アリババがクラウドコンピューティングを最適化する「中国最先端」のサーバーチップ「Yitian 710」を発表

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現地時間の2021年10月19日、アリババグループの子会社でクラウドコンピューティングサービスを提供するアリババクラウドが、データセンター向けの新しいサーバーチップ「Yitian 710」を発表しました。

Alibaba Unveils One of China’s Most Advanced Chips – Bloomberg
https://www.bloomberg.com/news/articles/2021-10-19/alibaba-unveils-one-of-china-s-most-advanced-chips

China’s Alibaba unveils custom ARM-based server chip for cloud computing data centers
https://www.dealstreetasia.com/stories/alibaba-data-centers-265694/

Alibaba Cloud Unveils New Server Chips to Optimize Cloud Computing Services
https://finance.yahoo.com/news/alibaba-cloud-unveils-server-chips-030000117.html

Alibaba unveils custom ARM-based server chip for cloud computing data centers | Reuters
https://www.reuters.com/technology/alibaba-unveils-custom-arm-based-server-chip-cloud-computing-division-2021-10-19/

Alibaba Cloud to build own servers with new in-house chip | ZDNet
https://www.zdnet.com/article/alibaba-cloud-to-build-own-servers-with-new-in-house-chip/

アリババグループの技術と科学の研究をリードするDAMO内でチップ開発を担当する「T-Head」が、クラウドコンピューティングサービス向けのサーバーチップ「Yitian 710」を開発しました。これと同時に、アリババグループは独自開発サーバーとなる「Panjiu」も発表。PanjiuとYitian 710の組み合わせにより、コンピューティングパフォーマンスとエネルギー効率を最適化することが可能となり、アリババクラウドの主要なクラウドサービスを強化することができるようになるとのこと。

Yitian 710は5nmプロセスで製造されたサーバー向けチップで、動作周波数が最大3.2GHzのArmコアを128個搭載しており、優れたパフォーマンスと高いエネルギー効率を実現しています。各プロセッサチップは600億個のトランジスタで構成されており、最新アーキテクチャのArmv9と互換性がある最初のサーバー向けチップとなる模様。この他、8つのDDR5チャンネルと96レーンのPCIe 5.0を備えています。

Yitian 710はCPU整数処理能力を測定するための標準ベンチマークであるSPEC CPU2017で「440」というスコアを叩き出しており、これは既存のArm製サーバー向けプロセッサのパフォーマンスを20%、エネルギー効率を50%上回っています。


DAMOのヘッドを務めるジェフ・チャン氏は、「アリババグループのエコシステム全体で現在および将来のビジネスをサポートするためにYitian 710を使用する予定です。また、近い将来にYitian 710を搭載したサーバーを駆使した次世代コンピューティングサービスをクライアントに提供する予定です」と語っています。

また、チャン氏は「Intel、NVIDIA、AMD、Armなどのグローバルパートナーと協力し、コンピューティングインフラストラクチャーを革新し続け、グローバルな顧客に多様なコンピューティングサービスを提供していきます」と付け加えました。

独自サーバーのPanjiuは、次世代クラウドネイティブインフラストラクチャー用に開発されたもので、コンピューティングをストレージから分離することで、サーバーを汎用および特殊なAIコンピューティングの両方に最適化することに成功したものとなるそうです。大規模なデータセンター展開のためのモジュラー設計も採用しており、コンテナ化されたアプリケーションや最適化されたワークロードなど、さまざまなクラウドネイティブワークロードに並外れた経済効果を発揮できるとうたっています。


さらに、アリババグループは独自に開発してきたRISC-VチップであるXuantieシリーズのソースコードをオープンソース化すると発表。これにより、開発者はGitHubおよびOpen Chip Communityからソースコードにアクセスし、ネットワーク・ゲートウェイ・エッジサーバーなどのIoTアプリケーション向けにカスタマイズした独自のプロトタイプチップを構築可能となります。この他、Linux、Android、RTOS、アリババ独自のAliOSなど、複数のOSをサポートするための関連ソフトウェアスタックもオープンソース化すると発表しています。

アリババグループの開発してきた複数のプロダクトがオープンソースとなることについて、チャン氏は「社内のIoTプロセッサのIPコア、関連ソフトウェアスタック、開発ツールを公開することで、グローバルな開発者が独自のRISC-Vベースのチップをはるかに費用対効果の高い方法で構築できるよう支援することを目指しています」「これらの動きがRISC-Vソフトウェアコミュニティのイノベーションを促進し、人々がデジタル時代の接続された世界のメリットを享受できるようになることを願っています」と語りました。

なお、アリババグループの動きに対し、RISC-Vコミュニティのメンバー組織であるRISC-V Internationalのカリスタ・レドモンドCEOは「アリババは継続的な貢献、技術的リーダーシップ、RISC-Vの利害関係者との深いコラボレーションを通じ、RISC-Vコミュニティをサポートしています」「アリババは模範を示し、世界のRISC-Vコミュニティに刺激を与え、チップ開発の革新を促進し、RISC-Vエコシステム全体にメリットをもたらしました」と語っています。

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