コロナ対策 政府は打つ手なし? – 立憲民主党

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 「政府の対策に全く効果が出ていない。本来ならもうそろそろ緊急事態宣言の効果が見られる時期にもかかわらず、全く逆の様相を呈している。ここまでの対策が失敗だったと認めた方がよいのではないか。総理が言うように人流が減ってきているならば、何故感染が減らないのか」(杉尾秀哉参院議員)。

 29日、参院内閣委員会が閉会中審査を開き、新型コロナウイルス感染症対策など国の重要政策について討議しました。立憲民主党からは、杉尾秀哉議員が質問に立ちました。

 この前日、東京都の新型コロナウイルスの新規陽性者が初めて3,000人を超え過去最多となりました。これを受け、杉尾議員は冒頭、委員会に出席した政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長に対し質問しました。

 まず尾身会長に対し、現在の事態の深刻さについての認識を問いました。尾身会長は、足元を見ると感染が増える要素はたくさんあるのに対して減る要素がほとんどなく「大変な危機感を感じている」と述べました。そして現在の危機的状況に陥った最大の要因として「国民の間で危機感が共有されていないこと」を挙げました。

 続けて杉尾議員は、感染者数が前週比1.3倍のペースで増えると仮定すると、8月22日には1日あたりの感染者数が5千人を超えるといった京都大学西浦博教授のシミュレーションや、前週比1.7倍だと来月中に1日あたり2.8万人といった政府アドバイザリーボードのシミュレーションを紹介し、見解を問いました。尾身会長はシミュレーションにはさまざまな前提があると断った上で、 全体の傾向としては、「(このまま放っておけば)さらに感染が拡大することは間違いない」との見通しを示しました。

 医療ひっ迫の可能性について問うと、尾身会長は入院する患者の数、重症患者数、入院調整の件数、高濃度の酸素療法を必要とする患者の数、宿泊療養者数といったさまざまな指標を取り上げた上で、総合的に判断すれば、もうすでに医療のひっ迫や一般患者のたらい回しが「始まっている」と指摘しました。今年3月に大阪府で起きた医療崩壊状態に言及し、首都圏における可能性について杉尾議員が問うと、尾身会長は近い将来、自宅療養者の死亡も「当然想定される」との厳しい見解を示し、対策の必要性を訴えました。

 内閣官房参与が医療がひっ迫する場合に五輪を中止する可能性に言及したことや、菅総理や丸川五輪担当大臣がパラリンピックを有観客でおこなうことに意欲を示していることについて見解を問うと、尾身会長は「組織委員会はいろいろな意見を押し切って五輪を『やる』と決断した。なすべきことを全てやってもらうことが当然の責任だ」と、あらゆる選択肢を視野に入れるべきだとも受け取れる発言をしました。また「新規感染者数(新規陽性者)が3,000人を超え、注目をされてきている。政府はこの時機を逃さずに、今まで以上に強いメッセージを出してほしい」と政府に要望しました。

 杉尾議員は、緊急事態宣言の発出から2週間経つにもかかわらず、新規感染者数が過去最多を更新中であることに触れ、「政府の対策に全く効果が出ていない。本来ならもうそろそろ効果が見られる時期にもかかわらず、全く逆の様相を呈している」と指摘。「ここまでの対策が失敗だったと認めた方がよいのではないか。総理が言うように人流が減ってきているならば、何故感染が減らないのか」とただしました。答弁に立った西村康稔経済再生担当大臣は「(宣言発出した頃の)2週間前の人々の活動の結果が今、出てきている。足元では人流が減ってきている」と強弁。「全体の傾向としては、さらに感染が拡大することは間違いない」とした尾身会長の発言と矛盾するような楽観的な見通しを示しました。

 杉尾議員が「観光地は大変な人出だ」と反論すると、西村大臣は「首都圏では人流が減ってきているが、4連休中に首都圏近郊の地域では増加している」と発言を軌道修正しました。これから地方に感染が拡大する可能性や首都圏3県の緊急事態宣言要請について問われると、西村大臣は「機動的に対処したい」と答弁しました。

 さらに「もう政府は打つ手がないのではないか」と杉尾議員が問うと、西村大臣は今後の対策として、都道府県と連携し(1)今まで以上に危機感を共有するメッセージを打ち出す(2)早期に飲食店に対する協力金を支給する仕組みを構築する(3)抗原検査キットなどを活用し、検査体制を充実する――ことを挙げました。

 杉尾議員は都内の飲食店の半数以上が都の時短要請に応じていないことに触れ、「要は政府を信用していないということ。今後どのように飲食店に協力してもらうのか」と問うと、西村担当大臣は「協力金の早期支給を含め、粘り強く寄り添って対応していく。それでも協力を拒む場合は、過料も含め法律に則り対処していく」と述べましたが、杉尾議員は「言葉と実態が異なっている」と指摘、反駁しました。

 最後に杉尾議員は地方における「ワクチン不足」について触れました。長野県のある中堅都市では、国からワクチン供給の確たるスケジュールが一向に示されず、7月15日になって、要求した供給量の4分の1の量の供給スケジュールが漸く示されたことや、政府の方針がコロコロ変わるので自治体職員が混乱していることなどを取り上げました。政府に対し「具体的な供給スケジュールを早めに決め、自治体に提示してほしい」と要請するとともに、このままだと全ての県民に対する接種を年内に完了することは難しいのではないかとただしました。

 これに対し、答弁に立った河野太郎ワクチン担当大臣は「現時点では8月の数量はすでにお示しをしている。長野県を含め、10月から11月にかけて希望する国民の皆さまのワクチン接種が終わる。そういう見通しだ」と述べると、杉尾議員は「自治体の現場の認識とは全然違うということを申し上げる」と反論し、この日の質問を終了しました。

20210729-内閣委配布①.pdf
20210729-内閣委配布②.pdf
20210729-内閣委配布③.pdf

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