新しい賃貸住宅 コロナ禍人気に – 中川寛子

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首都圏を中心に単身者の住まいとして一般的なワンルームがこのところ苦戦している。特に20㎡以下の物件に関しては「ニーズそのものが消失した」という不動産会社がいるほど。理由としては学生や外国人留学生、転勤者の都市への流入が減ったことに加え、在宅勤務を考えると従来のワンルームでは狭すぎる、長時間あの中だけで過ごすのは苦痛という声があることが大きい。

その一方で同じ単身者向けなのに2021年5月29日のオープンから1週間後には60世帯全戸が埋まっていたという物件がある。株式会社グローバルエージェンツが展開する「ソーシャルアパートメント」という独自ジャンルの賃貸住宅である。

その物件、ネイバーズ鷺沼だけならたまたまかもしれないが、6月26日にオープンしたネイバーズ京都二条城全54戸はオープン前に満室となっており、人気を集めているのは間違いないらしい。何が人気の理由なのか。

ネイバーズ鷺沼のもっとも広いワークラウンジ。奥にキッチンがあり、カウンター席、手前にテーブル席、窓側にソファ席とひとつの空間の中に異なる使い方ができる席が用意されている

シェアハウスとソーシャルアパートメントの違いとは

まず、一般賃貸とシェアハウス、そしてソーシャルアパートメントの違いだが、一般賃貸は室内にキッチン、バストイレなどの水回りが揃っており、自分の部屋の中だけで生活が完結する。本人にそのつもりがなければ隣近所と付き合う必要はない。自室内にすべてが揃っている分、居住空間が他の2ジャンルと同じ広さだとすると賃料は高めになる。

次にシェアハウスだが、こちらは基本、自室と水回りは別になっており、水回りとリビングは入居者全員が共有で使うことになる。そのため、清掃などもよほど規模の大きいシェアハウスでなければたいていは入居者が分担して行うことが多く、他人と関わる機会が増える。自分だけのスペースが少ない分、一般賃貸に比べると賃料は比較的手頃というところが多い。一戸建てを改装し、数人で住んでいるタイプが中心になっていると想定してもらえれば分かりやすいだろう。

これに対してソーシャルアパートメントは自室に水回りがあるもの、ないものの2タイプがあり、物件ごとに異なる。一般賃貸、シェアハウスと大きく異なるのはワーキングラウンジなどの共用部に力を入れていること。一戸建てを利用することが多いシェアハウスに対し、社員寮、社宅などをリノベーションした物件が中心になっているため、建物内に共用部として使える空間が多いのである。

たとえば、冒頭で紹介したネイバーズ鷺沼の場合は40㎡、60㎡、120㎡の3か所のワーキングラウンジ、スタジオなどのつくりの異なる共用部があり、入居者はどのスペースでも自由に使えるようになっている。

同じくネイバーズ鷺沼のエクササイズもできるスペース。正面には大きなスクリーンも用意されている。あちこちにコンセントがあることにも注目

館内の清掃等は同社スタッフが行うため、入居者は自室のみを管理していればよい。以前は入居者交流のため、イベント等も開かれていたが、コロナ禍の現在は5人以上集まっての飲食は避けるようにとされており、以前ほどの交流はない。同じ広さ、立地で考えると一般賃貸よりは手頃な賃料で住めるが、設備の差もあり、シェアハウスよりは高めなことが多いようである。

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