優秀な学者を扱えぬ官僚の残念さ – 中村ゆきつぐ

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コロナが落ち着いてきた今、地震です。本当なかなか気の休まる時期が続かないですね。

少しコロナ以外の記事を書きます。ノーベル賞を受賞した プリンストン大学上級研究員の真鍋淑郎さん(90)先生の話です。地球温暖化研究の第一人者だそうです。

そんな中このインタビューに心惹かれました。

>(Q.なぜ日本からアメリカ国籍に変えた?)興味深い質問です。日本人は、いつも互いに迷惑をかけまいと気をつかいます。とても協調的な関係を結ぼうとします。日本人が互いにうまくやっていける大きな理由が、そこにあります。アメリカで、私は好きなことができる。周囲がどう感じているかは気にしない。人を傷つけたいとは思わないが、他人の考えを観察したりもしない。アメリカでの暮らしは素晴らしい。私のような研究者は、やりたいように研究ができる。上司は私の好きにさせてくれた。コンピューターは使いたい放題、何をしてもよかった。日本に帰らない理由の一つは、そこにあります。私は協調しながら生きることができない

奥様に家庭のこと、車の運転など全てを任せて、自分は研究だけに没頭した。今ならフェミニストたちが大騒ぎしそうな話ですが、奥様がチームワークといっていることにそうだよなと感じます。そう努力する天才を周りが効率よくうまく使えばノーベル賞クラスの研究が生まれるのです。

そして日本の研究サポートにおいてやはり色々問題があるようです。この記事に書かれているこの文

>1931年に生まれた真鍋さんは東大大学院を修了後、58年、米国に渡った。97年にはいったん日本に帰国し、科学技術庁(当時)の地球温暖化予測研究領域長のポストに就いたが、2001年に辞任した。
 当時の記事を読むと、日本の縦割り行政を批判し、「長く米国にいた私は適役ではない」と語っている。

優秀な学者は優秀な官僚組織の長ではないということでしょうか。このような人をうまく使えない日本の官僚組織の問題点です。もしうまく使えていたら今頃温暖化政策において日本が世界の最先端を走っていたのではと残念です。
研究支援のお金の面で言えばこのような分析もあります。

>明らかに財務省が「選択と集中」政策を行った結果です。どういうことかと言うと、例えば事業で考えるとわかります。「絶対に儲かるビジネスをやる人にだけお金を配りましょう」と言っても、うまく行くわけがないではないですか。やっている時点でわからないのだから。

本当日本国の研究をどのように考えるかを考えて欲しいんですよね。失敗してもそれを認めない役所になんとかして欲しいんですが、今回のコロナ含めて失敗認めたら死ぬと思ってしまう職業ですからね。

そして日本人の偉業とか言っているけど、大学院卒業後日本に仕事がなく、ほとんどアメリカで研究したアメリカ国籍の日本生まれの90歳のかたの業績を日本国のおかげというのはおかしいでしょう。

最後にこの記事から。

>「私が特に知る中でも、一番エクササイズをする、運動をされている研究者だと思いますね」
ヨガだけでなく水泳やウオーキングなど、90歳とは思えないほど、エネルギッシュなことから、妖怪と呼ばれることもあるという真鍋さん。

>「彼はポジティブなエネルギーであふれています。ノーベル賞受賞者であることを感じさせない、とても気さくな方です」

>健康の秘訣(ひけつ)は食事にもありました。よく食べていたというのは、玄米を使ったお寿司です。

普段の運動生活、食生活、そして研究を他人を気にせずひたすら楽しく行う精神的安定性。これが90までボケずに元気でいる秘訣なんだろうと強く感じました。もちろん途中にガンにならないとかの運もありますけど。

周りを気にする日本では確かに難しいのかな。いやアメリカという自由の土地で、このようなことをサポートできる奥様がいたおかげだと分析してます。

優秀な人をうまく効率よく使うことを日本は学んだ上で(医療者も同じ:医療者にしかできない仕事に専念させる)、奥様のようなサポートができる組織を作ることが仕事が前に進むはずとずっと思っています。