DeFi(Decentralized Finance、分散型金融)を推進する一般社団法人DeFi協会(Japan DeFi Association、JDA)は、法人登記を完了し、9月27日より会員の入会受付を開始したことを発表した。2月に発足した業界団体Japan DeFi Allianceから、一般社団法人化にともなって名称を変更している。
代表理事は田上智裕氏(株式会社techtec 代表取締役)。リーガルアドバイザーには創・佐藤法律事務所が、税務・会計アドバイザーには株式会社トゥーキューブスが就く。
事務局については、同9月27日より一般公募を開始する。詳細はDeFi協会のブログで案内を後日公開する。
暗号資産の枠組みでは制度に無理が出てきた
同日開催された記者会見において、発起人であり代表理事の田上智裕氏は設立の目的を説明した。
ブロックチェーンによる資産としては、ビットコインに代表される暗号資産が知られているが、「暗号資産はブロックチェーンを使ったアプリケーションの1つに過ぎない」と田上氏は主張する。ブロックチェーンを使ったイノベーションは、DeFiやNFTなど続々と誕生しており、既存の暗号資産の枠組みを持ってくるのは無理が出てくるようになってきているため、暗号資産とは独立した取り組みが必要だということだ。
例えば日本の暗号資産関連規制は、交換業者が中心となって世界にさきがけて整備されてきたと田上氏。しかし、暗号資産より以後の、DeFiやNFTなどの新しいユースケースに対応できていないとし、「すべてを仮想通貨交換業のライセンスで縛るのは限界にきているのではないか」と問題提起した。
具体的な課題の例として田上氏が挙げたのは、独自トークン発行による課税の問題だ。DeFiのために企業が独自トークンを発行すると、現在の日本の税制ではトークンを発行した時点で莫大な金額の納税義務が発生してしまうという。これでは独自トークンを発行するという発想を持てず、日本でプロダクトを作る意味がなくなるのが問題だと同氏は語った。
こうした状況に対して、DeFiの現場を理解している企業や団体が個別に提言していたのを、DeFi協会がそのハブや中心の役割となって、DeFiに即した規制を提言していきたいとしている。
活動内容としては、ナレッジ共有、ビジネスマッチング、政策提言の3つが挙げられている。まずは、プロダクトや市場のないところに規制は制定されないため、前2者に注力して活動。そのうえで政策提言については、DeFi協会だけでは難しいので、他団体と連携したり、あるいはDeFiの取り組みをしている他団体をサポートしたりという形で活動するという。
理事会のかわりにフォーラムによる運営体制、個人会員も募る
DeFi協会の特徴として、田上氏は、「分散型組織」「フォーラム」「バリデータ、デリゲータ」の3つを挙げた。
1つ目の分散型組織に関しては、「限りなく分散型組織にしていきたい。これはJapan DeFi Allianceの頃から変わらず追求していく」と田上氏。たとえ話として、EthereumにおけるEthereum Foundationを挙げ、「Ethereumは特定の人が管理しているわけではなく、多くの人が運営する中で、その中心といるのがEthereum Foundation」と説明した。
2つ目のフォーラムに関しては、理事会を設置せず、役員も代表理事のみとして、代わりに「フォーラム」の仕組みを設けるとした。フォーラムでは会員1社/1人につき投票権1票を持つ。これを、役員の機能を分散するものだと田上氏は説明した。
オンラインフォーラムを現在開発中で、1カ月後の稼働開始を予定しているという。意思決定に関する投票だけでなく、議論や情報共有の場としても使うことを想定。どのようなトピックを扱うかは代表理事が決める。
なお、フォーラムにおける投票権はブロックチェーンを使わずDeFi協会が管理する。これは、投票権をブロックチェーンに乗せた場合、証券に該当する可能性が高いためだという。
3つ目のバリデータ、デリゲータに関しては、企業などだけではなく個人会員も募集して、個人会員に「バリデータ」と「デリゲータ」の2種類を設けるという。これは、ブロックチェーン用語を援用したもの。両方ともフォーラムでの投票権を有するが、バリデータは社員総会へ参加可能、デリゲータは不可という区分だ。
会員種別は、大きく分けて、正会員、賛助会員、個人会員からなる。正会員は特典すべて受けられ、賛助会員は一部利用できないものがある。特典には、フォーラムへの参加や、JDAロゴ使用、企業ロゴの掲載、有料ニュースレター購読などがある。また、「Japan DeFi Conference」も年1回ぐらい開きたいと田上氏は語った。