はじめての発酵調味料づくり「実食&発酵促進」編

デイリーポータルZ

ものごとをざっくりと捉えがちだ。

それゆえ、麻婆豆腐のレシピに「豆板醤」「甜麺醤」「豆豉醤」と書いてあるのをみて、「ぜんぶ漢字3文字じゃん!」と混乱し、ちゃんと違いを理解するために、調味料づくりを始めた。

そんな連載の第四回目である。前回、豆豉を作ろうと、煎った麦をすり鉢で細かく砕こうとしたら、なかなかできなくて、麦よりも先に私の心が打ち砕かれてしまった。

その続きからお送りしたい。

ミルミキサーはすごかった

そもそもの話、 煎った麦を粉にしたもの(はったい粉)は、ネットなどで市販もされている。つまり、買っちゃえばラクなのだ。

だが、無性に作りたくなってしまったため、衝動のまま、ミルミキサーをお迎えすることにした。

文明の利器がAmazonから届いた。
そして、手動ではまったく太刀打ちできなかった麦の粒たちを……
いともあっさり粉々にした。

時間にして2分弱である。蜜の味だ。もうすり鉢には戻れない。 

粉々にした麦に、種こうじを混ぜ……
混ぜた粉を大豆にふりかけ……
まんべんなくまぶすと……
こんな感じに

これでしばらく置き、発酵するのを待つ。表面が白っぽくなるとよい塩梅らしい。電気毛布にくるんでおくと発酵が促進されると聞いたため、押し入れから引っ張り出してきた。

くるまれてゆく豆
同居人が誕生した

留守中もずっと、家のなかで何かが温められているというのは、不思議だ。生き物みたいである。いや、生き物なんだった。玄関を開けた瞬間に「ただいま」と言ってしまいそうになる。

かわいい。妙にかわいい。これが愛着の芽生えなのか。

豆板醤が「今食べよ」とささやいている

さて、発酵するのを待つ間に、7月の終わりに仕込んだ手作り豆板醤の実食もしてみようと思う。熟成期間は2か月弱。「半年ほど放置」と書いてあるレシピも多いので、そこそこ気が早いだろう。

だが、決断したのには理由がある。ある日、豆板醤のようすを見てみたところ、カビのようなものを発見したのだ。

震えた。

先人はどう対処してきたのだろう。「豆板醤 カビ」「味噌 カビ」などでググってみたところ、「白くなった部分とその周辺を捨て、冷蔵庫などで保存せよ」と仰っている人が複数見受けられた。

え、ぜんぶは捨てなくていいんだ!

首の皮1枚で繋がったような気持ちで、再び豆板醤に手を伸ばしたのだが、そのときふと、心の野生がささやいたような気がした。

「今食べよ」と。

たしかに、2か月前はフライドチキンの衣のようだった豆板醤(仮)が……
いつのまにか、しっとりとした、味噌のような物体になっていた。もう、食べてもいいのかもしれない。カビこわいし
なめてみましょう

味は、おお、まさに辛い味噌である。味噌という言葉が真っ先にでるくらい、「食べ物」の味がする。

既製品との違いも検証してみたところ……

一方、既製の豆板醤は、自作のものと比較してみると、ずいぶんと味が整っているのだなぁと感じる。ひたすら折目正しい。

自家製豆板醤、カップうどんにも入れてみよう
おお!うまい!!

比較していくうちに理解したのだが、我が家の豆板醤は荒々しく、野生児のような味わいがする。麹の味もしっかりあるようだ。

本音をいうと、ちゃんとした豆板醤になれたのかは判断がつかない。でも、おいしい調味料だ。特にお腹も壊れていない。

さらに、連載第二回で作った甜麺醤と豆豉醤と合わせて、麻婆豆腐も作ってみたところ………
えっなにこれうまい。めちゃくちゃうまい!!

手をかけたからおいしく感じるのだろうか。いや、そうじゃない。自家製豆板醤の麹の味強めなところが、「おれ、旨味!」っていう感じで気持ちよいのだと思う。

もし仮に誰かに「これ豆板醤じゃないよ」と言われたとしても、自分にとっての正解はこれ、ということでもう、いいのではないか。

自家製のいいところは、我流を貫けるところだ。

ところで、豆豉はどうなったのだろう

ちょっとようすを見てみようと思う

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ようすがおかしい。よく知った臭いにおいがするうえ、粘りもある。作った覚えがない納豆を感じる。

粘り気のあるところを取り除いたら、あ、ああああああ……
それでも次の工程(塩水に漬ける)にすすめてみたのだが………

いま、彼らは息をしているのだろうか。心が痛い。自分に納豆を作るスキルがありそうなことはわかったが、今は納豆じゃないのだ。

ああ、叫びたい。叫びたい………

来年の宿題第一号

ところで、この小出し連載は、全5回完結のスタイルである。次回で終わりだ。最後の回では、第三回で作った甜麺醤がどうなったかをお伝えしようと思っている。

甜麺醤の熟成には時間がかかるため、最後の回は来年になる見込みなのだが、なにしろめまぐるしいインターネットの世界である。次回の記事を書く頃には、きっと誰も覚えていないに違いない。でも、強い気持ちで書くつもりだ。もし、今回の豆豉づくりが失敗していたとしたら、また1からやり直して、一緒に顛末を紹介したい。

そのころ、居酒屋で生ビールがぐいぐい飲めるような世の中になっていたらいいなと思う。甜麺醤(仮)さんも、ほんの少しで構わないから、食べ物っぽい味わいになってくれたらいいなと思う。

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