【光Ethernetの歴史と発展】800G Ethernetに関連、OSFP MSAと2つのIEEEの動向【ネット新技術】

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モジュール仕様を定めるOSFP MSA、Rev 4.0で800Gの規定が大幅増

 OSFPそのものは、2020年9月掲載の『最大400Gbpsを実現する2つのモジュール規格「OSFP」「CDFP」』で紹介している。

 OSFPは、あくまでモジュール規格の仕様を定めるMSAであり、要するにGAUIとのインターフェースと、電気/機械的特性を定めるのが主なところで、800Gをどう変調するのか、といった話には、当然ながらノータッチだ。

 当初から800Gまでスケールさせることが想定されていたが、仕様として正式にサポートされたのは2021年5月28日にリリースされた”OSFP OCTAL SMALL FORM FACTOR PLUGGABLE MODULE Rev 4.0“からだ。

 具体的には、Specificationの”Optical PMD Block Diagrams”へ800Gが追加された格好だ。この章で定義されているものは、一覧としては以下のように増加しており、Rev 1.12まではChapter 7までだった章番号も、Rev 2.0ではChapter 9へ、Rev 3.0~4.0ではChapter 10へと増えている。

Rev 1.0~2.0 Rev 3.0 Rev 4.0
400G-PSM4 400G-DR4 400G-DR4 800G-DR8
400G-SR8 400G-SR8 400G-SR8 800G-BD4.2
400G-FR4 Duplex Fiber 400G-SR4.2 400G-SR4.2 2x400G-2xFR4
400G-FR8/LR8 400G-FR4 400G-FR4 800G-FR4
2x200G-CWDM4 400G-FR8/LR8 400G-FR8/LR8 800G-FR8/LR8
2x100G-CWDM4 2x200G-2xFR4 2x200G-2xFR4 800G-SR8
2x200G-2xCWDM4 2x200G-2xCWDM4 2x400G-SWDM4

 そして以下の各図がRev 4.0で追加された800G(ないし2x400G)の規定となる。

 基本的は、スイッチ側とのインターフェースは「800GAUI-8」(つまり100Gレーン×8)で、あとは変調方式に応じてCDR(Clock Data Recovery:クロックとデータを分離/重畳)した後で、それぞれの変調方式に応じたトランシーバーをつなぐ、というだけの話となる。

 ここに挙げられた規格は、標準化がすでに進んでいるようなものではなく、OSFPとして利用されそうな接続方法をあらかじめ列挙し、それを標準化した、というだけのようだ。Rev 3.0→Rev 4.0で追加・変更されたほかの項目には以下のようなものがある。

  • フロントパネル部が大型化されたType 2/Type 3のモジュール形状を追加
  • モジュールにおけるラッチ部分のリリースメカニズムを明確化
  • コネクタの温度要件が追加
  • Type 2/3モジュールのインピーダンス試験要件が追加
  • モジュール格納用ケージの上に搭載されるヒートシンク「OSFP-RHS(Riding Heat Sink)」の位置を微調整
  • Dual Mini-LC/Dual Duplex LC/Dual CS/Dual MPO/Dual MXC/8×MDC/8×SNの光ファイバーコネクタ利用規定を追加
  • モジュールへの最大供給電力を10Aとし、最大33Wまで利用可能に(Rev 3.0は6.4Aで最大21.1W)
  • 最大でも2Wまでの低電力モードを追加

従来モジュール(上段)から16mm延長したType 2(中段)と、さらに高さも3.6mm引き上げたType 3(下段)を追加

MPOを縦にして2つ並べる格好となるDual MPOの例

8×MDCの例。8本のコネクタを無理やり突っ込んでいるかたちで、やや苦しい気が

 このうちType 2/3は、8対16本の光ファイバーをMPO以外で接続する(Dual MPOの例や、8×MDCの例が分かりやすい)場合に、フロント側の面積が足りないことに配慮しての対応であろうし、供給電力を最大33Wまで広げたのは(800Gで必要とされると考えられる)30Wモジュールへの対応ということになる。

 ただ、違いはその程度でしかない。個人的には、電源ピンの数が4本のままで10A(ということはピンあたり2.5A!)って大丈夫なのだろうか? というあたりがちょっと心配ではあるが、その程度である。

800G Ethernetに関係する2つのIEEE、問題はその先の光変調か?

 さて、MSAの側の説明が終わったので、IEEEの動向について紹介しよう。IEEE 802.3 ETHERNET WORKING GROUPでは、現在もいくつかのTaskが走っているが、この中で800G Ethernetに関係しそうなのは以下の2つである。

 このうち前者は、『HDRは好スタート、InfiniBandのこの先は?』や、『ETCがリリースした「800G Ethernet」の仕様は400Gを2つ並べる構造に』で紹介していて、要するにPMDのSpecificationなのだが、タイトルからも分かるように、本来は100~400G向けである。

 実際、Objectiveそのものには800Gとの文字は出てこないが、レーンあたり100Gの、しかも低コストの方式が確立できれば、それを8対にするだけで800Gになるわけで、現状はまだStudy Group段階の800G Ethernetの検討において、それこそ「800GBASE-SR8」などはこの400Gレーンを前提にするだろうことは明白である。

MAC data rateが100G/200G/400Gなので、このままだと800Gは利用できないわけだが、800Gを400G×2として使う(「ETC」におけるこの図などは、モロにこの方式)という利用が可能だ

 ちなみにこの「P802.3ck Task Force」、当初は2021年の3月に技術的な検討が終わり、これをDraft 1.5としたが、すぐにDraft 2.0に昇格。以後Working Group内での投票が行われている段階だ。

 大まかな仕様の変更は2022年1月までに完了予定で、そのあとはIEEE SAによるスポンサー投票の段階を経て、2022年7月に標準化が完了の予定となっている。

 もっとも、P802.3ckのうち800Gの光Ethernetで利用できる部分は、要するにPCSの部分だけであり、その先のPMAの部分に関しては、あまり役に立たない。

 そもそもP802.3ckは、「100GBASE-KR1」や「100GBASE-CR1」がメインの規格である。ただ、上記の図のコメントへ書いたとおり、Optical Ethernet向けとして「100GAUI-1 C2M」の規格も内包される予定で、これを8つ並べれば「800GAUI-8」になる、というだけの話だ。問題はその先、つまり光変調をどうするか、という話になるわけだ。

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