ガートナー社が2021年版「先進技術ハイプサイクル」を公表 ほか【中島由弘の「いま知っておくべき5つのニュース」2021/8/19~8/26】

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1. ガートナー社が2021年版「先進技術ハイプサイクル」を公表

 ガートナー社が2021年版の「先進技術ハイプサイクル」を公表した。これは「さまざまな新興技術に対する関心の高さや普及度合いなどをまとめたグラフ」で、技術の登場から普及に至るまでを、1)黎明期(Innovation Trigger)、2)過度な期待のピーク期(Peak of Inflated Expectations)、3)幻滅期(Trough of Disillusionment)、4)啓蒙活動期(Slope of Enlightenment)、5)生産性の安定期(Plateau of Productivity)――という5段階に分け、今どのフェーズにあるかを可視化したもの。定期的に発表されており、経営層、投資家、ビジネスリーダーらに共有されていて、定期的にチェックしておく価値がある。

 今年の大きな話題は、NFT(非代替性トークン:Non-Fungible Token)が「過度な期待のピーク期(Peak of Inflated Expectations)」に登場したことだ(CNET Japan)。NFTはブロックチェーンの技術を応用したもので、「自動車や絵画といった物理的な資産のほか、CGや音楽データのようなデジタルデータ資産と結びつけることで、資産の真正性などを保証する技術」である。確かに、この数カ月、NFTに関するニュースは多く、このコーナーでもいくつも紹介をしてきた。当初は先進的なアーティストやアーリーアダプターが取り組んでいたが、昨今では金融機関などの基幹産業でも取り組むようになってきている。今週はアリババグループの参入(ZUU online)、クレジットカードのビザが取り組む例(CNET Japan)も報じられている。

ニュースソース

  • NFTやデジタルヒューマンを追加–ガートナーが2021年版「先進技術ハイプサイクル」公開[CNET Japan
  • アリババグループがNFT事業参入へ[ZUU online
  • ビザ、NFTのキャラクターを約1650万円で購入[CNET Japan

2. デジタル庁の事務方トップに石倉洋子一橋大学名誉教授

 各メディアが一斉に報じたところによると、デジタル庁の事務方トップに石倉洋子一橋大学名誉教授が起用されるようだ(ITmedia)。かつてMITメディアラボ所長やニューヨークタイムズ社外取締役などを歴任した伊藤穰一氏の名前が候補として上がっていたが「少女への性的虐待で有罪判決を受けた米国の実業家から資金提供を受けた問題」を受け、見送られたようだ。

ニュースソース

  • デジタル監に石倉洋子氏起用へ 一橋大学の名誉教授[ITmedia

3. この1週間で報じられた「サイバー攻撃事案」

 建設コンサルティング大手のオリエンタルコンサルタンツは、社内サーバーがランサムウェアによる攻撃を受けたと発表した(ITmedia)。記事によれば、サーバー内に保管していた業務関連データが暗号化され、さらにそれが外部に流出した可能性があるとしている。千葉県市川市からの受託された事業の情報も含まれている可能性があるとして、確認作業が行われいる。一般的に、ランサムウェアによって暗号化されると、バックアップデータで復旧できなければ「身代金」の要求に応じざるを得ない事案もあることから、今後の解決方法も含めて注目されるところだ。

 また、産業用制御システムを標的としたサイバー攻撃の増加がセキュリティ企業Clarotyにより指摘されている(ITmedia)。IoTで利用される各種デバイスに含まれるプロトコルスタックなどの脆弱性を突かれると、生産システムなどが停止を余儀なくされ、大きな経済的な損失を被ることは想像に難くない。

 いずれもサイバー攻撃としては各社とも留意をしなければならない事案であり、その危機感を共有すべき段階にあるだろう。

ニュースソース

  • 建設コンサル大手にランサムウェア攻撃 千葉県市川市の委託事業の資料など流出か[ITmedia
  • 産業用制御システムを標的にしたサイバー攻撃が増加中 迅速なアップデートを[ITmedia

4. 大日本印刷が世界的なプリントオンデマンドネットワークに参画

 大日本印刷は、米国の出版流通大手イングラム社の子会社であるライトニングソース社との間で「グローバルコネクトプログラム」におけるパートナー契約を締結したと発表した(大日本印刷)。グローバルコネクトとは「需要に応じて少部数印刷を行うPOD(Print On Demand)事業を手掛けるライトニングソース社が製造拠点を置く、アメリカ・イギリス・オーストラリア以外の国の印刷会社と契約して、世界中の出版社から許諾を受ける書籍のオンデマンド製造・販売を世界各地で展開する事業」で、大日本印刷が日本からこの国際ネットワークに加わったことになる。

 PODはプリントメディアを見込み生産をすることなく、小部数でも流通させることができるというメリットがあり、今回の国際的なネットワークに加わることで「研究者や専門家をはじめ、日本の生活者が世界の出版社の多様な言語・ジャンルの書籍、特に従来取り扱いの少なかった中南米やアジア等の書籍を幅広く購入できる」ようになるとしている。

ニュースソース

  • 大日本印刷 米国取次最大手イングラム社の世界各地の書籍をオンデマンド製造・販売する連携事業「グローバルコネクト」に参画[大日本印刷

5. 「キャッシュレス決済」大手2社の手数料戦略

 QRコード決済で最大シェアを持つPayPayがこれまで無料だった加盟店手数料(決済システム利用料)を有料化すると発表した(ケータイWatch)。年商10億円以下の加盟店で10月1日以降、1.6%~にするという。これまでは加盟店を増やすため、つまりユーザーの利便性を高めて利用者を増やすために、先行投資として手数料を取ってこなかったが、いよいよビジネス化へと舵を切ることになる。加盟店にとってはこれが負担となり、PayPayの加盟店を続けるかどうかの判断も求められることになるだろう。

 一方、楽天ペイは「中小店舗様応援! 決済手数料実質0円キャンペーン」を展開し、同規模の加盟店に対して、QR決済手数料と自動入金手数料を全額キャッシュバックし、実質無料とする施策を実施する(ケータイWatch)ことを発表した。

 乱立気味ともみられたQRコード決済だが、大規模キャンペーンによるユーザーの獲得と利用の習慣化を進めるフェーズから、大手2社を中心とする加盟店との契約維持をめぐる戦いとなるのか。

ニュースソース

  • 「PayPay」が中小店向け手数料を発表、1.6%~[ケータイWatch
  • 楽天ペイ、期間限定で「中小規模の新規加盟店」決済手数料を実質無料に[ケータイWatch

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