テレワークにオススメなキャンピングカーはどこが違う? 【テレワークのためのキャンピングカー講座 第1回】

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コロナ渦の今、ワーケーションカーのメリットを聞いた

 コロナ渦の昨今、多くの企業でリモートワークやテレワークが一般的になりつつあり、今後さらに拡大していきそうなのがワーケーションだ。ホテルなどの観光業界はもちろん、最近では自治体がワーケーションの取り組みを行っている地域もあるほど。

 そしてこうした流れに合わせて注目されているのが、居住部分を強化したクルマ、つまりはキャンピングカーだ。ひとくちにキャンピングカーといっても、実はその種類は多岐にわたる。はたしてテレワークやワーケーションにオススメのキャンピングカーとはどういったものなのか? そのあたりの実情を国内最大級のキャンピングカーイベント「ジャパンキャンピングカーショー2021」でチェックしてきた。

 と、言ってもキャンピングカーのことなんてよく分からない読者も多いと思うので、ちょっと前置きをしておきたい。

 まず、こうしたクルマのベースとなる車両について。ものすごくざっくりと分けると3タイプある。一つはトラックをベースに荷台をキャビンに架装する「キャブコン」。もうひとつはミニバン(1BOX車)ベースに車内を改造する「バンコン」。そして最後は自前で動力を持たない「トレーラー」だ。

 キャンピングカーというとトラックの荷台が架装されたキャブコンを見たことがある人も多いだろうが、実は日本で多いのはよりコンパクトで扱いやすいバンコン。見た目がほぼノーマルなので街中で見かけても気がつきにくいが、とても人気が高く、今のキャンピングカーの人気を牽引していると言っていい。車内の広さからトヨタ「ハイエース」や日産「NV350キャラバン」がベースに使われることが多い。もちろん、トヨタ「アルファード/ヴェルファイア」などの高級モデル、ひとまわり小さい日産「NV200」、さらに小さい軽自動車ベースのモデルもあるけれど、広さや自由度の高さ、車両価格あたりから前述の2車種を使うことが多い。

 ベース車両の違いに加えて、内装についてもシャワーやトイレまで付いたフル装備のモノから、折り畳み式のベッドがあるだけという簡易的なモデルまでさまざま。多くのキャンピングカーメーカー(ビルダーと呼ぶ)が、ユーザーニーズにあわせたモデルをリリースしているので、購入する前にはしっかりと下調べをして欲しい。

注目車両はまだまだたくさん

 まさにワーケーションに最適なクルマを展示していたケイワークスだが、会場を回ってみると、その他にも注目したいモデルやアイテムがあったので、そちらも合わせて紹介したい。

 まずは“自由な組み合わせが楽しめる”ことをウリにした、トイファクトリーの「MOBILITY UNIT HACO×HACO」。ハイエース向けとなるこのアイテムは、荷室部分の壁面に装着する「ベースボード」に、各種アタッチメントとなる「ベースユニット」を組み合わせて空間を作り上げていく構造。

 アタッチメントは棚やベッドマット、フロアボード(床)のほか、キャンプ時に便利な「シンクユニット」、ワーケーションには欠かせない電源を固定するための「ポータブル電源マウントボード」など豊富に用意されており、シチュエーションに応じて組み替えることで、さまざまな用途に対応することが可能だ。ベースボードだけは取り付けに加工が必要となるため販売店での装着が必要となるものの、そのほかのアタッチメント類は工具不要で取り付けることが可能。これらは荷物扱いとなるため大幅にレイアウトを変えても書類の提出や構造変更といった手続きが不要なのもうれしい。

トイファクトリーのMOBILITY UNIT HACO×HACO

 もう少し日常ユースに振ったのが、アルフレックスの「C’s NEX SPORT」。こちらはハイエースをベースに多人数乗車を可能にしたワゴン的モデルで、2列目、3列目シートを折り畳み可能なタイプに交換するとともに、長いスライドレールを配置することで自由なシートアレンジを実現。大人4~5名が就寝可能なベッドスペースを確保しているのはもちろん、ベッドをテーブルとして利用することで広い作業スペースとして利用することもできる。また、ハイエースの場合、もともとバンベースのため乗り心地に不満を持つユーザーが多いが、このモデルはショックアブソーバーやリーフスプリング、スタビライザーなどを社外品に交換済み。ミニシンクなどを装備することで8ナンバー登録(キャンピング車)としているのも、乗用車からの乗り換えユーザーにはうれしい。また、ユニットをキット化していることでキャンピングカーとしては納期が短いのも特長だ。電源まわりは標準では含まれないが、オプションでサブバッテリーシステムや外部充電などが用意されている。ワーケーションを謳っているモデルではないけれど、初めてのキャンピングカーで、普通のミニバン的な使い方を重視するならこういったモデルを選ぶのもアリだろう。

