萩尾望都先生によるSFマンガの金字塔「11人いる!」。
マンガ自体が名作かつ超有名作なわけだが、ラストシーンが最高にかっこよく印象的なことも常々話題の作品である。
以前からたまに「偶然『11人いる!』のラストシーンみたいになった」といったような羨ましいツイートを見受けることがあって、私もいずれ……と思っていた。
が、やはり偶然に頼ってはなかなかことはおとずれない。しびれを切らし、本日、わざとやった。
「コンビニへ!」
※この記事はマンガ「11人いる!」のラストシーンを模すべくがんばるぞ! という内容になっております。勢い、まだ読んでいない方もこのまま読むとラストシーンを知ってしまう流れです。どうかご注意ください。
そのラストシーンとは
ネタバレ警告をさせていただいたので、最初にそのラストシーンをおさらいしておきたい。
読んだことのある方も、内容は覚えていようともラストシーンのコマについては忘れてしまったという方もいるかもしれない。
謹んで、こちらです。
登場人物たちが未来に向け歩みはじめる様子が描かれている。
ひとところにいた仲間が、いまそれぞれの道への一歩を踏み出す、その「それぞれ」性を強くまた前向きに印象づける最高のラストだ。
こんなのたまらない。絶対この一員になりたい。ならずに死ねるか、それほどまでに憧れをかきたてるシーンなのだ。
なので、今日わたしたちはそれぞれのコンビニに旅立つことにした。
それぞれのコンビニへ
急転直下のコンビニである。というのも仕方ない。私にはわかりやすい未来がないのだった。
もちろんまだまだ人生これからの若輩者ではあるが、それにしてもマンガの登場人物たちに比べればそれなりに経験を積み、学生の頃はもう遠く社会人として長い。
目を輝かせ行く先としてなら、未来よりもコンビニのほうがふさわしいのでと考えた。コンビニはいろいろ売ってるし、コピー機やなんかあって便利だ。それに、とても明るい。
明るい未来の比喩的表現としてもコンビニは最適であろう。
これに関して同様の思いを持ってくれるであろう同士を集めた。
9人(「11人いる!」の最終シーンに出てくる人数)集めるとこのご時世、密になるおそれがあったため、せめて私を含め4人が集まった。
4人がそれぞれのコンビニへ、いま、旅立つ。メンバーを紹介しよう。
それぞれが胸に抱くコンビニへ旅立つ上で、まずアサインしたのが安藤である。この人はなぜか、強烈にローソンを愛しているのだ。仕事の話をしていてもやんわりローソンのパンのはなしに持っていこうとしたりする。
ローソンは安藤が抑えたため、では他のコンビニでどれを……と水を向けたところ間髪開けずに「じゃあ、セブンで」と答えていた。わりと好きなんだろう。
とくにファミリーマートに思い入れはないと思うのだけど、橋田さんは面倒見が良いので引き受けてくれた。ちなみに目的のものがある場合むやみにすぐに店にいかずちゃんと先に電話で聞けるタイプの大人である。
なお、林と橋田の服装は完全に偶然かぶりました……!
そして私だ。ミニストップの経営母体であるイオンの株をちょっと持っている。我ながら適した人材だろう。
旅立ちの地は並木橋交差点
4人がそれぞれコンビニに旅立つ。こだわったのは起点だ。
ある場所から、4方向に向けてそれぞれのコンビニがあってほしい。それでこそ、あのラストシーン的な状態を体験できるというものだ。
探して見つけたのが、渋谷の並木橋交差点だった。
交差点を起点に南西にファミリーマートが、南東にローソンが、北東にセブンイレブンが、、そして北西にミニストップがある。
※目的のコンビニへの道すがら別のコンビニを超えていくパターンもあるが目をつぶってほしい
こうして4人、旅立ちの場所である交差点へ向かった……!
みんな元気で!
「またな」
「また会おうぜ」
「いろいろすまなかった」
「勉強になったよ」
そして私達はいま、旅立つ。
近けぇ~
若者の歩む未来は楽しくもありまた厳しく険しくもあるものだろう。愛や友情の喜びがあり、成長の充実があり、いっぽうですげえ怒られたりとかすんだと思う。
それにくらべコンビニはどうだ。
いや「それにくらべコンビニはどうだ」じゃない。じゃないよ。
コンビニさ、なんだもう、とにかく近かった。めちゃくちゃ近い。かがやく未来の光の遠さとくらべてはいけないものではないかこれは。焦ったが一人旅だから黙っていた。
お昼は食べたばかりでおなかがいっぱいだったので、好きなお菓子を買った。ミニストップのプライベートブランドのスナックはバリバリ固いものが多くて好きだ。
大定番のソフトクリームやフローズンヨーグルトも良かったが、すぐに溶けてしまいそうな陽気だったのでよした。
評判である手作りおにぎりはさすがの人気で売り切れだった。
事務所に帰るとメンバーはもう全員帰ってきていた。
買ったものをみせてもらった
林が「みてこれ」という。「なにこれ!」「なんですかねこれ」「かわいい、こんなのあるんだ」
安藤も「これめちゃくちゃうまいんですよ」と自慢する。「へ~、こんど買ってみよ」「私も~~」
4人いる! その4人が、いま、コンビニへ!
すると4人は、コンビニからなんか買って帰ってくる! ということが分かりました。
やりたいことはやっておこう
壮大なことを、壮大でなくコンパクトにまねする。入れ物のガワだけの大いなる気分を味わうのはとても気楽だった。
適当で十分だから、これからもやりたいことはどんどんやっておこう。
とくべつ企画「やりのこしたこと」
いつかやらねばと思いながらやり残していたことを、ライター総勢5名が2021年の夏のおわりに取り組みます。