M1 MacでもiPadでもWindowsが使える「Windows 365」レビュー–導入のメリットを探る

CNET Japan

 Microsoftが7月に発表したWindows 365が、8月2日(米国時間、日本時間8月3日)からスタートした。Windows 365は、仮想化技術を活用してMicrosoftクラウド上に「仮想PC」(あるいはクラウドPC)を物理PCの替わりとして提供するサブスクリプション(月額定額制)のサービスだ。従来のWindows OSとは異なり、ハードウェアから分離しているため、Macbook ProやChromebookなどWindows PCではないPCからも、iPad Proのようなタブレット、さらにはスマートフォンからも利用できる。

 今回は、そうしたWindows 365を実際に利用してきて見えた利用感などを交えつつ、どんなユーザーがWindows 365を必要とするのかについて考察していきたい。


Macbook Pro(M1、2020)でWindows 365を使っているところ

Windows 365のしくみとは

 Windows 365とは、簡単にいってしまえば、従来は物理的なデバイス(Windows PC)と1対1でひも付けいていたWindows OSを、OSのイメージだけを取り出してクラウド上で「仮想PC」として動作させ、それをユーザーは遠隔地から操作するというしくみだ。技術的に言うと、ディスプレイの出力はサーバ側でエンコードされ動画に変換されてウェブブラウザなどにストリーム配信され、キーボードやマウスなどのユーザー側の入力は逆にサーバ側に配信されるしくみになっている。


Windows 365のしくみ(筆者作成)

 このため、ストリーム配信を受信できる高速なインターネット回線さえあれば、クライアントデバイス側はWindows PCである必要はない。HTML5に対応したウェブブラウザ(Microsoft Edge、Google Chrome、Firefox、Apple Safariなど)があれば、特に特別なクライアントがなくても利用できる。このため、Windows PCだけでなく、AppleのMacBook Pro(M1、2020)やChromebookといったWindows OS以外のPC、iPadなどのタブレット、iOSやAndroidなどのスマートフォンからも使えるのだ。


Windows 365が動作しているiPad Pro(M1、2021)、iPadOS 13以降にアップグレード済みならマウスも使える

 ただし、ウェブブラウザからだと使える機能には制限がある。このため、Microsoftは専用のツール”RDP(Remote Desktop Protocol)クライアント”を別途提供しており、それにより多くの機能を利用できる。


Windows 365が動作しているGalaxy Note20 Ultra 5G、縦表示も可能に

 たとえば、ウェブブラウザではTeams AV リダイレクションという機能は使えない。この機能は、ローカルのPCに配備されているカメラやマイクからの入力を、遅延なくクラウド上にあるクラウドPCに転送するしくみだ。この機能がないと、Teamsのウェブカメラ表示は紙芝居のようになってしまうが、この機能があればローカルにあるのと同じ感覚や性能で利用できる。


Windowsのデスクトップ版RDPクライアントを使うと、マルチディスプレイ表示も可能に

Windowsのデスクトップ版RDPクライアントを使うと、ローカルPCの生体認証(Windows Hello)を利用してのログインも可能(通常はパスワード)

 また、PCがWindows Helloによる顔認証などに対応している場合には、それを利用してクラウドPCにログインできるし、マルチモニター表示の場合にはマルチモニターで使える。具体的な機能の違いは表1のようになる。

表1

  Windows デスクトップRDPクライアント WindowsストアRDPクライアント Android iOS / iPadOS macOS ウェブブラウザ
キーボード
マウス
(iOS 13以降)
タッチ
シリアルポート
USB
Teams AV リダイレクション
マルチ・メディア・リダイレクション まもなく対応予定
マルチモニター 最大16モニター
動的解像度変更
スクリーンキャプチャー防止
カメラ対応
スタートメニュー統合
クリップボード テキストのみ テキストとイメージ テキストのみ
ローカルドライブ/ストレージ対応
アクセシビリティ
ロケーション機能対応
マイク対応 まもなく対応予定 プレビュー対応
プリンター対応
(CUPSのみ)

(PDF印刷のみ)
スキャナー対応
スマートカード対応
スピーカー対応

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