「岸田カラー」薄い自民党の公約 – 山内康一

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自民党の総裁選で勝ったのは岸田文雄氏です。総裁選が行われたのは9月29日です。当然のこととして、岸田氏の総裁選の選挙公約が、ほぼ自民党の総選挙の公約になるものだと思っていました。

自民党総裁で党内の支持を得たのは、岸田氏であり、岸田氏の掲げる総裁選の公約です。多少の調整はあったとしても、岸田氏の総裁選公約が、自民党の総選挙の公約に取り入れられるのが自然だと思っていました。

しかし、自民党の総選挙公約を見ると、かなり「岸田カラー」がなくなり、岸田氏の主張が骨抜きになっています。せっかく総裁選に勝ったのに、意見があまり通らない岸田総裁は気の毒です。出だしからリーダーシップに疑問符が付きます。

わずか2週間ほどで「令和版所得倍増」や「健康危機管理庁」、「金融所得課税の強化」等の岸田氏の看板公約がどこかへ行ってしまいました。総裁選の討論はいったい何だったんでしょうか。

そしてハト派の宏池会出身の首相とは思えないタカ派的な公約が入っています。防衛費はGDP比で2%をめざすそうです。現在の防衛費がGDPの約1%なので、これでは「令和版防衛費倍増」です。

防衛費倍増には約5兆円の財源が必要です。他の歳出を切り詰めるのか、増税するのかわかりませんが、防衛費の5兆円増はかなり難しいと思います。それに国民の多くがそれを求めているのか不明です。

岸田氏は「新自由主義からの転換」と訴えていましたが、そのための手段のひとつの金融所得課税の強化を見送るという判断を見ても、本気で取り組む気がないのでしょう。

口先だけで「新自由主義からの転換」と訴えても、アベノミクスを否定することなしに「新自由主義からの転換」は不可能です。安倍元総理、麻生元総理、甘利幹事長等の党内重鎮が進めてきた路線を否定できるのでしょうか?

岸田総理が蛮勇をふるって党内の新自由主義者と戦って改革を断行しかありませんが、そういう展開は望み薄という感じがします。むかしの小泉純一郎総理のように党内に敵を作ってまで改革を断行しそうな雰囲気はありません。

また、甘利幹事長を指名した時点で「政治とカネ」の問題、政治倫理の問題には、まったく取り組む気がないことが明らかです。安倍・菅政治のさざまざまな疑惑を置き去りにして、党改革や政治改革はあり得ません。

結局のところ総裁選で岸田氏が選ばれたのは、

(1)河野太郎さんほど過激な改革派ではなく、

(2)高市早苗さんほど過激なタカ派でもない、

という理由だと思います。

裏を返すと、大それたことをしないことを期待されて、総裁に選ばれたのだと思います。温厚で敵が少ないのが選ばれた理由だとすれば、「有事のリーダー」としての適性に疑問符が付きます。

岸田総理に「新自由主義からの転換」を期待してもムダです。自民党内の「疑似政権交代」で表紙を換えても、政治の本質は何も変わらないということがよくわかりました。

本物の政権交代で政治を変えるしかありません。立憲民主党は新自由主義からの脱却を強力に推進します。本物の改革は、本物の政権交代から。立憲民主党は「変えよう。」がテーマです。皆さんと共に変えましょう。

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