[再]おれはハンバーガーなら無限に食べられる~東急沿線さんぽ

デイリーポータルZ

おれ、ハンバーガーでお腹いっぱいになったことがないんだ。

ハンバーガー。アメリカ料理の代表的な食べ物であり、キングオブジャンクとして君臨している。

パティと呼ばれる肉汁のあふれるハンバーグのような肉のかたまり、バンズと呼ばれるフワフワのパンで挟んだ料理である。むしょうに食べたくなるときがないだろうか。体がハンバーガーを求めて、もうどうしようもないときがある。

そして、気づいた。今までの人生を振り返ったときに「ハンバーガーでお腹いっぱいになったことがない」ことに気づいた。偉大な発見である。さてはお前、無限に食べられるやつだな。やるぞ!

※編集部安藤より
この記事はデイリーポータルZの運営元であるイッツコムのサービスエリア、東急沿線の魅力を紹介する記事です。

前作:おれはテイクアウトなら無限に食べられる

1988年神奈川県生まれ。普通の会社員です。運だけで何とか生きてきました。好きな言葉は「半熟卵はトッピングしますか?」です。もちろんトッピングします。(動画インタビュー)

前の記事:ほんのりプレミアムなチェーン店めぐり~東急沿線さんぽ~

ハンバーガーって小さいよね

外でちょっと休憩するときや記事を書くのによくマクドナルドを利用する。頼むのはコーヒーとハンバーガーだ。あまり食べると頭が回らなくなる。食べなすぎても回らないので、結局セットを頼んでしまう。セットはチキンナゲット、ソースはマスタードでお願いします。店員さんだけですよ、かしこまりましたって言ってくれるのは。

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一般的なハンバーガー。
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改めて見るとぺたんこ。かわいいのでペットとして飼いたい。

子どものころはごちそうに見えたものだ。ケチャップ、ピクルスの酸味、パティのうまさ、その全部が子どもの舌に感動を与えた。

子どもの頃は「これがたくさん食べられたらいいなー」と思っていたがそんな日が来た。ゲームボーイばっかりしていた子どもの頃の自分、将来、ハンバーガーを無限に食べられるぞ。あと、その頃の自分よ、寿司を自分の胃袋以上に食べてお腹を壊すの恥ずかしいからやめたほうがいいよ。

鳥と牛と豚のトリプルプレイ

東急東横線の日吉駅。慶応義塾大学があるため大学生が多く、活気あふれる街である。先日、慶応ボーイ(慶応義塾大学に通う男子大学生の通称)が女の子2人と肩を組んで歩いているのを見た。それだけお伝えさせてください。

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「MADE IN HANDS」というお店。

専門業者に特注したお肉を使い、バンズは国産小麦の全粒粉(ぜんりゅうふん。小麦の表皮、胚芽、胚乳などを全て使うため、一般的な小麦粉よりも栄養がある)を複数ブレンドして店内で焼くそうだ。こだわりのつまったお店である。クラフトビールやウイスキーも充実しており、うまいハンバーガーを食べながら、うまいビールが飲める。この文章だけでニコニコしちゃう。

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この情報を見たとき、この企画でやせると思った。

色々なハンバーガーがある中で今回食べたいのは「Carnival(カーニバル)」というハンバーガーだ。

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今日はハンバーガーと愉快で愉快な音楽を流しながら踊りたいな。

そんないい名前のハンバーガーってあるのか。しかも牛、豚、鶏が一緒に食べられるなんて、社長か偉業を達成した人じゃないと食べちゃだめなんじゃないか。漢検5級と普通自動車免許しか持ってないけど大丈夫?

