立ち位置を変える中国 対応必須 – ヒロ

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中国の動きが変わったのはこの2年ぐらいでしょうか?トランプ氏に刺激を受けて目覚めた獅子なのかもしれません。強権発動が目立つようになりました。その引き金の一つが香港問題で2019年には連日の激しい民主化運動のデモに対し、国家治安維持法の制定でまるで蜘蛛の子を散らすように活動家を抑え込み、中国本土の一部として取り込みました。

次いで破竹の勢いで伸びていた民間企業の骨抜き化を行います。アリババとジャックマー氏は中国民間企業最大の成功例の一つでありましたが、英雄を作らせないという中国政府の強い考えのもと、その首根っこを押さえてしまいました。その後、テンセントや教育関係企業、ゲーム企業、米国上場中国企業など次々とマネー覇者の頭を押さえていきます。

習近平氏はどこを向いているのでしょうか?私にはアイデンティティへの回帰に見えます。共産党の本質に立ち位置を戻すのです。中国が抱えた問題、不動産や貸付などはすべてマネーにかかわることでありますが、そこでは常に勝者と敗者を見ることになります。それが統一中国において不必要なものであると考えるならそれは習氏が1950-60年代をよき時代だったと評価をしているともいえます。

今、中国のみならず、世界が注目するのが不動産大手、中国恒大集団の行方でしょう。同社は借入金が10兆円余りありますが、経営不振で資産の切り売りを継続し、開発した集合住宅もバナナのたたき売り状態で必死の資金繰りをしています。綱渡り経営というより細い紐が切れる直前でしょう。

恒大については利払い停止はほぼ確実で債務不履行には早ければ来週にも陥りますが、現在、その影響を抑え込む努力をしているところです。遠くないうちに債務再編で話がまとまるとみています。一部の欧米の機関投資家が社債などを持っていますが、世界経済に影響するほどではないと思います。他方、中国全般の不動産ブーム抑制を国策として進めているため、中国経済の大幅なスローダウンは避けられないとみています。

そんな騒動でも習近平氏は恒大も不動産業界も他業種同様、救うつもりはないと私はみています。つまり、投資家が大損害を受けることをむしろ「平準化が促進される」と考えているのではないかと思うのです。個人の強欲に基づく浮ついた気持ちを容赦なく潰す気なのでしょう。極端な話、不動産事業を全て非営利事業にして計画経済に基づく住宅供給にすると言いかねません。

習氏と経済を担当する李克強首相との関係は思想家と理数系の先生が背中を向けあいながら同居しているようなものであります。習氏の目的はただ一つ、人民が習氏に対する忠誠心をさらに高め、中華思想を展開し、アメリカを中心とする欧米資本主義と対峙し、その間に中国の同胞を世界中に広げることでしょう。国家の体力が衰えるロシアもついに中国と軍事共同演習を行うところを見ると中国の勢いに一口乗ったように見えます。

故 芳賀綏 東工大名教授が「凹凸文化論」を展開しており、個人的に極めて優れていると考えています。凸文化とは攻撃型、二者択一、原理原則論を貫くというものです。その文化拠点は乾燥地帯にある大陸型文化で中国や朝鮮半島を挙げています。一方、凹文化とは従順で受動的文化であいまいさがあり、過去のことに固執しないとされます。この代表例が日本で、ほかにアジアの島しょ部、海岸沿いの湿潤地帯に多いとされいます。

このブログでも過去、日本は韓国となぜ不仲で、台湾とはうまくいくのか、といったことを取り上げてきましたが、この芳賀氏の学説でその理由を説明することができます。

とすれば現在の中国が向かう方向はアイデンティティの強化であり、習近平氏が目指す世界はここからさらに二段も三段もステップアップするとみるほうがナチュラルでしょう。

言葉は悪いですが、中国はより狂暴になる、私はこう見ています。

日本は従順で受動的文化だとすれば中国と争いもできず、アメリカとの現状の関係を変えることもないでしょう。日本は押されて追い詰めれられてどうにもならなくなった時、ようやく動くのですが、それが良い結果をもたらすかの保証はありません。

中国へ進出する日本企業は日本政府の制止がない限り、赤いマネーを稼ぎに行きます。しかし、進出企業のリスクは日々高まっている点を考えると経営陣のガバナンスとして中期計画でその対応を見込むべきかと思います。

立ち位置を変える中国に対して今後、日本国内では大きな議論が巻き起こるとみています。日本の向かう道はどこへ、です。「日本は日本の道を歩む」が美しい答えですが、地球に日本しかないならそれでもいいですが、もはや世界の中の一国家であり、隣人が何かにつけちょっかいを出すかもしれない点は十分にわきまえねばなりません。

では今日はこのぐらいで。

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