完全自動調理ロボットは人間の仕事を奪ってしまうのか?

GIGAZINE
2021年08月10日 19時00分
メモ



機械工学が進歩し、自動で食品の調理を行うロボットが開発されて、一部のファーストフードチェーン店には実際に導入されつつあります。このようなロボットは現場の負担をどこまで軽くできるのか、人間の仕事を奪ってしまうことはないのかなどについて、海外紙のウォース・ストリート・ジャーナルが解説しています。

Amid the Labor Shortage, Robots Step in to Make the French Fries – WSJ
https://www.wsj.com/articles/restaurant-robots-kitchen-labor-shortage-11628290623?mod=djemalertNEWS

アメリカの労働省によると、2021年6月時点での宿泊および外食産業での求人は2020年の2倍、150万件以上であるとのこと。多くの外食産業は不足する人員と賃金のインフレに悩まされ、顧客対応やオンライン注文、そして食品の生産自体を自動化しようと取り組んでいます。

ファストフード店のホワイト・キャッスルなども食品生産の自動化に取り組む企業の1つ。基本的に人の手で行われる食品の調理をMiso Roboticsが開発したロボット「Flippy」を用いて自動化しようと試みており、実際にインディアナ州にあるホワイト・キャッスル42号店で導入しているとのこと。

Flippyは白い耐油性の布で覆われたアーム型ロボットです。頭上に取り付けられたレールに沿って動いてハンバーガーのパティをひっくり返したり、あるいはフライドポテトが入ったバスケットを油の中から引き上げたりといった作業を行います。Flippyが実際に動いている様子は以下の動画で確認できます。ホワイト・キャッスルはMiso Roboticsと協力してFlippyの改良を行い、新たに10店舗に展開する予定だとのこと。

Flippy the Burger Flipping Robot at CaliBurger Pasadena – YouTube
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食品加工の自動化でエンジニアが直面する最大の課題の1つは取り扱いの複雑さです。生ものである食品の取り扱いには衛生基準や保管・調理温度などの課題があり、これらを解決する機械の開発は困難を極めます。ウォール・ストリート・ジャーナルが調査したロボット開発の新興企業は、主な解決策としてFlippyのように調理の一部のみを行う機械を採用していたとのこと。

ロボット開発企業のスタートアップであるKarakuriのバーニー・ラッグCEOも「調理によってその特性が変化する食品を扱う機械をどのように作るのかが真の課題だ」と述べます。同社が開発した調理ロボット「DK-One」はヨーグルトパフェやグリーンサラダなどを、材料を選んで調理するまで全て自動で行うことができます。


同じくロボット開発企業Kitchen Roboticsの共同創設者であるオフェル・ジンガー氏は「1時間あたりの運用コストにおいて、人間よりもロボットの方が安価であることに重点を置いている」と話します。同社が開発した調理ロボット「Beastro」はメンテナンス費用込みで月額7500ドル(約83万円)でレンタルでき、2~3人分の仕事を1台で行えるとのこと。これら以外にも、調理ロボットはさまざまな企業により開発されています。

より多くのロボットを導入しようとする企業にとって、潜在的なメリットは費用の節約だけではなく、一貫性と信頼性にもあります。キッチンの自動化を研究するルース・コーワン氏は「低賃金の労働者でも出勤してこなければ意味がない」「信頼性の低い人間をより信頼性の高い機械に置き換えたいという願望は、100年以上にわたって自動化の採用の推進力となってきた」と語ります。その推進力としての意味合いは、比較的低い賃金で、肉体的・精神的に負担の多い外食産業の人気が落ち込むにつれ、ますます強くなっているとのこと。

自動化は常に高い効率を提供しますが、コーワン氏の研究では「調理に必要な労働力が減少すると同時に、消費者が期待する品質と商品の多様性の水準も上がる」ということも分かっています。つまり、時間とお金を節約するはずのロボットが結局消費者の注意を引くために利用されてしまうというわけです。その結果、必要となる人的資源の量は結局のところ変わらないのではないかとコーワン氏は予想しています。

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