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チーズトッピングで「イエロージャケット」がかっこいいのでお願いした。
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ビールを飲みたかったがコーラで我慢。ハンバーガーにコーラは合う。

ハンバーガーを焼くのに時間がかかるらしいのでしばらく待つ。待った分だけ期待をしてしまうが、期待以上のハンバーガーがやってきた。

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この絵画を描くことがあったら「アフリカの大地と自然」と名付けたい。アメリカの料理だけど。

見ただけで力があふれてくる。お年寄りにあげたら10歳若返ると思う。

スパイシーに味付けされた鶏、10日間かけて作られた風味と味があふれ出てくる豚のベーコン、牛は肉汁たっぷりパティ。これで390gだという。

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ちなみにバンズをのせるとこう。もう塔である。

もう食べたい。はやく食べたいが、これどうやって食べるのだろうか。聞いたところ、ナイフとフォークを使って食べてもいいが、専用の紙を使えば、手軽に手で食べられるそうだ。いつだってこの手を使って生きてきたから手で食べます。

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写真がぶれるほどの早さで包んで
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食べた!なんで目が怖いの?
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そして、コーラを飲んだら、
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天国に一番近い場所が日吉にありました。

はさんであるバーベキューソースは食べた瞬間にうまい。口の中がリオデジャネイロになった。ロナウジーニョ状態である。今、自分の中にあるブラジル情報を使い切った。

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あふれるワイルドさを抑えながら食べ進める。

ハンバーガーの390gがどのぐらい満腹になるのか予測がつかなかったが軽いおやつである。余裕であった。

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あまりにも余裕であくびが出るぜ。

苦戦したのは、紙ナプキンが遠い位置にあったので取るのが大変だったぐらいである。これはどうだ、もう1軒行くしかないな。

撮影に協力してくれた友人に「え、もう1軒行くの?食べたのに!?」と言われたがこう言ってやったよ。

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行くさ。
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だって、おれはハンバーガーなら無限に食べられるからね。

このせりふを言った瞬間、邪魔だったのか自転車のベルを鳴らされた。ベルを鳴らされた瞬間、びっくりしてうわって声が出ますね。

ハンバーガーの限界を知る

電車に乗り、日吉駅からみなとみらい線直通で元町中華街駅に着いた。

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観光地がたくさんあるので落ち着いたら行ったほうがいいです。

中華街の方でなく、海の方へと歩く。しばらく歩くと港の見える丘公園に近くに本日2軒目のお店「アメリカン ハウス ダイナー 港山店」に着いた。

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中国じゃなくてアメリカ。
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入ってメニューを開いたら見たことがない料理が出てきて、これはすごいものが出てきそうだと予感した。

アメリカ料理と呼ばれるダイナミックでボリュームがある料理がたくさん並んでいる。その中でもモンスターチーズバーガーというものがあった。アメリカが思うモンスターっぷりを見せてもらおう。

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トリプルとモンスターが選べる。3枚か5枚。迷わず5枚を選んだ。
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全然行けそうな気がする。と話していたら、
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これがモンスターチーズバーガー。ナイフが刺さっているところに強敵な雰囲気を感じる。アメリカ、やってくれるじゃないか。
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ナイフが刺さって怖いのと、思っていた以上のサイズに「無理かもしれない」と友人の目をしっかり見ながら伝えた。日本人の意地がそこにあった。

聞いたところ重さは750gあるらしい。

「これにパティを1枚150グラムのパティを2枚追加して1kgにして食べる人もいますよ」と言われて、いつかその人で出会って、一緒にご飯に行きたいと思う。でも、今はやりきろう。食べきったその先の世界を見てみたい。

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ナイフを使って食べ進んでいくと思いきや、
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ポテトを食べて、相手のすきをつく。
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あごが外れるほどの口を開けて食べる。

ハンバーガーをたくさん食べていると気づくことがある。それは「肉の独特の味」である。ステーキや焼肉、ハンバーグとは違った味が噛みしめるたびに口の中に広がる。

パティにシーズニングと呼ばれる複数のスパイスやハーブ、塩、調味エキスなどを配合して作られた調味料を入れて作ることが多いという。これによって味が決まり、全体のおいしさに影響してくる。

それがたくさん食べているとかなり主張してくるのだ。要するに味に飽きてくる。

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ケチャップやマスタード、タバスコをかけながら食べて味を変えていく。

