開発プロジェクトの「計画」を立てる上で重要なこととは?

GIGAZINE
2021年09月20日 22時00分
メモ



ソフトウェア開発において、「計画」「設計」「実装」「テスト」といった工程を短いサイクルで繰り返す「アジャイル開発」という手法が採用されることがあります。仕事を迅速にこなしてチームの成長も図れるとされているアジャイル開発を主軸とし、プロジェクトで計画を立てる上で重要なことを、ソフトウェア企業であるMenlo Innovationsのリサマリー・バビック氏が自社で実際に採用した例をもとに紹介しています。

Plans are useless, but planning is indispensable
https://www.pmi.org/learning/library/planning-process-indispensable-software-projects-7487

組織が何らかのプロジェクトに失敗した場合、形式的な計画作成方法を採用してプロジェクトの改善を図ることがよくあるとバビック氏は指摘。しかし、この計画が作られた当初から一切変更が加えられないものであったり、計画作成に携わった人が少かったりすると価値が低くなるともバビック氏は述べています。バビック氏は「計画の価値は、計画が書かれた紙ではなく、計画を作るという行為そのものにあります」と意見を示し、実際にバビック氏がMenlo Innovationsで行っている計画作成方法を紹介しています。

Menlo Innovationsのプロセスでは、計画は「計画」「実行」「管理」の3つのステップが1日~2週間のサイクルで繰り返されます。まず、「計画」のステップでスケジュールや予算の見積もりを立て、「実行」のステップで具体的な仕事を実行、「管理」のステップで実行した仕事を精査します。このサイクルにおいて重要なのは「計画」よりもむしろ「実行」と「管理」のステップです。

「実行」のステップにおいて、何らかの仕事をこなしたチームは必ず「ストーリーカード」というものを手書きで作成し、ここに「どんな仕事をしたか」「仕事内容をどのように評価するか」「次にどのような仕事をするか」などといった内容を記入します。このようなストーリーカードは後の「管理」のプロセスで仕事の進捗(しんちょく)を全体に知らせるものとなるため非常に重要で、いつでも新しいストーリーカードを作成してもいいことになっているとのこと。以下が実際に作られたストーリーカードの下書きです


また、ストーリーカードに書く内容は具体的なもの、かつ誰にとっても分かりやすいものにする必要があります。例えば技術者が「起動時のSQL呼び出し数を減らす」と書いていても、他の人が意味を理解できなかったり、解釈の相違が生じたりしてしまう可能性があります。そのため「SQL呼び出しの数を減らすことにより、アプリケーションの起動時間を7秒以上減らします。起動時間を2秒に短縮することが期待されています」などと書くことにより、技術的な専門知識がなくとも理解できるようにする必要があります。

これらのストーリーカードが十分に出揃うと、チームメンバーが集まり、ストーリーカードの内容を声に出して読み、ストーリーカードに書かれた次の仕事が必要とする時間を割り当てる「管理」が行われます。「管理」のステップではさらに全員が「Show&Tell」という作業を行います。これはサイクル中に完了した仕事のデモンストレーションを行うことでビジョンの共有や議論の発生を狙うもので、次の計画の強化にも役立ちます。


このサイクルを繰り返すことで計画が必要に応じて改訂され、情報と経験を共有することでチームやプロジェクト全体の向上が図れます。Menlo Innovationsではプロジェクトの規模が大きすぎたり小さすぎたりした場合をのぞき、ほとんどの場合でこの手法を実行してきたとのこと。

バビック氏は「ほとんどのプロジェクトにおける課題は『計画が一度しか行われないこと』です。チームの進捗をできるだけ早く共有して確認し、その作業を継続して行うことでプロジェクトを成功させることができます」と締めくくっています。


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2021年09月20日 22時00分00秒 in Posted by log1p_kr

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