電子書籍が紙の本に勝てない理由 – 自由人

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■「電子書籍」が「紙の本」に絶対に勝てないこと

 随分と前から、「紙の本」と「電子書籍」は、どちらがお得か?という話をよく耳にする。

 こういった比較をしている人は、大抵、「電子書籍」の方がお得だという結論に傾いてしまうのだが、どうも「便利さ」と「お得さ」を混同しているような気がする。

 「電子書籍」は、場所を取らないこと、劣化しないこと、文字を拡大できること、テキスト検索ができる等の利便性を持った媒体ではあるが、あくまでもそれは「便利さ」という意味での話であり、「お得さ」が成立しているわけではない。

 こう言うと、「電子書籍は紙の本よりも安価でしょ」と思った人がいるかもしれない。

 しかし、それは新品(電子書籍は必ず新品)で本を購入した場合の一時的な比較でしかない。

 「電子書籍」が「紙の本」に絶対に勝てないことは、ズバリ、他人に売ることができないことである。
 「電子書籍」は基本的に“希少価値”とは無縁の代物であるので、「紙の本」のように価値が変動することもない。注文があればコピーはいくらでも可能なので、コストがかからない分、価格も変動しない。バーゲンセールで激安で販売することはできるが、決められた価格以上で販売されることは有り得ない。

■「電子書籍」と「紙の本」の違いは、「不動資産」と「流動資産」

 一方で、「紙の本」は、新品で購入した価格が「電子書籍」より少し高くても、読み終えて本棚にコレクションするつもりがない場合は、中古本として売ることができる。

 例えば、私の場合、最近は新品で本を購入し、読み終えると、大抵の本はメルカリに出品して売ることにしている。

 少し人気のある本なら、1500円(税込1650円)の単行本の場合、1200円以上で即日売れる場合が多いので、手数料1割と送料を差し引いても、900円程度は返金される計算になる。

 「電子書籍」が「紙の本」より少し安くても、読んだ後に売ることができない不動資産だと考えると、売ることができる「紙の本」よりも結果的に高くなってしまう。売ることができれば、「電子書籍」と「紙の本」の販売価格の差額は十分に埋まってしまうので、出版後すぐに新刊で購入するメリットは大きい。
 本を消耗品だと考えると、自由に売り買いできる「紙の本」の方が圧倒的に自由度が高いと言える。

 また、先程述べたように、「紙の本」は「電子書籍」とは違って物理的な制限があるため、希少価値というものが発生することがあり、買った値段以上で売れる場合も有る。そう考えると、「紙の本」を保有することは、少額ながらも資産を保有していることにもなるということ。

 「電子書籍」の場合、どれだけ多数の「電子書籍」を保有していたとしても、全く売ることができないという意味では、あくまでも個人のコレクションでしかなく「紙の本」のような売買可能な流動資産とは成り得ない。

 「電子書籍」は利益率が高いという意味で販売側に大きなメリットが有る媒体であり、「紙の本」はユーザー側にメリットが生まれる可能性を持った媒体だと言える。

 多くの人にとってお得なのはどちらか? 答えは言うまでもない。

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