全然減らない。目をはなしたときに誰か追加していると思う。だれだ、2軒目に行こうとしたやつ。

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本気になるしかない。え、飲み物飲み放題なのか。
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行くしかない!ウーロン茶をください!!
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このあと、計1リットルぐらい飲んだ。きっと体の中にウーロン茶が流れている。

限界を超えながらもう、満腹度は15割ぐらいになっている。もう食べられない。あと少しが全然食べられないのだ。

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今までハンバーガーを食べている人でこんなに悲壮感あふれる人っていないだろうな。
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今、外を見ることで「歩く自分を想像してご飯を消費する」ということをしています。
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もう行くか!がんばれ!!
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行けるのか?
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行った!!
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なんとか食べきった。

このとき「ハンバーガーって1kg食べるのきついかもな」と感じた。今まで一番、食べきるのがつらかったかもしれない。

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伝票を見たら感謝されていた。人に感謝されるとうれしいものですね。

この日、1キロぐらいハンバーガーを食べた。ハンバーガーを愛し、ハンバーガーに生かれたアメリカンエクスプレスな一日だった。

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バースデーハンバーガーを河原で

東急東横線の代官山駅。おしゃれで大人な町というイメージがある。ブックオフとかなさそう。

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代官山駅から徒歩3分「グリルバーガークラブ ササ」というお店。

こちらのお店はビッグバースデーバーガーというものがある。あまりの大きさに最低でも5日前からでないと予約できない。どれほどの大きさなのだろうか。今回は予約をしてテイクアウトした。

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ケーキみたいな箱の中には、
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巨大ハンバーガー。こういうクッションあるな。
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上から見ても大きい。ゴマのセサミンって体にいいらしいですよ。
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小さいサイズがこれ。これでも大きいぐらいだ。

直径25cmもあり、重さはなんと2kg。きっと1人で食べるやつじゃないな。

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ちなみにネームプレートも書いてもらえる。全然誕生日ではないが書いてもらった。

予約する際、「誕生日の方のお名前を教えて頂ければネームプレートにお書きしますよ」と言われたので、「じ、じゃあ江ノ島くんで…」と伝えて書いてもらった。

自分の名前を書いてもらうのはとても恥ずかしい。予約の会話で一番恥ずかしかったのは「かしこまりました。江ノ島くんでよろしいですね」の確認されたときだ。心にくるものがあった。

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ろうそくなども一緒にセットでもらえる。

ここまでやってくれたのだ。これは誕生会をするしかない。しかし、人を集めてやるのは今の時代、厳しいので1人でやることにした。ちなみに誕生日は3カ月前にむかえている。誰かいなかと11月21日生まれの有名人を調べたらヒクソン・グレイシーがそうらしい。ヒクソン・グレイシーさん、誕生日おめでとうございます。

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これから誕生会が始まります。
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クラッカーを買ってきた。景気づけにならそう。
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パーン!
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思いのほか遠くへ飛んでいき焦る。

祝い終わったのでハンバーガーを食べよう。切って食べようと思ったがせっかくなのでこのまま食べてみたい。持った瞬間の重さよ。

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顔が全然見えない。

こういうのっておもしろにふって、味はそんなじゃないのかなと思ったが、味がかなりおいしい。

パティのおいしさがもちろんだが、野菜のみずみずしさと酸味のあるソースが絶品で、2キロ食べられないかなと思っていたが食べられるかもしれない。

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青空の下で食べるハンバーガーはおいしいですね。

おいしい、おいしいと食べる。周りで遊んでいる子どもたちが不思議な顔でこっちを見ているが、今は食事をしているのでそっとしてあげてください。

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多いな。

2キロを1人で食べるのは多いなと思った。食べられるかもしれないが、やっぱり無理をするのってダメだと思う。だからハンバーガーが嫌いになる前にこれはあとで少しずつ食べます。

