トヨタの「e-Palette」運行再開へ–五輪の選手村で歩行者と接触事故、検証と対策

CNET Japan

 トヨタ自動車は8月30日、東京五輪の選手村で起きた視覚障がいのある歩行者とe-Paletteとの接触事故を受けて停止していた巡回モビリティ車「e-Palette」の運行を、8月31日15時より再開すると発表した。

 また、8月26日に起きた事故の発生状況についても明らかにした。歩行者は、単独で歩行していた視覚障がい者で、交差点を渡ろうとした際に、交差点を通過中のe-Paletteと接触したという。

 同社の説明によると、e-Paletteは交差点進入時に右折する際、交差点内の人を感知して停止。その後、オペレーターが安全を確認した上で再度発進。

 オペレーターは交差点周辺の状況を確認し、手動で減速を開始。道路を横断してきた当該歩行者をセンサーが検知し自動ブレーキが作動、オペレーターも緊急ブレーキを作動させた。しかし、車両が完全に停止する前に車両と歩行者が接触した。

 誘導員の体制はどうなっていたのか。接触時、交差点内の誘導員は2人いたが、信号がなくパラリンピックのような多様な人がいる状況では、誘導員が複数の方向からの歩行者、車両の動向を確認できる環境ではなかったという。また、誘導員とオペレーターの間での連携の仕組みが十分ではなく、結果として、交差点内に進入してきた歩行者が車両と接触した。


東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会で使用されている「e-Palette」

歩行者、車両、誘導員の三位一体で改善へ

 検証の結果、信号のない交差点での安全確保は、歩行者、オペレーター、誘導員いずれか個人のみで確保できるものではなく、三位一体でやり方、仕組みの改善に取り組む必要があるとし、下記の対策を安全対策をするという。

 歩行者には、組織委員会が選手団長会議等において選手村内の歩行環境、移動時のルールなどをあらためて周知するほか、パラリンピック特有の多様な方々へ安全に対応するため、車両警告音の音量アップやマニュアル運転に対応した車両改良とオペレーターの教育を行う。

 具体的には、自動運転→マニュアルでの加減速・停止、接近通報音の音量アップ、搭乗員の増員。

 さらに、誘導員を増員・強化する。信号の代わりとなり、車両・歩行者を安全に誘導できる体制を構築するほか、交差点の誘導員を増員(6人→20人強)。誘導員を車両担当と歩行者担当に分離し専業化する。

 運行再開した後も、パラリンピック閉村までは日々改善を積み重ね、アスリートを始めとする選手村内関係者の方々のさらなる安心、安全確保に向け、組織委員会に協力していくとしている。

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