれている。アウトップットも、人の心を動かすとてもエモーショナルなものになるケースが多かったように思います。

しかし日系企業に目を向けると、戦略とクリエイティブが一気通貫しているケースは少ない。戦略色がより強く、かつ日本のナショナルクライアントを多く顧客に持つDeloitte Digitalなら、そうした企業のみなさんに対して、私なりの価値提供ができると考えたのです。

ただ入社すると、クライアントへの支援を行ううえで、持つべきスコープが想像以上に「長い」のには驚きました。10年や20年はもちろん、時には30年後ぐらいの未来を見て、戦略を考えるんですよね。ある意味、嬉しい誤算だったのですが「ここまで未来を見ているのか」と、とても驚きました。

八代 圭/デロイト トーマツ コンサルティング合同会社 シニアスペシャルリード シニアクリエイティブディレクター。グローバル広告代理店にて12年の経験・なかでもクリエイティブディレクターとして6年の経験を経て現職。ブランディング・マーケティングコミュニケーションにおけるクリエイティブコンセプトとTVCM、OOH、リテール、デジタル、イベントなど、あらゆるメディアの統合コミュニケーションを得意とする。

上流から関われるという魅力

DD 30年後というのはすごいですね…。余さん、二澤平さんはいかがでしょう?

余 若帆(Rovan Ju Fan Yu:以下、余) 私の前職は、八代も在籍していた外資系の広告代理店のクリエイティブディレクターです。私は台湾出身で、大学生活はアメリカで過ごしていたのですが、卒業後にインターンとしてその広告代理店に入社しました。その後、グループ内での転職や、海外勤務も経験しました。

Deloitte Digitalにジョインしたのは、八代からの紹介がきっかけです。当時は、コンサルティングファームが、それまで広告代理店が担っていたマーケティングやクリエイティブ領域で、広告代理店とは別の切り口で存在感を増しはじめていた時期だったので、私も個人的にその動向には注目していました。

しかし何よりも、「コンサルティングファームなら、より上流の戦略立案から関われる」という八代からの話に魅力を感じ、転職を決意しました。現在、そのとき抱いていた期待以上の経験をさせてもらっています。

余 若帆(Rovan Ju Fan Yu)/デロイト トーマツ コンサルティング合同会社 スペシャルリード クリエイティブディレクター。グローバル系広告代理店数社・複数海外拠点で英語圏・中国語圏のグローバルのブランドコミュニケーションおよび・デジタルを含めた統合マーケティングコミュニケーションに従事。

二澤平 治仁(以下、二澤平) 私も企業は異なりますが、前職は八代や余と同じく、広告代理店のクリエイティブ局に所属していました。

前職での業務には非常にやりがいを感じていました。しかし熊見が話した通り、昨今は企業のクリエイティブへのニーズが拡大しており、私自身、それを肌身に感じていました。たとえば、「社会課題を解決するアイディアを考える」というニーズがあると、具体的な広告手法は当然なのですが、プロダクト開発のコンセプトなど、ビジネスのより上流部分に関与する必要があります。Deloitte Digitalには、そうした視点を磨きつつ、経験を積むことができるフィールドがあると感じました。

私はつい2カ月前にジョインしたばかりなのですが、「上流から関われる」という点に関しては、さまざまなチャンスがあると感じています。実際、クライアントへの提案ひとつとっても、かなり初期の段階にも関わらず、コンサルタントの方から詳細な意見を求められる。今後を考えると、ワクワクしますね。

二澤平 治仁/デロイト トーマツ コンサルティング合同会社 スペシャルリード クリエイティブディレクター。大学卒業後に渡米しサンフランシスコのacademy of university広告学部で専攻、卒業後に大手広告代理店に入社。ロサンゼルスの広告会社での1年間の出向を終えたあと、帰国。世界トップクラスのスマホ・PC・ソフトウェア等を提供するUS企業の専属のクリエイティブとしてグローバルとローカルキャンペーンを長年担当。そして今年の8月よりデロイトに参画。アートディレクション、コンセプト開発やクリエイティブ戦略の知見に基づく、クリエイティブとイノベーションによる課題解決を得意とし、表現を作るだけのクリエイティブではなく、消費者の行動変容を生み新たなカルチャーを作り出すクリエイティブづくりを常に目指している。これまでにカンヌライオンズグランプリ、ACC賞ゴールド、クリエイター・オブ・ザ・イヤーメダリストなど国内外での受賞多数。

ダイバーシティ溢れる組織

DD おふたりとも、ビジネスの上流や戦略に関われるという点で、Deloitte Digitalに魅力を感じたのですね。ちなみに、御社は組織の多様性も特徴のひとつと聞いているのですが、実際のところ、余さんはどのように感じますか?

 Deloitte Digitalには、さまざまなバックグラウンドを持つメンバーが在籍しています。なかでも、我々が所属するクリエイティブチームは、恐らく社内でもっともダイバーシティが浸透していると思います。チームのメンバーの半数以上を、私のような外国籍の人材が占めていますし、日本語が少し苦手でも皆さん優しく接してくれます。マネージャーへの登用も、国籍や年齢は関係ありません。

八代 そうですね。デロイトはグローバルカンパニーですから、そもそも英語でコミュニケーションをとる人も多い。

熊見 また、日本企業の海外進出を支援するケースも数多くあるので、グローバルな人材は重宝されます。異なるバックグラウンドを許容し、それを活かそうという土壌があると思います。

クリエイティブで切り拓く未来

DD では最後に、今後Deloitte Digitalで実現したいことを、それぞれ教えていただけますか?

八代 世の中の人々が、あっと驚くような情報発信をしていきたいというのは、広告代理店時代から変わっていません。ただ現在は、それをメディアだけでなく、コンサルファームの領分である思想やコンセプトという形で届けたいと考えています。

実際、我々が携わるプロジェクトには、「20年後の都市のあり方を考える」といったプロジェクトもあります。プロダクトやサービスだけでなく、企業全体、引いては社会の未来についても、クリエイティブを通じて貢献したいと考えています。

 私は、広告代理店時代は「この商品やサービスをどう売るか?」を軸に考える時間が多かった。それはとても価値のあることです。一方でいまは、クライアントの経営課題そのものを捉え直して、その解決方法を考えることに関心がシフトしています。

二澤平 これからは、広告代理店やコンサルティングファームだけなく、さまざまな領域でクリエイティブが重要視されてくるはず。そのなかで、Deloitte Digitalのクリエイティブチームが中心となる役割を担い、クリエイティブという業態を牽引することで、デロイトだけでなく、この業界の内外で前向きに進めるような「相乗効果」を生めるよう、存在感を示していきたいです。

熊見 冒頭でもお話しした通り、コンサルティングファームはロジカルな領域に強みを持っています。しかし、新たな世界観を作るには、データや戦略に加えてクリエイティブが必要不可欠です。この両方を兼ね備えていることは、Deloitte Digitalの絶対的な強みだと考えています。今後もその価値を最大化できるよう、チームを牽引していきたいですね。

Sponsored by Deloitte Digital

Written by DIGIDAY Brand STUDIO(海達 亮弥)
Photo by 渡部幸和

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