松本人志×太田光 夢の共演に感動 – いいんちょ

BLOGOS

4時間半待っていた甲斐があったわ! という絡みだった。

松本人志がキャプテンを務めたフジテレビの歌と音楽を融合する大型特番『FNSラフ&ミュージック~歌と笑いの祭典~』、28日の第一夜に、爆笑問題が大トリとして出演。爆笑問題と松本、実に7年ぶりの共演だった。

未だに世間ではダウンタウンととんねるずが「共演NG」だなんだと誤解されているが、ダウンタウン、というか松本人志、爆笑問題、というか太田光とのそれは、レベルというか次元が違う。なにせ、実際に起きたとされる具体的な「因縁」があったのだ。「因縁」の内容を知らないよい子のみんなはネットで調べてね。「東京03ミーツ紳助」にちょっと似た話だよ!

夢の共演と叫ばれた『いいとも!グランドフィナーレ』ですら、直接的なやり取りはほとんどなく、決して今まで交わることなかった両者。それゆえに、昨晩のほぼ7年ぶりの共演はお笑いファンとしてたまらなかった。

共演したこと自体だけではない。何より嬉しかったのは、両者がつまらない凡戦狙いでなく、がっぷり四つに組んでくれたことだ。

いよいよ爆笑問題の出番となったところでコメントを振られた松本が「絡みたくないわ〜」と早速毒を吐けば、太田光は漫才で「ワイドナショー」「太田動きます」などふんだんに松本を意識したギャグを散りばめていき、来る絡みを視聴者に嫌が応うにも意識させていく。

そして漫才が終わり、ついにトークパートに突入。松ちゃんが「光代(爆笑問題の事務所タイタンの社長であり、太田の妻)ネタ」で攻めたかと思えば、返す刀で太田から決定的なパンチライン「威嚇したのはそっちでしょ!」が飛び出す。

言ったわ…ついに言ってしまったわ…と思った。この、丁々発止のやりとりのなかで、アドリブでオフサイドラインすれすれを攻めれるこのワードセンス。

その後も、太田が引き出す形でナインティナインの矢部から「ダウンタウンのチンカス」発言が飛び出した。それは松本人志がかつてその著書でナインティナインを酷評した際の文言だ。というすったもんだもあってか、一昔前はダウンタウン×ナイナイだって超絶レアでありがたがるべき共演であったことを思い出す。視聴者側も贅沢なもので、麻痺してしまっていたのだ。

矢部自らの「チンカス」発言に、松本が「ダウンタウンはこの場合、『チンコ』ってことやからね」と自らを貶める形で約30年ごしにオチをつけて笑いに変える。

さらに個人的には、場が盛り上がってごちゃごちゃし出したところで、すかさず舵を取り出す中居正広もアツかった。それまだ眠そうな目をしていたが、目の前で突然始まったお祭り騒ぎに、当代随一のMCの血が騒いだのだろうか。

何より、多くの視聴者に期待されていることを自覚している演者たちが、互いの持ち味を殺し合わず、存分に絡み合って期待以上の笑いを生み出してくれたことに、感動すら覚えてしまった。ぼくも含め多くの視聴者は「まさかそこまで言ってくれるとは」と思ったのではないか。

うん十年前の発言が吊し上げられる時代である。今回の共演は、多くのお笑いファンがモヤモヤを抱いていた過去の「因縁」に対しての、お笑い的な「答え」だった気がする。

『FNSラブ&ミュージック』自体は、面白いところもあったし、つまらないところ、不可解なところも少なくはなかったけど、初めての試みだったしそれは仕方ない。しかし、多くの視聴者は「松本人志と太田光の絡み」で、4時間半待った甲斐があったと思うのではないだろうか。

こんなにテレビを釘付けになったのはいつぶりだろう。フジテレビ真夏の大冒険だった。