子どもの車内放置 自宅でも注意 – 赤木智弘

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7月後半から一気に気温が上がり、まさに夏本番。

そんな中、子どもが車内放置され亡くなったという事故が発生している。

7月22日、千葉県で1歳の女の子が、自宅マンションに止めていた軽自動車の車内に放置されて死亡した。(*1)

子どもの車内放置による熱中症が社会問題になって久しいが、今回の事件は自宅で起きているということに注目したい。そもそも放置すること自体が危険ではあるものの、「短時間だから」などという理由で自宅に駐車した場合、油断が生まれやすいのも事実だろう。

見回りの取り組み進むパチンコ業界

車内放置で子どもが亡くなる事故といえば、「パチンコ屋」のイメージがあった。しかし近年、社会的イメージの低下を防ぎたいパチンコ業界は、業界を挙げて「車内放置撲滅」を掲げ、客に対するアナウンスや駐車場の見回りなどの対策を行っている。

業界関係団体による「子どもの車内放置撲滅キャンペーンサイト(*2)」によると、平成27年度から令和元年度にかけて、ホール駐車場における子どもの車内放置死亡事故は平成29年度に残念ながら2件発生し2名が死亡してしまったものの、その他の年度では0件を記録している。

ただ、見回りでの発見などによる未然防止の件数は決して少ないとは言えない。車内放置自体はそれなりの件数があるものの、積極的な見回りでなんとか故を食い止めている状況が見て取れる。

一方で、今回の事故は自宅マンションの駐車場で発生している。パチンコ屋では店員などが見回りをすることで、事故の未然防止に努めているが、自宅の駐車場には見回ってくれる人はいない。

マンションの管理人だってそんなに頻繁に駐車場を見回らないし、他の住民もいちいち他の人の車を積極的にはのぞき込まない。リスクで考えれば、人の目が少ない自宅の駐車場の方が、見回りがいるパチンコ屋の駐車場よりも、車内放置をしてしまった際に発見されないリスクが高いのである。

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自宅だからこそ生まれる油断に要注意

昨年6月に、車内のチャイルドシートに長時間放置された2歳の女児が死亡するという事故があった。(*3)父親は長女を車で小学校に送り、さらに女児を保育所に送るはずが、忘れて自宅に戻り、そのまま在宅勤務の間放置。午後の3時過ぎに発見したときにはぐったりとしていたという痛ましい事故である。

もしパチンコ屋の駐車場であれば、見回りの人が発見していたかも知れないが、自宅の駐車場であったからこそ女児は長時間誰にも発見されなかったのである。

スーパーなど、外に出掛けて駐車場に止めたときに「子どもを放置してはいけない」ということを理解している親は多いだろう。では自宅はどうだろうか?

自宅であれば「車でお出かけの準備をしたけど、出発直前に忘れ物に気づいた」などという事もあるだろう。そのときに一度チャイルドシートに固定した子どもを、一緒に自宅内に連れて行くことを手間だと感じないだろうか。

数分程度だからと家に入って、捜し物が見つからずに10分20分経つこともある。大半の場合はそれでも事故に至らないのだろうが、少し駐車位置が違って、普段は入らない日の光が子どもを照らし続けていたら、クーラーをつけていたつもりがついていなかったら、エンストを起こしてしまったら……事故の可能性は決して低くはないのである。

さらに、自分で車から外に出られるくらいの年齢の子どもでも注意が必要だ。熱中症にかかるとめまいや立ちくらみなどが起き、大人ですら自分で適切な判断ができなくなることがある。親に「ちょっと待っててね」と言われた子どもは、少しぐらい気分が悪くなっても家に一度戻るなどの判断ができず、そのまま暑い車内で待ち続けてしまう可能性がある。

改めて気を付けたい子どもの車内放置

自宅というのは、多くの人に取っては安全安心なくつろぎの場である。塀で囲まれた自宅や、マンションの駐車場に子どもを少しくらい放置していても、大丈夫だと思ってしまっても無理はない。

しかし実際のリスクとしては、積極的に見回ってくれる人や他の人の目が少ない分、外出先の駐車場よりも自宅の駐車場の方が、放置状態になってしまったときのリスクは高い。

急激に気温が上がり、暑い夏が到来した今だからこそ、自宅の駐車場でも決して子どもを車内に放置しないことを固く誓って欲しい。

*1:熱中症の疑い女児死亡 車の中に放置か母親逮捕 千葉 八千代(NHK)
*2:子どもの車内放置撲滅キャンペーン(全日本遊技事業協同組合連合会、等)
*3:「子どもを忘れるなんて…でも…」車内に放置され女児死亡(NHK)

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