入管局での医療体制は「不十分」 – 小宮山洋子

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名古屋出入国在留管理局の施設で、今年3月、スリランカ国籍のウィシュマ・サンダマリさん(当時33)が、死亡した問題で、出入国管理庁は、昨日10日、調査の最終報告を公表しました。体調悪化への対応に問題があったとし、医療体制や情報共有の取り組みが組織として不十分だったと認めました。

内部の調査で、死因が特定されていないなど、遺族代理人弁護士は、疑問を呈しています。ウィシュマさんは、体調悪化を訴えていましたが、担当者が「誇張やアピール」だと疑っていた、とのこと。吐き気や腹痛を訴えたのに、からかうような発言をし、仮放免か医療措置を施すよう直訴したのに情報は上司に伝わっていなかったそうです。

そもそも入管施設は「一時的な収容場所」と位置付けられ、手厚い医療ケアは後回しにされてきました。全国の入管施設で収容中に死亡した人は、2007年以降で16人もいます。

日本の入管行政は、在留資格がない外国人を原則として収容する「全件収容主義」をとっていて、収容期間に上限がなく、裁判所など入管以外の機関が収容が必要かを審査する仕組みも設けられていません。入管の裁量で無期限に収容でき、国連の人権機関から繰り返し改善を求める勧告を受けています。

今回の報告書では、全ての入管職員に意識改革を求めています。外部の目がしっかりチェックできる仕組みが必要だと思います。先日新しく就任した佐々木聖子長官は、名古屋入管にとどまらず、「今日の入管行政の問題が発現した」という認識を示しました。

国際的にも批判のある難民行政についても前向きの発言をされていたので、入管の改革にも期待したいと思います。また、先の国会で、この事件を受けて成立が見送られた入管法改正案でも、批判のある部分の改善だけでなく、入管の制度について抜本改革する議論をしてもらいたいと願います。

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