「レジ袋政策」が生んだ本末転倒 – 自由人

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■失敗の原因は二兎を追った「偽善政策」

 昨年(2020年)の7月にレジ袋が有料化され早1年2ヶ月が経過したが、途中経過として意外な…と言うよりも予想通りの結果が出たと報道されている。その予想通りの結果とは何か? もちろん、万引きの増加である。

 これまでの常識では、スーパーに買い物に行く時は、小さなハンドバッグやショルダーバッグを持って入店することは有り得たが、口が開いた大きなカバンを持って入るようなことは御法度だった。

 スーパーの万引きGメンは、商品が入る大きなカバンを持っているような人をマークして目を光らせているのが普通だった。
 しかし、誰もがマイバッグ持参を余儀無くされると、「万引きします」と言わんばかりの口の開いた大きなカバンを持って堂々と入店する人が急増し、万引きGメンの目も届かなくなってしまった。

 その隙を狙って、万引きに励む人が出てくるだろうことは容易に想像が付くことだった。

 このような問題が発生するだろうことは目に見えていたが、その根本的な理由は、「レジ袋の有料化」と「レジ袋の減少化」という二兎を追ったことにある。「経済政策」と「環境政策」を両立しようとしたことがそもそもの原因である。一言で言うなら、「偽善政策」になってしまったことが災いしたということでもある。

■悪夢のような政治が続く理由

 「レジ袋の有料化」だけを実施していれば、マイバッグを持ち歩く必要はなく、買い物する度にレジ袋代を請求されるだけで済んでいた。しかし、「レジ袋の有料化」を実施する主たる目的を「環境問題」にすり替えてしまったために、マイバッグを持参するというオプションを追加せざるを得なくなり、余分なお金を支払いたくない人々は、マイバッグを持参することを厳しく励行するようになった。

 その結果として、「レジ袋の有料化」で入った微々たる金額よりも、「万引き」で出ていく金額の方が大きくなるという皮肉な事態を招いてしまった。スーパー側の視点で観れば、数円を得るために数百円を失うといった感覚だろうか。
 悪いのはスーパーではなく政治家の方だが、まさに「偽善政策の失敗、ここに極まれり」と言ったところだろうか。

 しかしながら、どんなに本末転倒な政策であったとしても、この政策が見直されて中止になるようなことはまず有り得ないと思う。
 以前にも少し指摘したことだが、世界のグローバル支配者層が勝手に決めた偽善政策に振り回されているのが日本の政治家の姿でもあるので、単に政治家を責めるだけでは何の解決にもならないと思う。

 そういう政治的な裏事情を多くの国民が理解するようにならなければ、日本の政治は誰が総理大臣になろうと、いつまで経ってもこんな調子だろうと思う。

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