京大霊長類研究所で相次ぐ不祥事。世界的研究所の事実上の解体は妥当か?

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京都大学は霊長類研究所の正高信男元教授が発表した論文4本で、捏造・研究不正があったと発表しました。実際に実験をしていなかったということです。

京大霊長類研究所HPより

京大、霊長類研究所元教授の論文4本を捏造と判断 記載の実験がなし:朝日新聞デジタル
 京都大は15日、霊長類研究所の正高信男・元教授(66)が、2014年から19年に発表した論文4本で、実際に実験をしていなかった捏造(ねつぞう)の研究不正があったと発表した。正高元教授は20年3月に定…

不正があったとされる論文は、大麻の合法的成分の効果の研究や、自閉スペクトラム症児の行動の研究、デジタル絵本に集中的に触れることによる読解能力の向上の研究といったとても興味深いテーマのものです。

たしかに正高元教授の「ケータイを持ったサル」はとてもおもしろい読み物でしたが、今から思えば「若者がケータイによってニホンザルに退化していく」という論旨は無理があったように思えます。

正高元教授は、研究だけでなく時事問題に関するコメントも注目されていました。

正高元教授は20年3月に定年退職していますが、退職金は止められているそうです。

また、同研究所では2020年末にも飼育施設建設などの「不正支出」が行われ、松沢哲郎元所長の懲戒解雇をはじめ6人を処分としていました。この結果、霊長類研究所は事実上解体されるという事態に発展してしまいました。

〈独自〉研究費不正問題の京大霊長類研が解散へ
京都大霊長類研究所(愛知県犬山市)のチンパンジー用飼育施設をめぐる研究費の不正支出問題を受け、京大が来年3月に霊長研を解散する方向で調整していることが14日、複…

研究費の多くは厳格に使途が決められているうえに、年度内に使い切れなければ国に返納しなければならず、手元に研究予算をプールするために不正が横行していたのではという見方もあります。

世界的な研究機関が解体されることに落胆するコメントが多いです。

いろいろ複雑な事情があったのかもしれません。

ゴリラ研究で有名な山極寿一前京大総長も、在籍していました。

この事件は日本の研究機関の現状と将来を暗示しているのでしょうか。

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