緊急事態宣言が発令されたことで、会社に行く機会がめっきり減った。それでも、やむを得ずに出社する機会があると、ガチガチにテレワーク用に固めた作業環境が、時に仕事の邪魔をすることがある。
……この記事を書いている時点で、東京で4度目の緊急事態宣言が発令されてから18日が過ぎた。
私が勤めている新宿にある中小企業では現在、各スタッフが可能な範囲でリモートによる業務を行っている。その中で、今回は出社するにあたって、スマホの通知音設定を見直すことにした。
【これまでの経緯】
緊急事態宣言が発令された2020年4月、筆者の勤めている会社では何の準備もないまま、在宅勤務を始めることになった。仕事の環境は「デスクトップPC+メール」が普通だったため、データを外付けHDDで持ち運んだり、LINEの個人アカウントを流用したりと大混乱。その後、補助金などでNASやノートPCを導入、徐々にテレワーク環境を整えていく……
7月26日(月):オフィスに鳴り響く鳩時計の声……
今日はどうしても外せない案件があって、午後から出社することになった。デスクに向かって作業をしていると、ズボンの尻ポケットから「カッコー、カッコー」と音がする。前回設定した鳩時計アプリの「Cuckoo」が2時をお知らせしているようだ。
このアプリ、自宅にいる時は何かと便利なのだが、大事な会議中などに鳴かれるのはちょっと困る。仕方がないのでiPhoneのサイレントスイッチをオンにすることに。……後は、自宅に戻ってから、スイッチの操作を忘れなければ良いのだが。
7月27日(火):着信音を切ったiPhoneが家で行方不明!
今日は終日テレワーク。仕事の予定をGoogleカレンダーで確認しようとしたが、iPhoneが見当たらない。家の固定電話から発信しても着信音が鳴らないので、どうやら部屋の中にはないようだ。そこで昨日、iPhoneのサイレントスイッチをオフにしたことを思い出す。
結局、PCのブラウザーでiCloudの「iPhoneを探す」ページにアクセス。自宅にスマホがあることを確認して、「サウンド再生」をオンにすると、1階ソファーのクッション下からソナーのような音が聞こえてきた。この音はサイレントスイッチを有効にしていても、ちゃんと鳴ってくれるのでありがたい。
とはいえ、ズボラな私のことだから、きっとまたサイレントスイッチの操作を忘れて、今日のように慌てることになるんだろうなぁ。重要な通知を見逃すのも困るので、自動で着信音をオンにするなど、何らかの対策をしておきたいところだ。
7月29日(木):時報音声を用意して、アラームにセットしてみた
あれから一晩考えて、「結局、外で一番気になるのは時報だから、これをテコ入れすればいいのでは?」という結論にたどり着いた。
「オートメーション」で制御できるアクションの中には、iPhone標準のアラームがある。つまり、時報を「Cuckoo」ではなくアラームで行えば、そのオン・オフを「オートメーション」で制御できるようになるわけだ。ちなみに、アクションには主にネトゲで利用している「Discord」の制御も含まれているが、通知音の操作はできなかった。会社では自動で通知音をオフにしたかっただけに、残念だ。
さて、iPhoneのアラームでは、通知音に音楽ファイルを指定できる。そこで用意したのが、「1時です」などと声で知らせてくれる音声データ。これには、音声合成サービスの「CoeFont STUDIO」を利用した。
「CoeFont STUDIO」は入力したテキストを、音声に変換してくれるサービスだ。営利・非営利問わずに無料で利用することができ、音声データはダウンロードできる。
今回は「10時です」から「19時です」まで、毎時を知らせる音声データを用意して、それをiTunes経由でiPhoneに登録した。後は1時間ごとにアラームを設定し、その通知音に先ほどの音声データを指定。「オートメーション」は玄関に設置したNFCタグでアラームをオフに、部屋の充電器そばのNFCタグでアラームをオンにするよう指定しておく。
実際にテストしたところ、玄関のNFCタグにiPhoneをかざすことで、アラームを一括してオフにすることができた。一方でアラームがオンの時は、「10時です、10時です、10時です、10時です、10時です、10時です」と延々に言い続けるように。……そういえば、音声ファイルに無音部分を入れておくのを忘れていた。
7月30日(金):10秒に1度「○時です」という音声ファイルを作成
音声データに無音部分を入れるべく、フリーソフトの力を借りることにした。今回利用したのは「Audacity」。この手のソフトの中では古株で、個人的に愛用しているものの1つだ。
「10時です」というワンフレーズが大体1秒なので、その後に9秒の無音部分を入れることで、トータル10秒の音声ファイルを作成する。後は、これをアラームに組み込めば、10秒に1回時を告げる時報が完成。音声合成のサービスやアプリは、無料のものだけでもいくつかあるので、いろいろ試してみるのも楽しそうだ。
今はまだ自宅での勤務が続いているが、緊急事態宣言が解除されれば、オフィスに出社する日も増えるだろう。その時に向けて、会社=自宅間で作業環境を移行させる準備を今から進めておきたい。
なお、今回トリガーにNFCタグを使っているのは、“Wi-Fi接続”や“位置情報”だと、アクションの実行に手動の操作が必要になるため。NFCタグであればiPhoneをかざすだけで、アクションを自動実行してくれるので便利だ。NFCタグは1000円以下で数個買えるが、更新して使わなくなった免許証や交通系ICカードなどにも内蔵されているので、ぜひ一度お試しあれ。