Google Home使いなら満足、それ以外は要検討:ついに日本上陸したGoogle Nest Cam

GIZMODO

最新のスマート防犯カメラの使い勝手やいかに!

ついに日本にもやってきたGoogle Nest Cam。米GizmodoのFlorence Ion記者による実機試用レビューをお届けします。


新しいGoogle Nest Camは、バッテリー式に改良されただけでなく、さらに高機能になって帯域幅を節約できるようになりました。屋内でも屋外でも使えて、カメラとマウントプレートがマグネットで吸着するようになっているので、充電したいときには、カメラをピッと簡単に取り外せます。オールマイティでスマートで頼りになる防犯カメラが必要なら、その選択肢としてGoogle Nest Camはかなりアリだと思います。

懸念点があるとすれば、自宅のスマートセキュリティのすべてを、Googleに依存しなくてはいけないことです。

ちなみに、昔からのNest Camユーザーも、Google(グーグル)はNestデバイスのソフトウェアを最低でも5年間はサポートするとのことなので、しばらくは使い続けることができます(日本ではNest Camが今回始めて販売されたので、基本的に対象外です)。ただし、前モデルのNest Camは、デバイス上での物体認識や顔認識機能はなく、24時間365日のライブレコーディングや、Nest Awareの無料版も使えません。

Google Nest Cam

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Photo: Florence Ion / Gizmodo US

これは何?:屋内、屋外対応のスマートセキュリティカメラ。

価格:2万3900円(米国では180ドル)。

よいところ:セットアップが簡単、デバイス上で行える顔認識機能、屋内でも屋外でも使える。

残念なところ:Google Homeアプリ上でしか利用できない、テーブル上で使いたい場合は別売りのスタンドを買わないといけない、マグネット式のマウントプレートの利用は注意が必要。

再設計されたGoogle Nest Cam

屋内用の初代Nest Camは「鳥」っぽかったのですが、今回のNest Camはシュッと洗練されて今どきっぽくリニューアル。筐体は防水・防塵仕様でどこにでも設置可能です。

マグネットによるマウントシステムは、新しいNest Camの訴求ポイントのひとつですが、テストでいろんなところに設置して使うにはちょっとクセモノでした。

一度、カメラを逆さまにして、Google Homeアプリの設定オプションからカメラの向きを変えるというテストをしてみました。しかしモーションセンサーが反転してしまい、Google Homeアプリから「この状態ではカメラのベストパフォーマンスを出せない可能性があります」との警告が出てしまったので、カメラをマウントベースに戻そうとしました。マグネットを使う場合、カメラは外側に向けるためには、ちょうど良い設置位置を探る試行錯誤が必要でした。

また同梱されているマグネットマウントベースは、スタンドとして使うための回転構造がありません。テーブルの上や本棚の上で使いたい方は、別売りのGoogle Nest Cam スタンド(3,900円)を手に入れる必要がありそうです

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Nest Camは、マグネット式のマウントでも屋内で利用できますが、外向きになってしまいます
Photo: Florence Ion / Gizmodo

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IP54規格の耐水性能アリ
Photo: Florence Ion / Gizmodo

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箱から出したばかりのNest Camは、陶器のマグカップのようでした
Photo: Florence Ion / Gizmodo US

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カメラの底部分に、充電ケーブル用のマグネットマウントに加え、双方向に話せるスピーカーを搭載しています
Photo: Florence Ion / Gizmodo US

設置場所さえ決めてしまえば、あとは簡単です。

同梱されている独自形式のマグネット式ケーブルは、カメラに簡単に取り付けられますが、長さが1mと短すぎるので、別売りのもっと長いケーブルを購入するか、バッテリー駆動で使うしかありません。

Google Homeアプリからのセットアップはとても簡単

Google Homeアプリからのセットアップは簡単で、まずQRコードを使ってNest Camをオンラインにします。

普段からGoogle アシスタントを使っていることもあって、設定作業はものの数分で完了。Nest Camは、2.4GHzと5GHz両方のWi-Fiネットワークに対応しているので、特定の帯域にしかデバイスを接続できないという心配もありません。

最新のNest Camに不満があるとしたら、設定作業はGoogle Homeアプリだけでしか行なえないことですね。あと、今もNestのスマートホームデバイスを数多く所有しているのですが、NestのアプリとGoogle Homeアプリと両方から通知がくるので、どのアプリからのものなのか、わけがわからなくなります。

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Google Homeアプリから、カメラのプレビューを見るには、5回タップが必要です
Image: Florence Ion / Gizmodo US

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Nest Camのプレビュー映像
Image: Florence Ion / Gizmodo US

カメラが捉えた映像は、Google Homeアプリの下の方にある「デバイス イベント」機能か、「カメラ」までスクロールしてタップして「履歴」タブから確認できます。

ここから最新のデバイスイベントのタイムラインが表示され、動画ごとにハイライト表示されます。また、録画された動画をアニメーションで表示するフルヒストリー機能もあり「デバイスイベント」をささっと素早く確認するのに便利です。