 唯一自動車メーカーとしてブースを出展していた日産自動車では、「NV350キャラバン マルチベッド」を発見。こちらはNV350キャラバンをベースに、架装パーツをキャンピングカービルダー「オグショー」が製作、架装を日産純正の改造車などを手がけるオーテックが担当したモデルで、日産ディーラーでも購入できるのがポイント。自転車などの積載を重視したいわゆる「トランポ(トランスポーター)」と呼ばれるタイプで、荷室部分に折り畳み式のベッドを装備。ベッドは片側を折り畳むことでソファ(停車中のみ)としても利用できるなど、シンプルながらマルチに使えるのが魅力。パーツを足したりDIYで手を加えたりと、自分だけの1台を作り上げたい、そんな人にオススメしたいモデルだ。

NV350キャラバン マルチベッド

シンプルなベッドはアレンジが簡単。自転車や釣り、サーフィンなどアウトドア好きには使い勝手の良いモデル

エンジンを止めていても車内を快適にできる空調アイテム

 車内で長時間快適に仕事をするためには、テーブルや椅子以外にも、車内の快適性をアップするアイテムもチェックしておきたい。春や秋は平気かもしれないが、夏や冬に車内で快適に過ごすためには空調設備が不可欠だ。とはいえ、エンジンをアイドリングのままにしておくのは法律面からもエコロジーの面からもアウト。だが、実はそんな時のためにクルマ用のヒーターやクーラーも販売されている。

 まずは停車時にエンジンを掛けずに利用できるパーキングヒーター。キャンピングカー界隈ではその構造から「FFヒーター」と呼ばれており、家庭用の据え置き型ガスヒーターなどと基本的な構造は同じ。燃料はエンジン用と同じ(ガソリンや軽油)モノを利用して車外で燃焼、暖めた空気を車内におくるため、車内の空気をクリーンに保つことができ安全なのがメリット。その上、燃費は8時間で1.5リットル程度とエコなのもうれしい。

ドイツ・ベバスト社製のFFヒーター「Air Top 2000 STC」。消費電力は最大30W程度になる

カットモデル

 一方で夏に欲しいのがクーラー。これまで電気消費量が大きいクーラーはなかなか車に搭載することができなかったけれど、最近では自動車用やポータブルタイプが出現。以前よりはずっと導入しやすくなってきている。とはいえ、電気消費量が大きいことに変わりはないため、大容量のサブバッテリーシステムを搭載するか、外部電源を活用することが必要になる。

AC100V、DC12Vで動作可能なナヴィック「クレクール7」。家庭用と同様に室内機と室外機のセパレートタイプで、車外に室外機を装着して利用する。消費電力は通常時360W程度

コロナ禍だからこそ広がるキャンピングカーの可能性

 コロナ禍で働き方は大きく変わった。以前であれば出社するのが当たり前だったが、今なら自宅に限らずさまざまな場所で仕事をすることができる。そんななか、キャンピングカーがあれば、早朝から釣りを楽しみ、そのあと車内で仕事して、お昼休みにもまた釣りを楽しむ、なんていう使い方だってできる。

 たとえば金曜日の仕事終わり、在宅勤務であればそのまますぐに家族で出かけられる。公共交通機関を使う必要もなく、宿泊先の予約も不要で、金曜日の内に移動すれば、土曜日の朝の人出の少ない時間から遊ぶことができる。

 出先で不意に追加の仕事ができてもある程度は対応することができるし、ネックになりがちな通信環境は最近の価格競争でグッとコストが下がってきた。

 自宅の駐車場でも役に立つ。子供がいる時間は自宅でテレビ電話会議に出られないなんていう場合も、もうひとつの仕事場として活用可能だ。外部電源や空調設備を整えれば、夏場の熱中症の心配も不要。さらに自然災害などで避難を余儀なくされたときにも、プライベートな避難スペースとして活用できる。

 コロナ渦によって、他人との距離の取り方、移動の仕方に求められるものが大きく変わった今、そうしたさまざまな課題にフィットするのがキャンピングカーという存在だろう。ワーケーションに限らず、新しい生活様式の一部として、これまで以上に注目していきたい存在と言えるだろう。

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