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あとは家で食べたいと思います。

このあと、チーズをのせてレンジでチンしたらにうまかった。誕生日おめでとうございます。こちらこそありがとうございます。

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写真を撮られたい

いろいろ食べてきたが、こう何か結果として残るものがほしい。そう思って調べたら渋谷の「FATBURGER」というお店にあるUSキングバーガーを食べきったら記念写真を撮ってもらえるそうだ。これだ。

渋谷の町は怖いので編集部の安藤さんと行った。

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若い人たちの服屋を通り抜け場所にある。FATは「Fresh(新鮮)」「Authentic(本格的)」「Tasty(おいしい)」の略だ。太っている人の意味じゃない。
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そして、これがお目当てのもの。先日、5枚のものを食べたのだ。余裕だろう。

そう思っていたら、もっとすごいものが置いてあった。

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デラックス。どう見てもでかいな。

パティ10枚のハンバーガー。アメリカの人だって食べたことがないかもしれない。見たら「ワオ!」と言うと思う。自分も言った。

せっかくなのでこれを食べることになった。聞いたら1キロあるらしい。食うか食われるかの勝負が始まった。

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抑えてないと崩れる。これで1キロあるらしい。

かつて、神様はあまりにも高い塔と人類が建てたために罰を下したというバベルの塔の話がある。それを思い出させる高さのハンバーガー。たぶん、富士山よりも高いと思う。あと、これどうやって食べるの?

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とりあえずかぶりついた。

肉々しい姿から想像できない濃い味付けではなく、シンプルでさっぱりとした味。多分、6枚だったら余裕で帰る途中にシュークリームを食べていたと思う。食べているときも10枚ってなんだと思っていた。今日は6枚を食べるぞという気持ちで1日を過ごしていたので、すきを突かれた。今が戦国時代なら城を落とされている。

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安藤さんが頼んだ普通のハンバーガーと自分が口に運ぼうとしている量、同じぐらいある。
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最初は勢いよく食べられた。野生を感じますね。
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5枚を食べたあと寝た。ハンバーガーに囲まれる夢を見ている。急に老けたね。

満腹というよりも、ハンバーガーの味に対して「今日は大丈夫です。ありがとうございました」となっている。のどを通って行かないのだ。母さん、おれはとんでもないものに挑んでしまったのかもしれません

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手が離せないので、途中、何度も安藤さんに水のおかわりをお願いした。今日、仕事を抜け出してきてもらったのに水を頼んで申し訳ないなと思いながら、ハンバーガーを食べた。
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水でハンバーガーを飲み込む。フードファイターの気持ちがわかった。

30分が経過した。あと少しだ。しかし、その少しがビックマック5個分ぐらいに見える。あまりにも巨大なひとくち。

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これだけの量が食べられないなんて人って無力だな。(すでに900gは食べている)
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応援する安藤さん。ちょっとだけイラッとしたのでこのあと水をお願いした。
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先駆者たちの気持ちを背負ってがんばっています。その高みにおれも行くから。

ここでやめるという選択肢はない。やるぞ、おれは今日やるのだ。口に入れさえすればどうにかなる。

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入れろ!
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入れた!
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やった! 勝った!!

なんとか食べきった。長い戦いだった。きつさで言うと駅前まで来て財布を忘れたのを2回ぐらいやったときぐらいのきつさがある。一生分のハンバーガーを食べた気がした。

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食べきったものには渡される証明書。これを持って撮影をしてもらえるのだ。
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勝利者だけが体験できる撮影。

撮影したものはボードに貼ってもらえる。このあと、10分ぐらいは動けなかった。あと、発見なんですけどハンバーガーと水って合わないです。

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あまりの合わなさに震えた。コーラかジンジャーエールがほしい。

この日、ハンバーガーの限界を知った

ハンバーガー。大きいとお腹にいっぱいになることを知った。当然のことだと思うかもしれないが、思っていた以上にお腹にたまるので注意したほうがいい。今はテリヤキバーガーを食べたいです。

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貼ってもらえた。念願が叶ったよ。

 

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