iOSもAndroidも–「Beats Studio Buds」が新チップで挑んだ高音質と簡単接続

CNET Japan

 Beats by Dr. Dre(ビーツ・バイ・ドクタードレ)が8月に発売した「Beats Studio Buds(ビーツスタジオバッズ)」(税込価格:1万7800円)は、満を持して登場した完全ワイヤレスイヤホンだ。イヤーフックデザインを採用した「Powerbeats Pro」(パワービーツプロ)の発売から約2年。進化したのはコンパクトサイズだけに留まらない。多くのイヤホンメーカーがひしめき合う完全ワイヤレスイヤホン市場で、後発参入となるBeatsは何に注目し、どんな完全ワイヤレスイヤホンを目指したのか。開発の背景をBeats by Dr. Dreに聞いた。

「Beats Studio Buds」
「Beats Studio Buds」

iOSもAndroidもワンタッチペアリングを実現

 Beats Studio Budsは、片耳約5gというコンパクトサイズのイヤホンに、アクティブノイズキャンセリング(ANC)、外音取り込みなどの機能を搭載。「人気の高いANCと外音取り込みモードに加えて、直感的に使える唯一のユーザーエクスペリエンスを実現した」と話す通り、ほかのイヤホンにはない使い勝手の良さを打ち出す。

 BeatsというとiOS製品とのマッチングの良さが際立つが、Beats Studio Budsでは、Androidモデルと簡単にペアリングができる「Fast Pair」にも対応。iOS、Androidを問わず、ワンタッチペアリングを実現する。「Fast Pairが使用できない場合でも、違う方法によってワンタッチペアリングを実現している。これは、どちらのユーザーにも使いやすく、幅広い人に簡単に使ってもらいたいとの思いから採用したもの。開発には数年間を費やし、ようやく両方のユーザーにストレスなく使ってもらえるようになった」と振り返る。

 秘密は独自に開発したチップだ。Powerbeats Proでは「Apple H1チップ」、5400円という低価格を実現した「Beats Flexワイヤレスイヤフォン」では「Apple W1チップ」と、Beatsではここ数年に渡り、アップルが開発したチップを搭載。それにより、長時間駆動やアップル製品とのシームレスなつながりを担保してきた。

 「今回採用しているのは、W1、H1チップの学びをいかして作った独自開発チップ。これにより、iOSとAndroidのどちらでも使いやすいイヤホンを実現した」と明かす。

音質を犠牲にしないために開発したダイナミックドライバ

 幅広いユーザーに対応する一方で、もう一つこだわったのがコンパクトサイズによるフィット感とデザインだ。「フィット感が良くなければどんなに良い機能が搭載されていても、イヤホンとしての意味はなさない。完全ワイヤレスイヤホンの中には、サイズと価格を追求することで音質がトレードオフになってしまっているものもあるが、私たちは音質を妥協することなく提供したいと考えた。それを実現できたのは、8.2mmドライバが開発できたからだ」と新開発のドライバを紹介する。

手のひらに収まるコンパクトサイズの充電ケース。充電にはUSB Type Cケーブルを使用
手のひらに収まるコンパクトサイズの充電ケース。充電にはUSB Type Cケーブルを使用
イヤホン本体は1個約5gと小さく、装着すると耳からの出っ張りなどが少ない
イヤホン本体は1個約5gと小さく、装着すると耳からの出っ張りなどが少ない

 8.2mmのドライバは、2枚の振動板を採用したダイナミックタイプ。「内側が堅く、外側が柔らかい2つのポリマー素材を組み合わせることで、振動板の効率的な動きをサポートし、音の歪みを低減。これによってアクティブノイズキャンセリングに最適なドライバができた。特に100Hz程度の低域再生時の歪みは大幅に低減できたと自負している」と自信を見せる。

 IPX4等級の耐汗耐水性能を備え、スポーツでの使用も推奨。「1日中使ってもらいたいと思って開発したので、コンパクトな形にしている。ジムでの活用やワークアウトでも使ってほしいが、より激しいスポーツをするのであれば、Powerbeats Proがおすすめ。イヤーフックタイプで外れにくいため」と強調する。

 本体には左右計6つのマイクを内蔵し、リモートワークで使用頻度の高くなった通話品質もサポートする。「片方のイヤホンにアクティブノイズキャンセリング用のマイクを2つ、音声通話用のマイクを1つ搭載している。通話性能はPowerbeats Proよりも精度は高い」と、個性を打ち出す。

イヤホン本体。「bボタン」をおすと再生、一時停止、スキップ、ANC、外音取り込みモードなどの切り替えが可能
イヤホン本体。「bボタン」をおすと再生、一時停止、スキップ、ANC、外音取り込みモードなどの切り替えが可能

 「Beats Studio Budsは、iOSとAndroidの両方でストレスなく使えることが最大のポイント。完全ワイヤレスイヤホンは競合の多い市場だが、ここまで両OSに対応したイヤホンはない。この部分を打ち出すことで差別化を図っていきたい。また、アクティブノイズキャンセリング、外音取り込み、IPX4と多機能さを維持しながら価格は1万7800円を維持している。価格の手頃さも特徴の一つになっていると思う」と思いを明かす。

 今回、ドルビーアトモスにも対応し、「AppleMusic」内で用意されている「空間オーディオ」対応の楽曲を聞くと、広がりと奥行きのあるサウンドを楽しめる。「ぜひ聴いていただきたいとの思いから、Beats Studio Budsの購入者には最長で4カ月AppleMusicが無料で聴けるクーポンを同梱する」と力を入れる。

 完全ワイヤレスイヤホンとして後発参入となったBeats Studio Budsだが、Beatsは「たくさんの類似商品が登場しているが、私たちは時間をかけて独自の商品を開発できた。なかでもソフトウェアの開発には時間がかかったが、それだけに納得のいくものができたと思っている」とした。

パッケージはBeats史上最小サイズ。木製繊維を92%使用している
パッケージはBeats史上最小サイズ。木製繊維を92%使用している

Source

タイトルとURLをコピーしました