Google Homeアプリは、顔認識機能のコントローラーとしても利用することができます。ただし、この機能は設定メニューの奥深くにあり、何回か設定メニューの中をタップしていったあと、顔を1人1人確認して承認していく必要があります。Nest Camは、機械学習した顔などのデータは、クラウドに送信することなく、デバイス上で管理・処理しているのはプライバシーに関する大きな機能です。もし顔認証機能を利用しない場合、Nest Camは代わりに「人が来た」とだけ通知してくれます。この機能はカメラごとにそれぞれオンオフを設定する必要があります。

Nest Camを利用して1週間以上が経ちましたが、テストとして裏庭に設置したカメラは、子どもとその親(私)の顔をいまも学習中です。さらにこのカメラは、荷物や車、動物も検知できますが、何度かベビーカーをダンボールと間違えたり、裏庭で遊ぶ私の子どもを動物と間違えたりしたので、まだ完璧とは言えません。

屋内も屋外も使える

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新しいNest Cameraは、夜の屋外でも鮮明ではっきりと映し出します
Photo: Florence Ion / Gizmodo

バッテリー式のNest Camは、屋内でも屋外でも利用できるよう、安定したスペックに仕上がっています。カメラは1,080ピクセルの解像度で、130度の視野角と6倍のデジタルズームを搭載しています。これは周りを見回すときに便利ですが、私のテストでは映像が十分鮮明だったので、あまり利用しませんでした。

でも夜間の屋外の場合はズーム機能が必要でした。Nest Camのナイトビジョン機能(暗視機能)の性能は優れていますが、最高ってわけではありません(NetgearのArloのナイトビジョン機能のほうが優れているのは間違いありません)。

最大 6.1m 先までの照射に対応しているとのことですが、体感としてそこまでではなく、コントラストの強い要素が多いガレージでテストしたときだけはかなり見えると感じましたが、夜間の広い裏庭では、パティオの向こう側で何が起こっているのかは全く認識できませんでした。

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Google Homeアプリでは、設定メニューからNest Camに検出してほしいものを選択できます。もちろん、検出したいものを増やせば増やすほど、バッテリーの消費量も増えます
Image: Florence Ion / Gizmodo US

Nest Camのデフォルト設定では、バッテリー寿命が一番持つようあらかじめ調整されています。しかし、もともとのNestユーザー等、Nest カメラが24時間動きや音を検知しているのが当たり前だと思っている人は、見られる動画クリップの数にがっかりするかもしれません。新しいNest Camは、カメラ内の映像に動きがない場合は認識できるイベントはかなり控えめにピックアップしています。

残念ながら、フル充電してどのくらいバッテリーが持つのかを示すバッテリーのランダウンテストを行なうことはできませんでした。ガレージで使い始めた最初の1週間はコンセントに繋いでいましたが、その後はバッテリー給電にして奥の方に移動しました。

充電器を外してから6日経って、頻繁にテストのためにカメラをチェックしながら使っていましたが、カメラのバッテリー残量は87%あります。Nest Camの技術仕様によると、最長で7ヶ月間充電する必要がないとのこと。また、Nest Camのバッテリー残量が20%(残り7日)になると、バッテリーの節約のために動画の画質が下がるそうです。

すでに防犯カメラを持っているなら買い換えるほどではない

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Nest Camは、埃っぽい屋外には似合わないんじゃないかってほどシックな見た目です
Photo: Florence Ion / Gizmodo US

オプションのなサブスクリプションプラン「Google Nest Aware」についても触れておきます。

無料で最長3時間のアクティビティ動画履歴(カメラの視界で動く物体を検出して録画する機能)を使えるようになっていて、さらにネットワークが死んだ場合に備えて、デバイス上に1時間分のストレージが備わっています。月額630円(年間6300円)で、30日間アクティビティの動画履歴を蓄えられるようになり、さらに月額1260円(年間 12600円)で60日間のアクティビティ動画履歴にアップグレードできます。でもこのサブスクに加入しなくても、3時間分の履歴をどこからでも確認できるのは良心的です。

しかし結論として、すでに自宅に防犯カメラを設置しているのなら、この新しいNest Camに買い換える必要はないと思います。また古いNestデバイスを使っている人は、グーグルが今年後半に販売するという100ドル(約1万1000円)の新しい有線カメラが出るまで我慢するのが良いと思います。

単に自宅の一室を見守りたいだけなら、今回の新しいNest Camは既存の室内用カメラと比べてそれなりに重かったりするので、別途オプションでスタンドを購入することも必要なことを考えると、選択肢から外してもいいかもしれません。

また覚悟が必要なのは、グーグルのNest製品を購入するということは、スマートホームのシステムにおいて、全てGoogleアシスタントに依存することになるということです。グーグルはセキュリティ機能にかなり投資をしていて、デバイス上での顔認識機能は、クラウド上に送信しないだけマシなものの、プライバシー関連についてはやはり懸念があります。(Nest Doorbellのレビューでも同様のことを書いています

またNest Doorbell(バッテリー式)もNest Camも、他社の製品やアシスタントと連携しないので、AlexaやSiri派の方には向かないかもしれません。アップルやアマゾン、グーグルも参加する新スマートホーム規格「Matter」がスタートすれば、各社製品の統合が進んでいくと思いますが。

まずは、Google Homeアプリに自宅のセキュリティ管理を任せてしまって良いかどうか、判断はそこ次第ですね。

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