【カンピロバクター】家族が突然39度の高熱に襲われた話 / コロナ禍だからといって他の病気が休んでくれるわけではない

ロケットニュース24

2021年10月1日より緊急事態宣言が解除された。それでも全国ではまだ1000~2000人ほどの感染者が出て油断ができない日々が続いている。夫婦2人で暮らす我が家でも、人との接触を減らして帰宅後は即 手洗いうがい厳守の暮らしを送っている。

不便ながらも平和な暮らしが続いていくように思っていたのだが、ある日夫が39度という高熱を出して倒れた。

結果的に新型コロナウイルスへの感染ではなかったのだが、コロナ禍での発熱の大変さ、医療従事者の方への感謝、そして何よりも「コロナ禍だからこそ体調に気を付けなければいけない」ということを強く実感したので、共有をさせてもらいたい。

・きっかけは鶏ハム

結果から言おう。夫の高熱の理由は、おそらく『カンピロバクター』であった。

カンピロバクターとは腹痛・下痢・嘔吐・発熱などを引き起こす細菌で、鶏などの家畜の体内に存在している。潜伏期間は2~5日ほど。十分な加熱を行うことが感染を防ぐ方法である。

我が家は共働きだが、料理は主に筆者が担当することになっている。原因となった日の献立はこのような感じ。

右上が問題の鶏肉である

確かにこの鶏肉を切りわける時、こういった会話があった。


「これ、火通ってない部分あるかも」

「今日は大丈夫そうな部分だけ食べて、それ以外は茹で直しておこうか」


──と。もう一度やり直せるならば、この時調理した鶏肉すべてを再加熱したい。

例え火が通っている部分があったとしても、加熱不十分な部分に触れた後の包丁で切りわけてしまえば全部カンピロバクターに汚染されているといっても良いのである。

結局この日はいつも通りに食事を終え、4日後まで思い出すことはなかったのであった。


・微熱から始まる

それから3日はなんの症状もなく、違和感が出たのは4日目の夜である。

この日は朝から二人でツーリングへ行っており、お弁当などを購入してピクニックをしながら山を散策したり景色を楽しんだりしていた。

昼までは大型バイクに乗る元気があったのだ。


ところが帰宅後、夫が「なんかダルい気がする。熱が出てきたかもしれない」と言い始めた。

はじめはただの疲れと思って早めに寝る準備を進めていたのだが、就寝前には熱は38.4度にまで上がっていた。

「これは……来てしまったのかもしれない」

目の前が真っ白になった。

この2週間 濃厚接触者の心当たりはない。しかし感染経路不明の患者は数えきれないほどいるし、デルタ株の感染能力は凄まじいと聞く。どこかで感染をした可能性は十分ある。

この時点で夫が感染したものとし、家庭内隔離が始まった。


家庭内隔離を具体的に言うと、夫は寝室内でのみ生活を行い、連絡はLINE、風呂・トイレのみを共有とした。ただしマスク着用の上、使用後にアルコール消毒。そして常に家中の窓を開けて換気。

つまり最初の日より筆者自身はリビングの床にキャンプ用のマットを敷いて寝ることとなった。

普段から頻繁にキャンプへ行っていたため寝心地に問題はなかったのだが、初めて意識した「夫が死ぬかもしれない」という恐怖で頭がいっぱいになり、ほとんど眠ることができなかった。


・発症2日目

翌朝になると熱は39度を超えており、もはやなんらかの病気にかかっていることは明らかであった。

自治体のサイトを見ると 発熱した場合はすぐに病院へ行かずにまずは保健所の発熱相談センターへ電話をかけるよう指示があった。

受付開始を待ってかけてみたところ

「発症直後は検査に十分なウイルス量に達していないため誤った結果が出る可能性がある。24時間以上経過するまでなんとか我慢してもらって検査を受けた方が確実」

とのことでPCR検査を行っている医療機関を紹介していただいた。なお電話口で話している背後ではひっきりなしに電話が鳴る音や話し声が聞こえ、現場の慌ただしさが痛いほどに伝わってくる。


──今はなにもできることがない。解熱剤を飲んでもらい、氷枕を作り続けるしかなかった。

この日は継続して38~39度ほどの熱があり、その他の症状は下痢と吐き気。主に吐き気のせいで常に苦しく食欲もないようで、その様子は時間が経つにつれて酷くなっていくようであった。

スポーツ飲料やアイス、スープなどをなんとか食べてもらった


咳や倦怠感などの症状は一切出ない状態が続き、夜ぐらいからなんとなく「これは本当にコロナなのか?」という疑問が浮かぶようになり、そこで初めて4日前の鶏肉のことを思い出した。

「きっとアレや。つまり、私のせいかもしれない……」


・いつも以上の体調管理が必要

翌朝、医療機関へ電話をかけてPCR検査を予約した。

濃厚接触者がおらず、加熱不十分な鶏肉を食べたことによる食あたりの可能性があることを伝えたところ

「できる限りの処置はします」

という心強い言葉をいただいた。睡眠不足とパニックの中要領を得ない説明をしたであろう筆者の電話を取ってくれた受付の方にはとにかく感謝しかない。

医療機関では感染対策として駐車場内で車に乗車したままPCR検査を受けた。

驚いたのは、運よく当日のうちに「陰性」と結果を聞くことができたことだ。体中の力が抜け、安心のあまり泣きそうになってしまった。

結局夫は食あたりと診断されて抗生物質や吐き気止めなどの薬を処方してもらい、3日後にはなんとか通常の食事をとることができるまでに回復した。


その後しばらくは「もしかしたら感染していたかもしれない」と警戒をしていたが、数週間が経ちようやくいつも通りの生活を取り戻すことができている。

当たり前の話だがコロナ禍だからといって他の病気が休んでくれるわけではない。

平常時以上の体調管理が必要であることを学ぶ1週間となった。体調管理ではどうにもならない部分もあるため、この感染症がいち早く落ち着いてくれると嬉しいのだが。

そして「鶏肉は絶対に火を通し切らなければいけない」「ちょっとでも怪しいと思ったらすべて再加熱する」という教訓を得たのであった。

もちろん元気になった後、夫に平謝りしたことは言うまでもない。

執筆:高木はるか
Photo:RocketNews24.

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