Lexarの「NM620」は、DRAMキャッシュレスとすることでコストパフォーマンスを追求したM.2 SSDだ。日本では未発売だが、今回2TBモデルが入手できたので、簡単なレビューをお届けしたい。
LexarブランドのSSDは、今のところSATA接続で2.5インチタイプの「NQ100」、「NS100」、「NS200」と、M.2接続でNVMeタイプの「NM610」、「NM620」、「NM700」の合計6種類が用意されている。今回取り上げるNM620はNM610の後継で、NM700の下位という位置づけだ。
本製品は搭載されるコントローラやNANDフラッシュのメーカーは一切明らかにしていない。あくまでもスペックとして3D TLC NANDフラッシュの搭載と、リード最大3,300MB/s、ライト最大3,000MB/sといった速度が示されているだけである。これは、製造時にコストに見合うための部材変更が発生する可能性を示唆している。
とは言え、この数字上のスペックはPCI Express 3.0に対応するM.2 SSDとしてはトップクラス。本機はDRAMキャッシュを搭載していないが、従来のフラグシップに匹敵するスペックであることは確かである。
今回は以下の環境を用意し、CrystalDiskMarkとATTO Diskbenchmarkを実施してみた。SSD性能を発揮するボトルネックになるとは考えにくい構成である。なお、SSDにはヒートシンクを装着せずテストしている。
- CPU:Ryzen Threadripper PRO 3975WX
- メモリ:vcolor DDR4-3200 8GB×8
- システム用SSD:Samsung PRO 980 1TB
- ビデオカード:Colorful GeForce RTX 3090 Vulcan OC
- 電源:ASUS ROG Thor 1,200W
- CPUクーラー:ASUS Ryujin 360
- OS:Windows 10 Pro 21H1(19043.10.81)
いずれのベンチマークも公称値にはわずかに届かないが、十分すぎる性能だろう。NM620はDRAMキャッシュはないが、動的にSLCキャッシュ領域を確保する仕組みが採用されているため、このような高性能を達成できている。
CrystalDiskMarkの書き込みファイルサイズを64GiBまで引き上げてみたが、テスト後半のランダム4KQ32T16テストでようやく速度低下が見られた。一応、最初のテストから10分以上経過してからこのテストを行なっているため、SLCキャッシュの解放は済んでいると思われるが、フルに空き容量がある場合、少なくとも192GiB以上の領域がSLCキャッシュとして割り当てられていると推測される(リードテスト用のファイル書き込み×1回+ライトのテスト×2回)。
超高解像度の動画をRAWのまま転送したりするようなシーンではボトルネックになり得るかもしれないが、一般的な用途ではまず不満のない性能であると言える。デジタルカメラで撮影した数十MB程度の写真の転送や圧縮されたビデオ、ゲーム用途においては十分だと言えるだろう。
本製品の競合となりそうなのがSamsungの980シリーズ。こちらもDRAMレスで、容量1TBモデルは1万4,000円程度で、コストパフォーマンスは高い。ただ、980には現時点では2TBの選択肢がないため、より多くのゲームやデータを保存したいといったユーザーにとってNM620は人気を集めそうだ。容量2TBでも片面実装のため、ノートPCの換装にもうってつけだ。
残念ながら現時点では国内での発売時期も価格も未定なのだが、2TBでも3万円切りでの登場に期待したい。
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