「バイクの日」によみがえる苦い記憶…クラフト愛好家の私が過去にたった1度だけ挫折した激むずペーパークラフト

ロケットニュース24

だれも聞いてはいないが、クラフト好きを主張するからには「作品を完成させること」は最低条件だと考える。

環境の変化で作れなくなったものや、デアゴスティーニのように溜め込みすぎて詰んだものはあるが、最近では「難しい」を理由に途中で投げ出すことはなくなった。

しかし、実はひとつだけあるのだ。指先に刺さったトゲのように、筆者をチクチクと責め苛んで(さいなんで)いる未完成品が……。


・「ホンダ モンキー ペーパークラフト」(税込3850円)

その商品とは、アップリフトモデルズ「ホンダ モンキー ペーパークラフト(1/5スケール)」である。精密なペーパーモデルが出来上がる “大人のホビー” として雑誌に紹介されていたのが購入のきっかけだったと思う。

1/24スケールが多い自動車プラモデルに対して、1/5スケールとはかなり大型の商品である。完成すれば抱きかかえるほどのサイズで、大迫力になるはずだ。

使うパーツを選択することで、モンキーかゴリラのどちらかを作ることが出来る。


開封するとA4シートが16枚も出てくる。「マーメイド紙」というマットな質感の紙で、テカテカ光らないおかげで高級感がある。

組立説明書の分厚さよ! 1冊の雑誌のようなページ数だ。


そしてシートは……「レーザーカットされていない」タイプ。つまり自分でイチからカッターやデザインナイフで切り出さなければならないパターンだ。

1/5スケールだけあって「小さすぎて作業しづらい」という場面はほとんどない。しかし強度のない紙素材、直線をきちんと折ることが難しい!

たとえば書店などでよく見かける「ペーパーナノ」や、ジブリシリーズが有名な「みにちゅあーと」では、折るべきところに破線が入っていて、労せずしてパキッと直線的に折れる。

しかし本商品は直線をキッチリとるのが難しい! 一発で折れないと紙がクタクタになってしまうので、かなり神経を使う。

こういった場合、あらかじめペン先など尖ったものでガイド線をつけるのが定石だが、たとえば単純な立方体でも5カ所以上の折り目があるわけで、気の遠くなるような作業である。

思えばレーザーカットなんていう先進技術が登場するまでは、どんなキットもこの作業をやっていたはず。一度、文明の利を知ってしまったら、もう戻れない……。


極めつけはこれだ。


丸みをおびたパーツを作るときには、三角形の「のりしろ」をつなげて接着する。カッターよりもハサミが早いかと思ったのだが、普通のハサミじゃ切り出せないっ……! 精密ハサミが必要だ。

チョキ、チョキ、チョキ、チョキ……いつまでも終わらない!


無限に続くかと思われる三角形の隊列。バイクだから、ほぼほぼ曲線的なパーツで構成されている。あとどんだけこの作業があるんだ!

ほかにも蛇腹(じゃばら)のように折りたたんで厚みを出してから、形を切り出すパーツ(折った時点でズレている)や……

これまた紙を繰り返し蛇腹に折りたたんで表現する機械部分など……ただでさえ折るのが難しいのに、高度な折り技術を求められる場面が続く。「折り」を極めたものだけが、ペーパークラフトを制す。

結局、10日間ほど作業しても、出来たのはたった3つのパーツという状態だった。この後、どんな作業があるのだろうかとシートを確認して……


紙ではなく、筆者の心が折れた……


・来年こそは

それもそのはず、難易度は最高レベル。生半可な覚悟では取り組めないシロモノなのである。

けれど完成したら、芸術品と呼べるような仕上がりになりそうだ。バイクには詳しくないが、見えないところまで作り込まれているのがよくわかる。しかも、簡単には諦めきれない価格である。

折しも8月19日は「バイクの日」。毎年この日が来るたびに、苦い思い出としてモンキーを想起するのだろうか。そんなの耐えられない。

よし、1年かけて来年の「バイクの日」までには完成させるぞ! たぶん! おそらく!


参考リンク:株式会社アップリフト
執筆:冨樫さや
Photo:RocketNews24.

Source

タイトルとURLをコピーしました